学校図書館の充実について -大田区議会で質問に立ちました-

2014年9月12日 23時03分 | カテゴリー: 子ども, 議会報告

9月11日から第3回大田区議会定例会が始まりました。
今回は、決算特別委員会も繋がっているので、10月9日まで続きます。ぜひ傍聴においでください。大田区のHP「区議会」から情報が得られます。

大田区議会スケジュール
議案

大田区議会での私の質問内容:9月12日
「学校図書館の充実について」

“中学校の図書館は一日のうち、たった15分しか開館していない?‼ おかしくないですか。”

という、区民の方からのご意見を受けて、調べてみたら、本当にそうでした。

学 校ごとに差はありますが、「学校司書」の配置のない大田区は、管理をする人、つまり常駐する人がいないので、給食のあとの長い休み(といっても15分)、 図書委員が貸し出し業務をやってくれる時間しか開いていないのです。これでは、たくさんの本があっても“宝の持ち腐れ”だし、図書館は、クラスとはちが う、心を休める「居場所」にもなるはずなのに。

世界のすぐれた児童文学を日本に紹介した村岡花子さんがこのことを知ったら、きっと嘆かれるのではないでしょうか・・・・・

区議会で質問に立ちましたので、少し長いですが以下に全文をご紹介します。



「学校図書館の充実」について質問いたします。

下 丸子での小学6年生2名の命が失われた事件は、大変悲しいショッキングな出来事でした。一体、何があったのか、何が足りなかったのか、子どもから発する SOSを私たち大人は感じ取る努力をしていたのか、この社会は子どもたちに息苦しさを与えてしまっているのではないか、私たちは、このことをしっかり見つ めて、もう一度、子どもを大切に守り育てる環境作りに真剣に取り組まなければならないと思います。

学校図書館の充実について、図書館を子どもたちの貴重な居場所としてとらえる視点から質問をいたします。

さ て、現在の大田区の学校図書館は子どもたちの心を励まし、また知的好奇心を満たしてくれる本とであう場所として、またクラスとはちがう、心を開放でき、 ホッとできる居場所として機能しているでしょうか。ある中学校では給食の後の15分休みしか図書館が開いていず、あとの時間は鍵がかかっているという話を 聞きました。指導課に聞くと管理をする人がいないので、ほとんどの中学はそのような状況で、閉めておくしかない、との回答でした。15分では行き帰りに時 間がとられ、本をじっくり選ぶことも読むことも従って、心を休めることもできないのではないでしょうか。以前、保健室登校という言葉がありました。今はス クールカウンセラーが配置されていますが、大勢の多感な子どもたちの心に寄り添ってくれる居場所、大人の見守りのある場所は必要です。

平成17年から19年にかけて10億円をかけて、学校図書館の蔵書充実に取り組んだと聞きましたが、鍵がかかった図書館では宝の持ち腐れです。建物と本があっても、実際にそれが活用されなければ意味がありません。

教 室に行くのは嫌だったけれど、図書館は好きだったという子どもの話を聞いたことがあります。いじめやグループでの人間関係など、学校生活にはストレスを感 じる場面も少なくありません。子どもにとっては、教室は満員電車のようなものだと言った人がいました。駅について、深呼吸をして、ホッとして自分のペース で呼吸する、そんな「心の居場所」になる機能も昨今は特に学校図書館に求められているのではないでしょうか。子どもたちを見守る大人がいて、自由に本を選 んだり、読んだり、勉強できる、そのような居場所としての図書館、家で勉強する環境がない子どもにとっては、自主勉強のために、放課後や夏休みも図書館が 使えるなら、助かるのではないでしょうか。夏休みも開館している他の自治体の例では、夏休みの自由研究のアドバイスを司書に受けて、子どもたちは喜んで図 書館に通っているという話も聞きました。

