障害者雇用に一石 “就労支援・車いす”

吉田くんのために開発した「ロボット車いす」
先日、車いすを製造している(株)メックデザイン代表取締役の井上和夫さんのお話しを伺いました。実際に、車いすを見せてくださり、試乗もさせていただきました。

社長の井上さんと
井上さんの親友の吉田くんが筋ジストロフィーになったことから作り始めたという車イス、その都度の要望に応えて作るものの、出来上がるたびに次の課題が見えてくるので、次々新しい作品がうみだされています。

木製のおしゃれな車いすも

コンセプトは自由に、快適に、ポジチィブに動ける車いす。美しいデザインは、福祉用具というより、“家具”。単に生活の道具というより、“より積極的に生きるために力をかしてくれる道具”という印象でした。

四輪駆動の電動車いす。レカロのシートが格好いい

ある一台の車いすは、横にスライドできる車いすで、“就労支援”という概念を盛り込んだそうです。障害があったって、できることはあるはず。そのできることのために自分は何ができるか、を考えるんだ、と井上さん。
そのロボットみたいな車いすは、狭い工場の中でも横にスマートに動くことができます。試乗させていただきましたが、縦横、回転、とおもしろいほど、機敏に動いてくれる車いすでした。

横に動ける「就労支援・車いす」!

井上さんがおっしゃっていました。企業から、“障害者にわが社で働いてもらうためには、こんな車いすがあればいい”という声が聞こえるといいのに。ぼくはそれに応えていきたいと。
 生活保護給付切り下げよりもするべきこと
生活保護給付が8パーセント引き下げられることになりました。大田区の場合、半数が高齢者世帯(47.6%)で、ついで傷病者世帯(世帯主が入院などで働けない)が28%、障害者世帯が7.5%、ついで母子家庭が5.5%という順になっています。つまり、働きたくても働けない状況や生活困窮者がほとんどだということです。
雇用の不安定化、低所得化、単身世帯の増加、親戚、近隣との結びつきの希薄化など、社会全体の問題を孕む生活保護であるのに、財政が厳しいからと言って、簡単にこの最後のセーフティーネットにメスを入れてもいいものでしょうか。
そこに至るまでの社会環境を改善することで、少しでも自立した生活ができる人を増やしていくべきではないかと考えます。
 障害者雇用促進へ
たとえば、障害者雇用です。障害者の雇用促進法は、従業員56人以上の企業に対し、障害者を1.8%以上雇うように義務付けをしています。けれども厚生労働省の調べでは、国内で達成した企業は47%と半分に満たない状況です。
特別支援学校を卒業しても、就職できるのは3割で、7割は自宅に引きこもったり、グループホームで集団生活を送ることが多いといいます。もっと企業の理解や知識があれば、必要な訓練を受けて就職できる人も多いのではないでしょうか。
4月からは、義務が強化され、「従業員50人以上の企業に雇用率2.0%以上」になりますが“義務”ではなく、“共生”があたりまえ社会の風土が必要です。障がいをもっていてもいなくても、働きたい人が生き生きと働ける社会を。
ロボット車いす、企業のみなさん、いかがでしょう。