「障害者権利条約」の精神を幼稚園・保育園の入園にかかわるところまで

2014年3月17日 22時57分 | カテゴリー: 子ども, 子育て支援, 教育, 議会報告, 障害者福祉

 「障害者権利条約」の精神が、大田区の施策の隅々にまで行き渡りますように。
幼稚園・保育園の入園にかかわるところから考えてみました。
今日は3月14日の大田区議会予算特別委員会での福祉費の質問内容について、以下にご紹介させていただきます。


日本は、障害のあるすべての人の人権、基本的自由、平等、固有の尊厳の尊重を促進することを目的としている「障害者権利条約」を昨年12月に批准しました。今後のあらゆる福祉施策において、この権利条約の目指す精神・共生・社会参加の権利のために、差別のない、“合理的配慮”のある環境が整えられていくことが求められています。障害の範疇のなかに、難病も加わったことで、よりきめ細やかな支援を考えていくことが必要になるのだと思います。

 ●インクルーシブ教育の理念共有について
さて、心臓病を患っているお子さんが10以上の幼稚園から入園の受け入れを断られ、最近になって、ようやく一つの園が入園を認めました。ほとんどの園が、電話口で心臓病と告げたとたんに、うちはお受けできません、という対応だったそうです。
もちろん重い病気ですから、幼稚園側が慎重にならざるを得ないことは無理もありません。
しかし、病気に対する知識や理解があれば、対応が少しは違ったかもしれないのに、難病・内部疾患に対する警戒心や不安感が先に立ったようで、相談や協議の余地もなかったことは残念です。
障害児全般で見ると、私立幼稚園全体のうち6割弱の幼稚園が、100名を受け入れており、ヒヤリングでは、発達障害の子どもはもとより、骨の折れやすい子どもを受け入れていて、気を使っている幼稚園など、それぞれに心を砕き、努力をされていることがわかりました。
平成21年に廃園になった区立幼稚園では、当時の職員だった方々に伺ったところ、障害児は、医療的ケアの必要な方以外は、申し込みがあれば、受け入れていたとのお話を聞きました。心臓病のお子さんは何人も受け入れた経験があり、チアノーゼが出るような重いお子さんもいましたが、激しい運動をしないような目くばりや、親との密な連絡等の配慮で他の子どもたちと一緒に過ごせたということです。他にも重い腎臓病で、疲れやすく、休み休みの行動をとる子どもなど内分疾患の子どもも、介助の人の目のある中で、保育をしていたということです。
平成18年に発行された「大田区幼児教育振興プログラム」は、区立幼稚園を廃止するにあたり、大田区の幼児教育の目標を確認し、保育の質を保持する意味合いで作られたと聞いています。策定委員は、区立幼稚園、私立幼稚園、区立保育園、私立保育園各代表、教育委員会、子ども育成部や区民公募委員、学識の方々です。
このプログラムは「大田区に生まれてくる子ども、大田区に住んでいる子どもに対して、性別や国籍、環境の違いや障害の有無にかかわらず、その最善の利益と良質な幼児教育を保障することを目的とする。最善の利益とは、保護者や周りの人たちの愛情の中で、心身共に健やかに育てられること、そのための生活や環境が最大限に保障されることをいいます。」とあります。
大田区の幼児教育・また統合教育に対する高い意識が表れているこのプログラムには大変感銘を受けました。が、しかしかつての区立幼稚園と現在の私立幼稚園の間で差があるとすれば、どうしてなのでしょう。区立幼稚園を廃止する際に、今後、幼児教育センターが中心になって大田区の幼児教育の底上げをしていくという説明を受けましたが、今、どのような指導がなされているのでしょう。
様々な経営方針・自由裁量を持つ私立幼稚園や保育園、さらに今後、新システム施行となれば、認定子ども園など、様々なタイプの施設ができてくる中で、幼児教育の現場が、経営重視、結果、リスク回避の傾向が強まらないとも限りません

大田区の幼児教育・統合保育に関しての理念の共有は、子どもの利益に関わり、とても大事なことだと思います。もちろん、無理やり幼稚園や保育園に入れることがいいとは限りません。その子どもにとって、ベストな環境を考えることが大事です。
伺います。

【1】 平成18年に発行された「大田区幼児教育振興プログラム」は今も生きているのでしょうか。大田区として、大田区の障害児をどのように守り、その成長・発達を保障していきますか。大田区の幼児教育・保育のなかのインクルーシブ教育の理念や方向性、具体的な方策はありますか。あるとすればどのようなものですか。