一方、教師の側からとらえたときの学校図書館の開館についてです。ある教師から聞きました。何か ストレスがたまった子どもでしょうか、クラスの中で突然、奇声をあげた子どもがいたので、そんなときに「ちょっと図書館にいってらっしゃい、といえたらど んなにいいことか。時には子どもは自分の心をクールダウンさせる場所が必要なんです。でも図書館には、だれもいないから行かせることはできず、教室にいさ せるしかないのです」とおっしゃっていました。また調べ学習では、こどもたちを図書館に送って、専門知識のある司書からアドバイスを受けながら、子どもた ち自身が資料を集めて、順次クラスにもどってきて、授業を展開することができたら、効率的で豊かな授業ができるのではないかという意見も聞きました。学校 司書のいる自治体の教師からは、授業の下準備の資料集めを司書がしてくれて助かっている、また子どもの心配な様子を司書が担任に知らせてくれるので、いっ しょに子どもを見守る体制が作れて心強いという報告も聞いています。

伺います。

【1】子どもたちの心の居場所として、いついっても開いている、出迎えてくれる人のいる学校図書館を実現できないでしょうか。平成 23年度から平成27年度までを期間とする、大田区子ども読書活動推進計画(第二次)の中には、「休み時間や放課後のほか、土曜日、日曜日、夏休み等も利 用できるようにするなど、児童・生徒が積極的に本に親しめる場となるよう、読書環境を整備していきます」とありますが、この計画は具体的にどのように進め られていますか。中学校における現在の一日15分の開館時間をどのように考えますか。文科省が示しているチェックポイントのうちの「学校図書館がいつでも 使えるようになっているか」「学校図書館が児童生徒にとって、心安らげる場となるように配慮されているか」に照らして、大田区の学校図書館の現状をどのよ うに評価しますか。

いつ行っても出迎えてくれる人がいる、見守ってくれる人があるという温かさ、その中で心が励まされる本に出合えるという経験を日常的にできるのが、本来の学校図書館のあり方ではないでしょうか。

「管理する人がいない、つまり常駐している人がいない」ということが、開館できない理由とされていますが、では、管理をする人とはだれで、どのような役割をもつのでしょう。

大 田区は専任で学校図書に関わる司書等の配置がありません。配置がない23区中5区のうちの一つです。司書教諭が図書担当になってはいますが、担任を持ち、 部活など他の業務もあるので、図書館に常駐することはもちろんできず、教師の多忙化が問題になっている昨今、司書教諭が何をどこまで、できるのかを検証す ることと、図書館がその機能を十分に活かすための人的環境とはどうあるべきかをしっかり考える必要があります。

学校司書の役割

こ の6月に学校図書館法が改正され、「学校には、学校図書館の職務に従事する職員、学校司書を置くように努めなければならない。」という文言が加わりまし た。努力義務ではありますが、継続的、安定的に人を配置することの重要性が確認されているわけです。学校司書の役割は、司書教諭と対等な関係のもとで、学 校図書館の運営にあたるとされています。

具体的には学校図書館が読書活動の拠点となるような環境整備などの「読書センター機能」、司書教 諭や教員との相談を通じた授業のねらいに沿った資料の整備など「学習センター機能」、図書館資料を活用した児童生徒や教員の情報ニーズへの対応など「情報 センター機能」、など児童生徒や教員に対する「間接的支援」や「直接的支援」に加え、「教育指導への支援」に関する職務を担っていくことが求められていま す。

図書館の運営・管理と児童生徒に対する「教育」との両面にわたる知識・技能が求められる専門的で高度な職域であり、学校教育の一翼を担う重要なポジションにあることがわかります。

大 田区においては、この学校司書やそれに代わる配置がなく、「司書教諭」「ボランティア」「児童生徒で構成する図書委員」で、図書館を担っています。来年度 からは、公共図書館の指定管理者の業務の一つに学校図書館の支援として各学校、年70時間程度、週に2時間の支援が計画されています。

