「大田区景観条例」制定 ですが・・・ 反対討論の理由

【ご案内】 「寺町・池上の景観を守るために 区民にできることは何か?」まちづくり政策フォーラム
の記事に関連した、大田区議会での生活者ネットワークの討論内容を以下にご紹介させていただきます。

この第1回定例会では、「大田区景観条例」が制定されました。
「区、区民及び事業者の責務を明らかにすることにより、地域力を活かした世界に誇ることができる多彩で魅力的な景観のあるまちを実現することを目的とする」とありますが、たとえ、この条例が、現在建設中の池上本門寺近くの呑川沿いのマンションの計画前に策定されていたとしても、歴史的な寺町のまちなみを守るためにたとえば“高さを規制する”ことなどの効力はないのです。
呑川周辺は景観重点地区に定められているにもかかわらずです。

 
建築紛争は、かねてからの問題でした。 一連の規制緩和により従前より、さらに高くて規模の大きな建築が可能になり、建築基準法には違反せず、合法的な建築物であるにもかかわらず、結果として地域のまちなみや景観を乱す建築が可能になっています。
せっかく景観条例が制定されるなら、もっと効力のある、大田区としての主体的な意志と方向性を持たせたものにするべきであると考え、この景観条例には生活者ネットワークは反対をいたしました。
以下が、反対討論です。

まず、 

【1】大田区景観条例は、大田区自ら、地域特性をふまえた景観を守り育てるために必要な事項を定めるものですが、現実的には地域の景観を守るための効力がないこと。

【2】景観計画策定時に住民参加、あるいは、土地取引の際の事前協議の義務付けなどがなければ、地域住民の意思が反映されないが、住民参加の位置づけがあいまい。

【3】大田区としての主体的な意志、方向性を具体的にどのように発揮していくのか、見えない。
具体的には、景観条例があっても、鵜の木の古い松林のある台地、国分寺崖線、池上本門寺の寺町をマンション建設の開発から地域の人の住環境を守ることはできないというのでは、実際問題、意味がない。

実効性を持たせるための強い意志とそれにともなうスケジュールが示されなかったことが残念であり、反対の討論といたします。

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