羽田空港対策特別委員会・行政視察 福岡(10月22日~23日)の報告

福岡市は、“アジアで最も生活しやすい都市”という評価を受けたことがあるそうです。
空港から都心部や主要な観光スポットに 2~30分で移動できるというコンパクトさが大きな特徴。それが国際的にも評価を得て、コンベンション事業に大きな効果を及ぼしているようです。特にアジ ア諸国からは近く、美味しい食・文化的歴史的名所など地の利の良さは、街を歩いていて、アジアからの旅行者の多さからも実感できました。

福岡市が、福岡空港との連携で取り組んでいる事業を知ることで、羽田の国際化と大田区の未来像、また羽田跡地に計画されている「産業交流施設」の意義や、(経済)効果について考える、よい機会となりました。

福岡市の取り組みをご報告します。

福岡市のMICE(マイス)振興 産学官民一体でコンベンションシティ (多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称)

Meeting  企業などの会議
Incentive travel 企業などの行う報奨・研修旅行
Convention  国際会議・団体、学会などが行う国際会議
Exhibition/event  展示会・見本市・イベント

公益財団法人 福岡観光コンベンションビューロー
福岡市や周辺地域と連携して、観光客の誘致、コンベンンションの誘致を行う。常時国際的な最新のコンベンション情報を収集・分析し、積極的に開発・セールス。主催者への支援。

福岡コンベンションセンター
コンベンションゾーン。福岡国際会議場・福岡国際センター・マリンメッセ福岡・福岡サンパレス

福岡国際会議場・・・ その規模と設備のユニークさには圧倒されました。ベルリン国際会議場をまねたという多目的な機能は、たとえば、1000席のメインホールのステージ上の間 仕切りを開くと多目的ホールと一体となり3000人収容できるコンベンションホールになるなど、驚きの演出も可能。その他、大小さまざまな会議場や展示 場、間仕切りで、フレキシブルに使うことができます。稼働率90%で、黒字。国際コンベンションの開催数は東京に次いで2位で2013年には年間253回 使われました。6か国語に対応する通訳ブースもあるとのこと、2016年6月には35,000人規模のライオンズクラブ国際大会が開かれるというので、周 辺の商業施設への経済効果も大きいと思われます。

マリンメッセ福岡・・・スポーツからコンサートまで多目的に使用できる空間設計。9,100㎡。12,000名収容可能。コンクリートの床に板を敷くこともあれば、水深3mの仮設プールを作って国際水泳競技大会、フィギアスケートの国際大会も行いました。

どちらの施設も“どんなニーズにもこたえる”、 という、はんぱではない、規模と機能に、強い印象を受けました。施設もさることながら、コンベンションの誘致に関して、積極的に調査や企画、開発、営業に 動いているというのも、成功の秘訣にちがいありません。ただ立派な施設があるだけではだめで、いかに利用者の利便性を考え、支援する姿勢が大事であるかを 学ばせられました。

福岡空港

旅 客数、年間着陸回数とも全国第3位。滑走路が1本の空港のなかでの、着陸回数は全国1位。17.1万回。国内27路線、国際21路線。滑走路を増やす計画 がある。騒音対策としては、夜間は10時以降、7時までは原則、離発着をしないことにしている。空港の地下には地下鉄、また福岡都市高速道路もすぐ。

【空港周辺の環境対策
パークゴルフ
移転補償事業により取得した土地に緑地帯とパークゴルフ場を整備。1ラウンド200円という安価で、健康志向にもマッチ、平日は140~150人の利用があり、土日はファミリーがよく来ているとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

市民農園
区画を貸し出し、市民が野菜や花作りを楽しんでいる。

 

 

 

 

 

ドッグラン
ゲートボール等の多目的利用にも対応する。

いずれも市民の意見を取り入れての事業。


◆◇感想◇◆

空港周辺の騒音被害は、大田区にとっても大きな課題で す。防音設備などの保障はもちろんですが、区民の憩いの場を創りだしていくということも一つの方法だと思います。経済的な繁栄と住民福祉は、相反する場合 が多いものです。今後、羽田空港は発着枠を増やしていく計画をもっています。どのようバランスをとっていけばよいのか、地域の人の意見をしっかり聞きなが ら、慎重に進めていくべきでしょう。

空港からのアクセスがよく、歴史的文化的な観光スポット、美味しい食べ物に事欠かないばかりか、自然 も豊かで、都会的な洗練された街並み。Wi-Fiの環境や4か国語の町中の表記など、おもてなし環境も整っています。アジアからの観光客は日常的なレ ジャーの延長で来るそうです。当初は買物目当てだったものが、リピーターは、空気の美味しさ、日本文化に触れる、など目的が変わってきているとか。同じ歴 史・文化のルーツを持つ民族間で、惹かれ合うものもあるにちがいありません。

ひるがえって、大田区を考えると、いくらビジネスマッチング を目的とするといっても、街に魅力がなくては「産業交流施設」への海外企業の誘致は難しいでしょう。まず大田区自身の魅力を区民とともに発掘し、町工場 を、街を、活性化していくことこそが必要だと感じました。区民も観光客も幸せになる街に。

今回の視察で学んだことはいろいろありましたが、“アジアの平和な交流と相互の繁栄”の大切さは、帰りに寄った、九州国立博物館で開催されていた、特別展「台北故宮博物院」を見たことでさらにその思いが深まりました。

 

 

 

 

 

 

福岡国際会議場のメインホールのステージにかかっている博多織の緞帳の前で