「コミュニティ・ビジネスと地域活性化について」 大田区議会定例会で質問に立ちました 区議会報告1

2014年6月13日 16時17分 | カテゴリー: 市民活動, 議会報告

第2回大田区議会定例会が11日から始まりました。20日まで続きます。
私は、12日質問に立ちました。
高齢化や地域コミュニィテイの弱体化の進む中で、どうしたら少しでも、みんなが生きやすく、暮らしやすくなるのか、を考えています。
もちろん、行政の果たすべき責任は、きちんと問うていかなくてはなりませんが、私たちも主体的に地域づくりに参加することで、地域の活性化と一人一人に生きがいもうまれるのではないでしょうか。

少し長いですが、以下質問全文をご紹介します。

また動画は以下で見ていただけます。


地域課題の解決のために
新しい働き方を推進する必要があります


「コミュニティ・ビジネスと地域活性化」について

まず、超高齢化社会の到来、2025年問題から述べます。
東 京において、2010年の75歳以上の人口は123万人で、全人口に占める割合が9.4%でしたが、団塊の世代が75歳以上になる2025年には、198 万人で、全人口の15%になります。1.6倍の増加です。年齢別の介護認定率をみると65歳以上が18%、75歳以上になると31%、2020年からは、 後期高齢者の人口が前期高齢者の数を上回ることが見込まれており、したがって、2025年には、介護需要が爆発的に増えることが予測されます。国では、介 護給付が現在の10兆円から、2025年には21兆円必要になるという将来推計も示しています。町工場が多いところは、戦後、金の卵と言われて、地方から やってきた多くの青年たちがちょうど団塊の世代なので、いっきに後期高齢者の数が増えるといわれていますが、大田区の場合、2025年にはどのような人口 構成になっているのでしょう。先日、高齢福祉課に尋ねたところ、まだ把握していないということでしたが、大変心配なところです。

2025 年の高齢社会を踏まえると高齢者ケアのニーズ増大、単独世帯、認知症高齢者の増大などが想定され、介護保険のサービスだけでは限界があるとし、国は、その 準備として、地域における包括的、継続的につないでいく仕組みの構築を区市町村に求めています。つまり、2015年からの介護保険制度の改定により、要支 援者のサービスの取り扱いは、区市町村に移行し、「地域支援事業」として、地域での自助・互助を最大限に活用することを「地域包括ケアシステム」の大きな 柱にしています。

制度改定には、大きな問題がありますが、超高齢社会においては、地域の支え合いは避けてはとおれないことです。

現在でもヘルパー不足が、大きな問題になっている中、大田区は、今後の「地域支援事業」「地域包括ケアシステム」そして、公と民間・地域との役割分担をどのように考えているのでしょうか。
地域コミュニィテーの弱体化に合わせて、買物弱者、ゴミ屋敷化、空き家の増加、孤独死など、都会の中の限界集落は、徐々に広がりつつあります。

しかし、この地域の実情、地域のニーズを悟ってすでに立ちあがっている区民がいます。たとえば、NPO法人「たすけあい大田はせさんず」 は、1992年に大田区社会教育女性セミナー「老いを豊かに」の学習会に参加したメンバー有志たちで作った会が始まりでした。名前の通り、「困った人がい たら、すぐにとんでいくよ」の意味の「はせさんず」です。福祉車両での車いす移送サービス、自家用自動車による福祉有償運送の事業が特徴的です。高齢にな ると、意欲はあっても足が痛くて、外出しづらい、結果、家にこもりがちになりがちですが、移送サービスによって、高齢者や障害者の「意欲」を支えていこ う、社会とのつながりを支えていこうとの発想です。足が悪いけれどオルガンは弾けるという、高齢のオルガニストを毎週教会に運び、彼女は、オルガンを弾く ことを生きがいにしている、そのような事例も聞きました。「はせさんず」は、この移送サービスを会員制の有償ボランティア事業としているほか、介護予防事 業、介護保険の訪問介護事業、育児支援家庭訪問事業、と地域の助け合い、支え合い、安心の社会を作りたいという思いで事業展開しています。定年退職後に、 この移送サービスの仕事を得て、喜んでくれる利用者との交流にも同時に満足感を得て、働いている方々を見ています。

「はせんさんず」のよ うな地域のニーズに応えていく、地域の課題解決のために働いていく市民事業が今後は、もっともっと生まれていいのではないでしょうか。超高齢化社会という 難局を乗り切るためには、市民と行政が知恵を出し合い、手を取り合って、進まなくてはならないのではないでしょうか。市民の自治する力と市民事業を育成す ることで、支え合いの輪と雇用創出で地域を少しでも活性化できるように動き出すべきではないでしょうか。

次に、「はせさんず」のような、地域貢献が目的のコミュニティ・ビジネスの育成のあり方を考えたいと思います。

ビ ジネスといっても、大企業が、利益志向で、効率性、生産性を求めるのに対して、コミュニティ・ビジネスは、地域貢献が目的で、競争や効率よりも、コミュニ ティの再生、地域の元気をひきだすことに価値を見出す働き方です。NPOやワーカーズ、市民事業、形態は様々ですが、それぞれ、顔の見える関係の中で、地 域の課題解決をめざしています。

