「いじめについて」 ある校長先生の取り組み

2012年12月4日 23時23分 | カテゴリー: 子ども, 教育

 「いじめによる自殺」という事件があると、大人は焦って、いろいろな解決策を考えます。
まず、子どもたちに「死んではいけない」との思いから「命の大切さ」を教えようと、「命が大切な意味」をいろいろな角度から語った時代もありました。
大人のそれぞれの体験を通じての子どもたちへのメッセージ、エールは、思いやりに満ちたものでした。それが、特効薬になったかどうかはわかりませんが、少なくとも、その事態に心を痛め、子どもに寄り添いたい、という大人からの発信であったように思います。
ところが昨今は、どういうわけか、「いじめた子どもを厳しく罰せよ」という論調が強くなっているように思います。学校に警察が乗り込んでもいい、という意見には私はとても違和感を覚えます教育の範疇のなかで、解決していくべきではないかと思うのです。

もちろん、いじめはいけないことですが、いじめを生み出す社会の空気や仕組み、学校にも問題があるのかもしれないし、家庭の状況等にも目を向けるべきではないかと思うのです。そして、いじめている子どもも心に大きなストレスを抱えているのかもしれないとも思います。

先日、「あ、これだ!」と思うことがありました。 ある小学校を訪問したとき、そこの校長先生が「私はいじめを絶対に解決します。私のやりかたは、徹底して、”いじめた子どもに寄り添う”ことです」とおっしゃったのです!
「担任の先生たちにそのやり方を伝えていて、大体は、クラスで解決していますが、難しいときは、私がその子どもに徹底的に寄り添います」とも。
もちろん、いじめられた子どもを放っておくわけではありませんが、いじめた子どもの心の中に焦点を当てていかないと本当の解決にはならないとのことです。
実際、いじめた子どもが泣きながら、辛かった心の内を話してくれることもあったそうで、結果、その学校ではいじめはほとんどなくなったということでした。

その校長先生のもう一つの大事にしている取組みは、年に一度、どのクラスでも校長先生自ら、「人権宣言」「子どもの権利条約」などを使って「人権についてのプレゼンテーション」をすることだそうです
なるほど、いじめは、「人権侵害」ですから、基本的にいけないことである、ということを「普通」のときに学ぶ機会を持つ、つまり「種まき」をしておくことが大事なんですね。
この校長先生は、子どもたちの人気者。休み時間には、子どもたちが群れをなして校長室に遊びにくるそうです。校長室のテーブルの上には、スッポンやらなにやら、子どもが興味を引きそうな生き物が飼われていたのが印象的でした。

校長先生がまるで父親のような温かい包容力で、子どもに向き合っていることが伝わってきました。一人の人間として、すなわち子どもを信頼して向き合うということが、子どもたちの心を安定させ、同時にそれは子ども同士の関係をも良くしていくことなのだな、と思いました。

一人一人の子どもが充実した日々を送れることを目指せば、おのずといじめもなくなっていくのではないかとこの学校の様子を見て、感じたのでした。
以下お知らせです。

 「子どもの権利条例東京市民フォーラム」
日時:2012年12月22日(土)14:00~17:00(開場13:40~)

 会場:東洋大学白山校舎 6号館3階6311教室
テーマ:“いじめ”はなぜ繰り返されるのか 子どもたちのSOSと子どもオンブズの役割・活動
参加費:1000円(学生・18歳以下無料)

 東京で、これまで継続してきた「いじめ対策」のどこの課題があるのか、基礎自治体で行ってきた子ども支援のどこに問題があるのか、権利擁護委員制度やオンブズ機能を設置するなど、新しい取り組みを進めてきた東京都や先行自治体の事例や実績を踏まえつつ、市民協働を視野に、子どもが安心して相談し、救済につなげるしくみづくりついて深め合っていく場とします。( 主催者より)
                    子どもの権利条例東京市民フォーラム
                    代表:喜多明人/事務局長:森田明美
詳しくはこちらのチラシをご覧ください。