「原発建設の是非・国民投票 リトアニア」報告

昨年の今頃は、「原発の是非を問う都民投票」に向けて盛り上がっていました!

でも署名数は十分集まったものの、残念ながら都議会で否決され、都民投票は実現しませんでした。大阪市、静岡県、新潟県においても実現せず、これから行われようとされている北海道の住民投票にはぜひとも期待したいものです。

さて間接民主制(選挙で選ばれた議員が議会で審議)を補完するものとして、大事なことについては、直接民主制(住民投票)が必要だと考えて、国民投票を実施している国は少なくありません。
これまで、原発の建設や存続に関しての国民投票をしてきた国は、スイス、オーストリア、スウエーデン、イタリアとありますが、この10月14日には、リトアニアで行われました。

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 今日は、その様子を「みんなで決めよう『原発』国民投票」の会のメンバーのうちの「リトアニア調査団」の一人、中村さんからお聞きしました。
リトアニアは、バルト3国の一つ、黒海に面し、ポーランドと隣接しています。2009年にEUに加盟。広さは、北海道と、人口は茨城県とほぼ同じ。

電力はそのほとんどをロシアから輸入しているので、「エネルギーの自立」は大きな課題でした。ですから、国会議員も国民もほとんど原発推進だったのですが、福島原発事故後には、反対の声が上がり、今回“新しい原発建設に関して”国民投票を行うことになりました。
結果、反対が65%。特に女性や若者が反対の票を投じたということです。
リトアニアの国民投票には、拘束力のあるものと、拘束力のない「諮問型」があるそうですが、今回のは、諮問型。ですから、拘束力はありませんが、その結果が重視され、「日立」との契約は解消されたということです。
さて、リトアニアの国民投票は、1990年台から、もうこれで10回目だそうです。
はじめは、ロシアからの独立について。それから、言語をどうするか、(ロシア語かリトアニア語)、EUへの加盟についてなど。でも中には、国民投票が成立する最低投票率に足りずに、結果が有効にならなかった案件もあるそうです
今回、調査団は、この国民投票に関するアンケート調査を街中で行ったそうですが、あるバス停でその調査をしたら、そこにいる人が、賛成、反対で議論を始めたとか。日本ではあまり考えられない光景です。
エネルギー問題を日常生活の中で、論じあえる社会とは、さすが国民投票10回目の国です!
国の方向性を、直接問われる機会があることで、主体性、責任感を持った、成熟した人に鍛えていくプロセスになっているのではないでしょうか。その過程において、判断するための情報を収集する能力も高まるのではないでしょうか。
私たち日本人は、集団の中で、自由に意見をいったり、ましてや、論じあったりすることが苦手です。
結果、マスコミに流されたり、「上の人におまかせ」という空気が蔓延し、自分で考える訓練がなされていないのではないかと思います。これは、日本の将来を考えると問題です!
主体的に考える国民、そして熟慮された政策が実行される、成熟した社会をめざすには、時間はかかるかもしれませんが、小さいうちからの教育のあり方から見直さなくてはならないと思います。
そして、もちろん、住民投票が可能になるための条例請求など、政治への参画の機会を増やす努力もしていきたいものです。
さて、昨日、衆議院が解散になりました。政党乱立で大変ですが、政策を吟味しながら、しっかり投票したいものです。都知事選も超大事ですね!