それぞれの役割を整理してみます。

司書教諭は、 学校図書館をどのように運営していくか主体的に取り組む最も責任ある立場にあります。図書館経営の目標・計画の立案、図書館年間利用計画のとりまとめ、学 校図書館を活用した指導に関する教員への助言・研修の他、図書の選定、図書委員会の指導、そして計画に基づいての支援員、ボランティアへの指示を出すなど の統括責任者です。本来であれば、学校司書とタッグを組み、学校図書館の機能強化・読書活動推進を図る立場です。

ボランティアは、主に図書の整理、修繕、補修、登録、展示などがその仕事であり、貸し出し業務などは個人情報に関わるので、安易に関わることはできません。

支援員は、 指定されている業務内容として、学校図書館の運営、活用、整備に関して児童生徒・教員・ボランティアへの支援を行う、とされています。専門的見地から、図 書資料の分類、蔵書管理を中心に、各学校に応じた支援をするわけですが、学校教育の担い手としての学校職員の一員ではありません。

学校図 書館は公立図書館と異なって、「教育課程の展開に寄与する」役目があるので、目的や方針を持った、指導者・指示者の存在が不可欠です。新たに支援員が加わ るのであれば、その支援員の力を生かすためにも、なおさら司書教諭を助ける学校司書の存在が必要になると考えられます。

伺います。

【2】司書教諭は学校図書館の運営を主体的に取り組む最も責任ある立場です。しかし担任を持ち、授業の準備など多忙な司書教諭が図書 館運営に力を注ぐことには実質、無理があります。実際、図書館が未整理でほとんど使われていなかった状況もあったと聞いています。ボランティアや支援員の 存在は、大きな助けになってはいても、主導的な立場とはなりえず、主導権は学校がにぎらなければなりません。

日常的に、子どもたちへの読 書指導、教員の授業支援を行えるのは、学校の中に位置付けがあり専門知識をもって、継続的な関わりを持てる学校司書等の存在です。子どもたちにとっての豊 かな経験を保障するためにも、教師の負担を軽減し、クラス経営と授業に専念できるようにするためにも、学校現場に安定して常駐する学校司書を配置するべき と考えますが、いかがですか。

子ども文教委員会での視察で行った「一宮市」は子ども読書サミットを開いて、「子ど も読書宣言」を子どもたちがつくるという積極的な活動をしていますが、行政側が「子ども読書推進計画」を作り、その進捗管理は半数が、学校長や読書推進活 動をしている、市民団体など、現場の人が入っている別の組織が行っていました。

伺います。

【3】大田区子ども読書活動推進計画の進捗管理はどのように行われますか。
計画を立てたのが、行政側だとすると、進捗管理の委員会には、読書推進に関わっている市民団体など、公募委員を加えて、この読書活動推進計画を実行性のあるものとして、活かしていくべきと考えますがいかがですか。

私 自身は、中学時代、村岡花子さんの訳の「少女パレアナ」が大好きで、どんなことにも喜べる一面があるという「喜びの遊び」にとても影響されて、勇気を得た ものです。学校での学びは学力だけではなく、広い視野や新しい価値に出会うことでもあるでしょう。心の葛藤が大きい思春期に心を強くされる本に出合う、見 守ってくれる大人に出会う、そんな居場所を確保することは非常に重要だと考えます。週に一度のスクールカウンセラーや事件があったときだけの「心のケア」 だけではなく、日常的な子どもたちの居場所を充実させることが大事です。本から得る、想像力、共感力は個人の人生を豊かにすることだけでなく、社会全体の 健全性に繋がるものであると考えます。人件費のコストカットは教育の場にはふさわしくありません。未来を担う子どもを育てる教育なので、そのことをもっ て、持続的な費用対効果といえるのです。

最後に、伊万里市民図書館館長の言葉をご紹介します。

「子どもが本を読まない町にはみらいがない」

以上で、質問を終わります。