育成の方法の一つの例です。
埼玉県狭山市では、社会貢献型の人材育成を目的にした「狭山市民大学」を設立していますが、その卒業生たちが作っている、NPO法人の事業「ワンデイシェフ」の「コミュニティレストラン」と家事援助サービス「狭山安心お助け隊」を見学してきました。

 

 

 

 

コミュニティーレストランのアプローチ。
農業を勉強した人が作った野菜の直売もしています

ワ ンデイシェフというのは、毎日、シェフが替って、自慢料理をふるまう方式で、地域コミュニティーの構築、高齢者支援と高齢者の雇用と生きがいに結びついて います。「狭山安心お助け隊」は利用会員、コーディネーター、支援会員でなりたつ、会員制のシステムで、介護保険ではカバーしきれない部分のサービスを安 価で提供しています。主に、家の片付け、病院同行、買物代行、傾聴、剪定、の希望が多く、地域包括支援センターからの支援依頼もあるそうです。

 

 

 

 

ワンデイシェフの日替わりメニューの案内が載る掲示板

さ て、狭山では最近、このような事業が次々と生まれており、そのわけを求めて、「さやま市民大学」にも行きました。16歳以上だれでも入れる「さやま市民大 学」は、起業や事業化を見据えた支援をしています。「まちづくり学部」には、「まちづくり担い手養成学科」「パパ・ママのお助け隊養成学科」「健康づく り・介護予防サポーター養成学科」、などがあります。受講料を払いそれぞれ1年間、20回から30回近くの授業を受講します。

 

 

 

狭山市にはコミュニティ・カフェが次々と誕生。
地図で紹介されていました

「まちづくり担い手養成学科」では、他の自治体の活性化している商店街への見学や卒業生のコミュニティ・ビジネスで成功しているNPOの話を聞いたり、と、実践的な勉強をしています。

元 小学校だった校舎をリフォームして、起業した団体用の事務所スペースの貸し出しや地域ニーズとのマッチングをさぐる地域連携推進室、調理室と調理の腕試し ができる、ワンデイシェフのコミュニティレストランも作っています。母親も学べるように託児室も作られ、保育を担当するのは、「パパ・ママのお助け隊養成 学科」の卒業生たちです。さらに市民大学自体の企画運営も、卒業生で作ったNPOが受託しているほか、学校支援本部事業にも大きな貢献をしているとのこと でした。

大田区では、社会教育課が主に区民センターを利用して「区民大学」を開催するなど、学習の機会は多く提供されていますが、実践的な活動や起業につながる仕組みにはなっていません。確かに「はせさんず」は社会教育課の学習がスタートですが、はせさんずのように、実践的な活動や事業に繋がっている例は、ごくわずかです。

な ぜか。狭山の場合は、1年間、共に勉強をして、課題意識の共有化と仲間作り、さらに実際に地域で活躍している先輩を講師にして、事業化のノウハウを学び、 地域に出ていきますが、大田区の学習の場では、ほとんどの場合、仲間作りと事業化のノウハウを学ぶ場には、なっていないのです。

平成25年大田区区政サポーター活動報告書の生涯学習についての調査によると「学習の成果や知識や技術を活かして、地域づくりに参加したい、その仕組みを求める」との声が多いことから、区民は、実践的な活動や起業につながる仕組みを求めていることがわかります。

あ る講座を受講した人が、せっかくその講座の主旨に賛同し、勇んでいったら、「名簿」ももらえず、日常的な継続した活動は生まれなかった、と聞きました。個 人情報保護は大事ですが、過剰なまでの警戒心は、いろいろな点で、地域の結びつきをできにくくしていることもあると感じます。

もちろん、 講座内容にもよるでしょうが、地域づくりにかかわる講座のようなときは、参加者に了解がとれれば、せめて地域がわかる名簿を配るったり、自主的に作ること を促すなど、仲間作りができる工夫はできないでしょうか。そして、市民事業の起業を目指した実践的な講座の開講と丁寧なフォローの体制を創れないでしょう か。はせさんずに続く、地域課題を解決する、市民事業が生まれるようにその育成と支援を求めます。

大田区は、地域力推進課においてコーディネーターを養成しています。コーディネーター力は今後、ますます必要ですが、同時に熱い志を持つリーダーや起業家を起こし、仲間づくりや起業のノウハウを学び、地域に働く場を創出していける仕組みや支援が必要だと考えます。

伺います。

地域課題は山積しています。その課題を解決するために、大田区はどのような方策を考えていますか。地域包括ケア体制には、人材育成と 市民事業の育成、雇用創出は欠かせないと思いますが、現在、養成されているコーディネーターは、目標を何に見据え、地域の課題解決のためにどのような役割 を果たしますか。区民の望む、学習の成果を活かして社会貢献したいとする人の力をどのように生かせばよいと考えますか。