●認証保育園への  特別支援保育(教育)補助の必要性について
さて、保育園はどうでしょう。認可保育園では、全ての園で、それぞれ3名までの障害児の受け入れをしており、3名に対して一人の介助者をつけることができるようになっています。一方、認証保育園は、受け入れているところとそうでないところとまちまちです。
ヒヤリングをしたところ、加配をする手当がないので、人を付けることができず、従って障害児は受け入れることができない、と答える園や、定員に収まれば、障害児も受け入れている。補助がまったくないので、やりくりが厳しい。補助があれば、加配をして積極的に障害児を支援していきたいと思っている、と答えた園もありました。
障害児の受け入れに際しては、介助者を付けるための人件費が必要です。私立幼稚園には区から年間30万円、都から39万、学校法人だとさらにそれにまた39万が付くようになっています。それでも十分ではないという言葉も聞かれますが、なぜ認証保育園には補助金がまったくないのでしょう。これだけ待機児童が出ているということは、認可に入れなくて認証に入らざるを得ない障害児もいることでしょう。受け入れてもらえない状況では、選択の幅が狭まりますし、受け入れられたとして加配がない中では、十分な対応がなされるのでしょうか。
伺います。

【2】大田区の子どもを共に育む認証保育園にも障害児を受け入れる際の補助が必要だと思います。そうでなければ、障害児は絶対に認可保育園に入れるというふうにしなければならないでしょう。なぜ、認証保育園には補助がないのですか。補助を付けるように要望しますが、いかがお考えですか。

また受け入れに際して必要なものは、内部疾患に対しての知識や理解だと思います。適切な配慮と医師との連携で、保育が可能になる場合もあるかもしれません。もちろん、その子どもにとってその環境が適当かどうかを見極めることが大切ですが、障害・難病・内部疾患に対する、理解や知識のための研修や園同士の対応策の情報交換なども必要ではないかと思います。

 ●難病、内臓疾患、虚弱児の  保育施設(集う場)の必要性について
さて、都内に2か所、未就学の心臓病の子どもたちの集う施設があります。心臓病の子どもを持つ親たちが立ち上げた事業で、幼稚園や保育園に受け入れてもらえない親子が集まってきて保育を受けています。徹底した感染症対策をした環境、近くの病院と連携をとりながら、週に2回ですが、室内での静かな遊びが中心の保育が展開されています。
この事業は、当初は、東京都から「通所訓練事業」として補助金の交付を受けて運営されていましたが、東京都が様々な施設を、広域事業でさえも、自治体に移管していく流れのなかで、経営が危ぶまれましたが、理解ある自治体が「障害者福祉計画」の中に組み込んでくれて、その補助金で、事業が成り立っています。現在、そちらに、大田区の心臓病の子どもも2名通っていますが、都内にたった2か所しかないので、みなさん遠くから通っています。
虚弱であっても、一定の配慮の中で集団生活を送ることは可能です。心身の発達の著しい乳幼児期、友だちと遊び、共に成長していける環境を整えることは、心臓病だけではなく、腎臓病、白血病の予後、低体重児など虚弱児、病弱児と言われる子どもにとって、必要だと考えます。
さきほどの事例のお子さんは、年少・年中の間は幼稚園に行くことができずにいたので、わかばの家に相談に行ったそうです。感染症に感染すると重症化しやすいことを相談し、結果、残念ながらわかばの家の利用には至りませんでした。行くところがなく、ほとんどを家で過ごしました。
障害の範疇の中に、難病が入れられたことは、支援が、それぞれの人に応じたきめ細かなものになっていくことを指しているものだと思います。これまでの枠組みの中に、子どもを入れ込むという発想ではなく、子どものニーズに寄り添って、対応することこそ、「子どもの最善の利益を保証する」環境ではないでしょうか。
小学校に調査したところ、就学前に幼稚園にも保育園にもいっていない子どもが26人、いました。この子どもたちがどのような状況にあったのかは、わかりませんが、病弱、あるいは障害があるためにどこにも行き場がない子どももいるかもしれません。
伺います。

【3】稚園や保育園のような大きな集団には入れない、虚弱児への支援も必要だと考えます。たとえば病院近くの児童館が、病院との連携をとりながら、虚弱児のための保育のプログラムをおきこむなど、環境整備はできないでしょうか。あるいは、東京都に働きかけて、大田区にも虚弱児のための居場所を作ることができないでしょうか。お考えをお聞かせください。
【4】 就学前に集団保育を受けていない子どもがどのような状況に置かれているのか調査し、支援を考えることも必要だと思いますが、いかがお考えですか。

●寄り添うことから
障害は親のせいでも子どものせいでもないはず。でも親は、特に母親は自分をせめたりするものです。どうしたらその辛さに寄り添うことができるのか、私たちは考え続けなければなりません。
わかばの家がどんなに、いろいろな障害を持った子どもを一生懸命受け入れたとして、やはり万能ではありません。今回、子ども発達支援課長さんや保育サービス課長さんといろいろ話しをする中で、その親たちの辛さをわかっていただけたように感じられたことはうれしいことでした。
「心臓病の子どものための施設があるのですね。知らなかった。勉強になりました」という言葉もうれしかったです。寄り添うことから、よい施策が生まれてくるのだと思います。