品川区の「オアシスルーム」の視察

理由を問わない一時保育の仕組み

子育て支援 子育て支援の一つに「理由を問わない一時預かり」があります。

大田区では、こども家庭支援センターと社会福祉協議会が事業の一つに行っていますが、まだまだ数的には、十分とはいえない状況です。

今後、どのような体制が必要なのか探るべく、
品川区の先駆的な一時保育の仕組み
「オアシスルーム 」の視察に行ってきました。

まず、品川区の保育課の方から、説明を聞きましたが、
このとき驚いたのが、
「幼稚園も保育園も同じ子どものことを扱っているのだから、
幼稚園を教育委員会から離して、保育課に統合したんですよ。
そして、その保育課と子育て支援課がいっしょになって地域ごとの課題に取り組んでいくんですよ」との説明。

幼稚園は文科省、保育園は厚労省と、管轄が違うことを理由に、
教育委員会と保育サービス課とに分かれているのが通例です。

でも考えてみれば、地域があって、子どもがいて、それが先なんですよね。出発点から、大いに学ばせられました。

パンフレットにも
「保育園・幼稚園・児童センターは、
          子育てを支援する身近な施設です」

と謳われており、その機能も共通のものを備えています。
利用者にとって、わかりやすいですね。

さて、現在8つあるオアシスルームは、児童センター と呼ばれる
(大田区でいうと児童館)の中にあるものがほとんどですが、
はじめは区立保育園の中の1室を使っていたそうです。
その方が人員配置に融通が利きますものね。

けれども待機児対策で保育園の定員を増やすために、オアシスルームは児童センターに移り、児童センターにいた学童は学校へと移ったという経緯があるそうです。

オアシスルーム は登録制で、だいたい9:00〜17:00、
1時間500円、年度内に60日以内の利用が可能です。
1人で数か所に登録しているママもいるというほどの人気で、
年間1万人の利用者がいるということです。

まず、荏原保健センターの中にある(これはめずらしい)
荏原保育園オアシスルームに行きました。

広い道路に面した、明るい日差しの入る大きな窓には、一目で小さな子どもの施設だとわかるようなかわいい絵がついていました。開放的な部屋には、受付、保育室、お弁当をたべるところと、いくつかのスペースに分かれています。

保育スペースには子どもの目線の低い棚に手作り感のある、ままごと道具や牛乳パックで作った電車、段ボールでつくってある素敵な家やドレッサーなど、
楽しそうなおもちゃが美しく配置されています。

おもしろいのは、隣の部屋が、「地域交流室 」という親子で遊びに来る場所になっていること。
親子で遊ぶことを経験した子どもが、今度はとなりのオアシスルームを使ってみるという流れもあるそうです。

オアシスルームも地域交流室も保健センターにありながらも荏原保育園の事業の一環なので、室長は園長、職員は保育園の保育士です。

オアシスでは退職した職員の方、地域交流室が現役の保育士が
担当しているということです。

どちらも経験豊富な先生たちの手で、保育園の空気が感じられる
居心地のよい空間を作り出してくれています。

次に行ったのは、伊藤児童センター の中にあるアオシスルーム。
ここも複合施設で、一つの建物の下が区立保育園、上が児童センターになっていて、児童センターの隣りにオアシスルームがあります。

児童センターでは、「親育ち・子育ち」に力を入れているそうで、親向け・親子交流のプログラムが充実していました。

オアシスの子どもたちも、センターとも保育園とも交流を持っているそうです。

今回は2か所を見ただけですが、複合施設であることをうまく利用して、有機的なつながりの中で、子どもの育ちが見守られているということ

近くの保育園が運営するので(委託のところもありますが)、保育士の配置という点で、保育園の一部のような安心感があること

初めて利用する場合は3日前の登録と面接はあるものの、あとは、前日の申し込みでOKという便利さ

などに代表される、オアシスルーム という仕組みの素晴らしさを感じました。

お母さんが美容院に行きたいとき、
あるいは、病院に行かなければならないとき、
親の介護が必要になったとき・・・
一時的に安心して預けることのできる場所があれば、
日頃も安心して子育てができることでしょう。

大田区は今、待機児対策に一生懸命取り組んでいるところですが、専業主婦家庭を支える方策も同時に考えていかなくてはなりませんね。

品川区には、他にもシステム的にも学ぶことが多くありました。