雇用機会ともなる区民協働のあり方についてお聞きしたいと思います。
地域活性化のためには、就労は大事な要素です。
国 分寺市では、NPO法人「健康体操指導ワーカーズ」というグループが、健康体操の普及と指導員の養成を「市民協働事業」として市に提案、市からの委託型協 働事業として、3年間で全エリアに健康体操を普及しました。成果としては、高齢者の体力アップのほか、委託期間が終わった現在も、自主グループがそれぞれ の地域で活動を継続しています。「健康体操指導ワーカーズ」の次の展開として、市との防災協定を結びました。避難所生活の限られた空間では、健康を害する ことがあるとのこと、健康体操の指導の申し出を市が受けたということです。このように市民の持つ専門性と市民目線での発想が行政の課題意識と合致し、よい 相乗効果を出して、質の高いサービス提供になっている例だと思います。

国分寺市はこのような委託型協働事業を積極的に推進していますが、 「市が市民活動団体に提案した事業」(公募型)と「市民団体が市に提案した事業」(提案型)の2通りの募集があり、この「健康体操指導ワーカーズ」の事業 は、提案型だそうです。どちらも、市民の提案があったときから、担当課と調整会議を行い、提案内容について協議をして、そのうえで、1次審査が行われ、2 次審査は担当課同席のもと、公開プレゼンテーションが行われるそうです。採択された事業は、市の担当課と最終調整を行い、詳細な役割分担をして、協定書を 交わし、予算化され、協働事業が開始されるということです。助成金制度はありません。狭山の事例「狭山安心お助け隊」も助成金はもらわず、「狭山市認定」 のおすみつきを得て、市民の信頼を得られやすくなったと聞きました。

事業化で難しい点は、回転資金です。たとえば家事援助サービスをする にあたっては、依頼を受ける事務所が必要です。労働そのものの対価は得られても、家賃の支出はまた別で、都会では大きな負担です。たとえば、事務所機能だ け、公共施設を使えるとか、区が区内の企業に呼びかけて、空いているスペースを安く借りる、などできないでしょうか。商店街の空きスペースに、地域貢献型 の事業者が入れば、商店街の活性化につながるかもしれません。あらゆる社会資源の活用とネットワークで、まちをデザインしていくことが「協働」ともいえる のではないでしょうか。

伺います。

区民の力が生き、地域貢献になる協働の形は、助成金事業だけでは不十分ではないでしょうか。区民の福祉増進のためであるならば、助成 期間が終わったのちも継続していかなければ、税金の有効な使われ方とはいえません。また、活動の性質によって、協働の形はさまざまであってよいと思いま す。助成金以外の協働の形についても模索したり、区民からの提案を受けたら、担当部署と協議をして、実現可能性や区の目的との合致を探り、内容を整えてか ら、審査に臨むなど、積極的に市民参加と委託事業への道をひらくことはできないでしょうか。

協働を推進するにあたって、国分寺市では、毎年、多くの職員が「市民参加と協働」の職員研修を行っているそうです。国分寺市自治基本条例には、「参加と協働を通じ、真の市民自治を確立する」とあります。

主体的にまちづくりに関わろうとする区民とどう協力体制を創り、持続可能な地域をつくっていくことができるか、行政の工夫のしどころです。

大 田区においては、生涯学習、地域貢献、そして区民活動に関心を寄せる区民は少なくありません。大田区区民活動情報サイトへのアクセス数は、平成22年から 25年にかけて、5倍も増えています。一方、産業振興課の事業「ビジネスプランコンテスト」では、コミュニティ・ビジネスもその範疇であり、起業への可能 性を広げるよいきっかけになると思います。いろいろな課がそれぞれのノウハウを持ち寄り、また先駆的な試みをしている自治体を参考にするなどして、情報公 開と区民が情報収集しやすい工夫、支援を連携しておこなうことが必要だと考えます。

伺います。

現在、社会教育の情報は区役所6階に、区民活動団体の情報は消費者生活センター内のミックス大田にありますが、どちらも多くの区民に とっては、わかりにくい場所です。区民の意欲に応えるためにも、さらなる意欲を喚起するためにも、コミュニティ・ビジネスの可能性も含めて、情報コー ナー・相談窓口を最も人の出入りの多い、区役所の一階におくことはできないでしょうか。また、地域ニーズは地域で解決していけることが理想だと思います。 各出張所に、区民活動団体と地域ニーズのマッチングができるような、コーディネート機能をもたせることはできないでしょうか。

地 域包括ケアシステムは、介護保険課や高齢福祉課だけの問題ではなく、子育てやまちづくりにも関わる、区民の生活基盤全般に関わる課題です。生涯現役、高齢 であっても学びたい人は学べ、働きたい人は働くことのできる、新しい働き方の提示を含め、多くの区民が、その能力を十分生かすことのできる、環境作りを求 めて、質問を終わります。

 

 

 

 

狭山市民大学の学長とコミュニティレストランにて