学校給食の課題   医学的見地から

2012年10月9日 22時35分 | カテゴリー: 教育, 活動報告・日誌, 議会報告

ちょうど、医学の研究で日本人がノーベル賞をとったといううれしいニュース。

医学の進歩、研究は、実践に生かされてこそ、人の幸せに資することができてこそ、価値があるのではないでしょうか。医学的な見地から、学校給食もとらえなおす時期にきていると思います。

今日は、決算特別委員会の5日目、「教育費」で質問いたしました。

★食の欧米化と生活習慣病

食育が重要であることは言うまでもありません。中でも一日のうち、1食を必ず占める学校給食の健康への影響は少なくないと考えます。 

たとえば、生活習慣病は大人の問題だけではなく、「2012年の東京都予防医学協会年報」によると、検診をした4年生以上から中学生までの2割近くが脂質異常症、つまり生活習慣病予備軍であるという、看過できない報告が出ています。 

1960年代頃から日本においては、食の欧米化によって、肉類・牛乳・乳製品などの動物性脂肪の多い食品の摂取が増加しました。 

それにともなって、肥満や生活習慣病患者の増加が問題になってきています。動脈硬化が進んだ結果起こる心筋梗塞や脳梗塞、また糖尿病、乳がん、大腸がん、前立腺がん、肺がんが急増しています。 

いまや、2人に一人がガンになり、3人に一人がガンで死ぬ、といわれ、早期発見、早期治療といわれますが、最も肝心なのは「病気にならない」ための予防の観点であり、それには、小さい頃からの生活習慣、特に食に留意することではないでしょうか。 

生活習慣病予防に際して、学校給食において配慮しているのはどのような点ですか。 

学会発表・「飽和脂肪酸」の過剰摂取が問題

学校給食において、生活習慣病についての配慮はなされているようですが、最新の医学の研究となるとどうでしょうか。 

 “栄養バランスや、塩分・糖分の取りすぎへの注意”ももちろん生活習慣病の予防になりますが、動物性脂肪に関して、日本はまだ対策が遅れているのではないでしょうか。 

今年6月に「日本動脈硬化学会」が、特に脂肪の中でも、「飽和脂肪酸」が動脈硬化性疾患のリスクを高めるものであるということを発表しました。

日本動脈硬化学会のガイドラインでは「動脈硬化性疾患予防のための生活習慣の改善」として、「肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす」ことを提言していて、脂肪エネルギー比率を2025%、飽和脂肪酸を7%未満へと目標設定しています。 

★デンマークが「脂肪税」を課しているわけ

すでに欧米諸国は1970年頃から、栄養政策を心疾患・癌・生活習慣病などの予防に転換し、動物性脂肪・飽和脂肪酸の削減に取り組み、牛乳・乳製品、肉の低脂肪化を国民に呼びかけ、その結果、動脈硬化もガンもその罹患率を大幅に減らしてきています。 

たとえば、デンマークは201110月から2.3%以上の飽和脂肪酸を含む食品、バター・チーズ・牛乳などに「脂肪税」を課しました。脂肪への課税は世界で初めてなので注目を集めましたが、これは、課税によって、脂肪の摂取を減らし、国民の健康を守ろうという政策的な誘導です。 

以上のことから、特に動物性脂肪に関しては、学校給食の中でも検証をする必要があるのではないでしょうか。 

★「飽和脂肪酸」の食品中の含有量を表示すべき

文科省の出している「食品成分表」によると普通牛乳200ccには4.66gの飽和脂肪酸が含まれていますが、脂肪のエネルギーは1gにつき、9㎉なので、これだけで、42㎉。メニュー表によると小学校の一食あたりのエネルギーがほぼ630㎉なので、この飽和脂肪酸だけで割合は6.6%になります。さきほどの一日の摂取の目やす7%未満ということをふまえると牛乳だけで、もう届いてしまう値です。 

欧米では、生活習慣病に関わる「飽和脂肪酸」の食品中の含有量の表示が義務付けられています。現在、学校給食においては、脂肪分・糖分などの栄養表示はメニュー表でなされていますが、これだけでは飽和脂肪酸欧米では、生活習慣病に関わる「飽和脂肪酸」の食品中の含有量の表示が義務付けられています。現在、学校給食においては、脂肪分・糖分などの栄養表示はメニュー表でなされていますが、これだけでは飽和脂の量はわかりません。

