地域の助け合い ~これからの地域包括ケアを模索して~ NPO法人コモンズ「安心お助け隊」

実家の母が、一人暮らしをしているので、いざというときに助けてもらえる仕組みはないものか、と気になっています。

介護保険サービスでは、ヘルパーさんにおそうじと食事の下ごしらえ(野菜を茹でる)をお願いしていて、とても助かってはいますが、介護保険サービスだけでは、カバーできないこともあるからです。
先日、胃がん検査に際して、病院への付き添いが必要でしたが、子どもたちが、どうしても都合がつかず、母は、有償ボランティアの団体にお願いして、検査中の付き添いも含めて、病院への送迎をお願いしました。

自家用車でその任にあたってくれた人は、定年後、はじめは家にばかりいたそうですが、何かできないか、と思い、その有償ボランティアを始めたそうです。家で待機をしていて、事業所から連絡があると自分の車で活動するという仕組みだそうです。病院の中の付き添いまでしていただけて、子どもとしては大変うれしいことでした。タクシーと違って時間に応じての料金設定なので、安価であったことも助かったと母が言っていました。
さて、狭山では、ここ数年、このようなNPO法人や任意のボランティア団体が、どんどん立ちあがり、地域福祉活動を活発に展開しているようです。

先日、その一つの事業所「NPO法人コモンズ 狭山安心お助け隊 サポートセンター」にお話を伺いに行きました。

◆NPO法人コモンズ 平成23年設立、埼玉県認証   ⇒HPはこちら

設立趣旨   ・地域の皆で支え合う仕組みを創ろう!   ・必要なサービスはみんなで創りだそう!     ・支え合いながら地域に住み続けよう!

コモンズは、「コモンズカフェ」「安心お助け隊」を事業展開していますが、まずは、「安心お助け隊」についてお聞きしました。

■安心お助け隊
「自分らしく、安心して活き活きと暮らせる社会を創造」する目的で平成24年7月に設立。暮らしの中の困りごとを生活の中で支援する、地域助け合いの組織です。
買物支援、外出支援、通院同行、散歩、掃除や部屋の模様替え、話し相手、障子張り、小規模改修、高齢者のパソコン支援・・・どんなことでも相談に乗ります。最近は、確定申告の書類を書く手伝いも。地域包括センターから支援の依頼もあるそうです。
現在、利用件数が月200~250件で、それに対応する応援会員が35人、単発の仕事も、エレベーターのない団地のゴミ出しなど、週1か2の継続支援もあるそうです。ちなみに24年度の実施概要は、多い順に、片付け102件、病院同行89件、買物代行74件、傾聴68件、剪定30件ということです。

利用料金は30分550円。1時間1100円。応援会員は「空いている時間」や「持っている技術」を地域に提供する、有償ボランティア。応援会員の報酬は、時間給ですが、7~8割が応援会員の報酬になり、残りが運営費になります。
県のNPO基金から立ち上げ育成費としてこれまで資金援助がありましたが、これからは自立していかなければならないとのこと。高齢者人口は今後さらに増えるので、助け手をもっと増やすこと、マンパワーアップが、目下の課題だそうです。

 ■コミュニティ・カフェ
NPO法人コモンズのもう一つの事業は、コミュニティ・カフェです。 そのミッションは、
・各種活動拠点の発信基地 ・暮らしの問題解決の場(情報交換) ・回転率より交流率
日替わりメニュー、ワンディーシェフ採用というユニークな事業展開。 大変興味深いです。

狭山市との協働事業として行われたのが、「野良カフェ」。 高齢者が家に閉じこもらないように、交流の場を、という目的で、畑仕事(種イモの植え付けから、収穫までを体験)をした後に畑の中で、ランチを楽しむイベントです。
こちらの資料で詳細が説明されています。
人と人との交流は、地域の活性化や支え合いにつながり、幾重にも相乗効果を生み出していくことでしょう。シニアの知恵と技術、企画、運営力が大きな下支えとなっているようです。

大田区でも、NPO法人「たすけあい大田はせさんず」が会員制の助け合い活動をもう18年もしており、介護保険では手が届かないきめ細かな支援体制を築いてきていますが、広い大田区、しかも高齢化が急速に進むので、さらに多くの助け合い、支え合いの仕組みが必要だと思われます。

狭山市で、次々新しい地域福祉の市民活動が生まれている背景には、「市民大学」の存在もありそうです。次回はその辺も調べてみたいと思います。