学校給食においても、生活習慣病予防の観点から、食品中の「飽和脂肪酸」の含有量の表示ができませんか。 

★学校牛乳に「選択制」を

飽和脂肪酸はさまざまな動物性脂肪に含まれていますが、食習慣は家庭によって大きく異なるため、学校給食の中の牛乳の飽和脂肪酸の影響が大きく出る家庭と、そうでない家庭があると考えられます。また、福島原発事故由来の放射能汚染に関して、牛乳は不安定要素の高いものの一つです。内部被爆のリスクをできるだけ抑えようとの思いで、牛乳の摂取を控えている家庭もあります。 

牛乳を飲む飲まない、ということと、種類を選択できる仕組みにはできませんか。低脂肪乳や無脂肪乳、豆乳にする、あるいは飲まないという選択肢があってよいと思います。 

同様の主旨で自民党の参議院議員、医師でもある、古川俊治さんが質問を国会でしていますが、それに対する国の答弁は、「学校給食の牛乳供給は国内産の牛乳及び乳製品の消費をはかることにより、酪農の健全な発達に資することを目的としている」というものでした。また低脂肪・無脂肪乳の使用についての質問に対しては、「各学校の設置者において、学校給食全体としての必要な栄養素をバランスよく確保する等の観点から適切に判断すべきものと考えている」と答弁しています。つまり、国は、消費・経済優先の視点で、学校牛乳を導入してきたということ、けれども、牛乳使用に関しては各学校の設置者、自治体で判断してもよいといっているのです。 

これだけ経済発展をとげた日本において、消費・経済優先の視点で始められた給食の牛乳が、本当に子どもにとって適切なのかどうか、大田区として判断をする時期にきているのではないでしょうか。

個別対応だけでは限界があると考えます。 

友人には、乳がんを患っている人が少なくありません。私自身、3年前に乳がんを患いましたが、子ども時代、牧場で育ち、牛乳をふんだんに飲んで育ちました。もっと、情報があったら、と残念に思います。 

学校給食は公費会計に  ~行政責任を明確にするために

さて、現在、学校給食の食材分は学校徴収金による私費会計になっていますが、私費であれば、たとえば牛乳は飲んでも飲まなくても自由だと考えられますが、通常「飲む」ことが基本とされています。ある学校では、牛乳を飲まないとおかずのおかわりをさせてもらえなかったそうです。牛乳を飲むことが強要されているとすれば、私費ということには矛盾を感じます。 

保育園は、保育料の中に給食費も含まれていて公費という位置づけです。給食費程度といったかたちで値上げの根拠にされることもあります。学校給食だけが、食べ物は個人のもの、設備や人件費など全体的なところは公費としているのはどうしてでしょう。むしろ、公費にして、学校の責任で子どもの健康に関して、積極的に栄養指導や啓蒙をしていってよいのではないでしょうか。 

総務省は、「学校給食を市町村事務として処理していない場合は、地方自治法23542の定めにより、現金を保管するためには法律または制令の規定が必要であり、それがない場合は保管することができないことになる。学校給食を市町村事務として行っているところは当然歳入に入れて適正に行うべき」とし、給食費は公費とするのが妥当とする見解です。 

滞納者についても、私費会計であるために、強制徴収をかけることもできず、結果、滞納があった場合、実際徴収された額を児童生徒数で、割り返し、一食あたりの単価が引き下げられ、給食の質の低下につながるという状況です。 

大田区の場合は、食材費総額が平成23年度、188千万円で滞納額が5,451,754円で、全体の0.3%、未納生徒数は182人で全体の0.47%です。全体からみると、これらの数字はわずかかもしれませんが、これは、全ての公立小学校・中学校を合わせての数字であって、実状は、地域差が大きく、滞納者がゼロの学校と2%近い割合の滞納額の学校があります。 

公費化することによって行政責任を明確にし、保護者負担の公平性を保つことも重要な点だと考えます。 

学校給食を自治体の責務の一つとしてとらえ、公費化を検討するべきではないでしょうか。 

子どもたちにとって、最も身近な基礎自治体が、その責務として学校給食を担うことで、給食のあり方を常に検討し、子どもたちの健康のために最善を尽くすことが肝要であると考えます。