障害当事者議員のトーク! 「合理的配慮」が多様な分野で進む社会へ に参加して

『「合理的配慮」が多様な分野で進む社会へ』〔6月13日(土)北区赤羽会館 主催:NPO法人 わくわくかん〕に参加してきました。

この5月に聴覚障害者の「斎藤りえさん」が北区の区議会議員に当選しました。1歳の時に病気により聴力を完全に失ったそうです。銀座の高級クラブの「筆談ホステス」として有名になった方でもあります。

こ のことをきっかけとして、障害当事者が政治に参加することの意義を考えよう、という呼びかけの集会でした。コーディネーターは視覚障害者の堀利和さん(元 参議院議員)です。視覚障害者、聴覚障害者、(車イス利用者の)身体障害者の議員(元議員も含めて)らがいろいろな地域から集まりました。集会は、情報共 有できるように、手話通訳や聴覚障害者の筆談を書画カメラで写すことがなされました。

 

 

 

 

元参議院議員 堀利和さんと 
(左は品川ネットワークの吉田由美子さん:以下同)

障害の種類によって、選挙や議会活動での苦労はちがうでしょうが、“情報保障がいかに配慮されるか”は言論の府である議会であるからこそ、大いに関心のあるところです。彼らが一つ一つ障壁を取り除いていくことが、障害者が社会参加、政治参加しやすくなるための風穴になっていくことを議員たちの生の声を聞きながら感じました。社会を変えていくチャンスにちがいありません。

お一人お一人の経験が、大きな気づきになったので、お話の一端をご紹介します。

藤田芳雄さん(視覚障害者・長岡市議会議員を3期務める)

盲 導犬と一緒に登庁。盲導犬が議場に入ることに対して市民からの抗議。「神聖な議場に犬が入っていいのか」。それに対しては、「議員としての仕事をみてほし い」、と対話を重ねた。自分が庁舎にいることで、庁舎のバリアフリー化が進んだ。苦労したのは、資料が読めないこと。情報の収集は苦労したが、パソコンの おかげで活動がしやすくなった。

 

 

 

 

 

元長岡市議会議員原田義芳雄さんと

斎藤りえさん(聴覚障害者・北区議会議員)

選挙期間中、チラシが配れなかったのには困った。その分、一人一人に語りかけた。議会では、同時音声ソフトや音声同時読み上げソフトを使用するので、情報の共有はできる。
筆記したものを読み上げてくれるなど、援助してくれる人がつくこともある。(政務活動費も利用)

 

 

 

 

北区議会議員 斎藤りえさんと

さいとうまことさん(車イス・名古屋市議会議員6期目)

選挙中は移動が困難だった。議員になったせいで、名古屋市の施設のバリアフリー化が進んだ。介護保障について行政と市民団体とのつなぎをした。介護ヘルパーの使い勝手は、トップレベルになった。「障害者福祉のことなら、斎藤さんに聞こう」という雰囲気はできた。
「差別ヤジ」・「スロープなどに1500万円もかけたんだぞ」を経験するが、“バリアフリーと人権”の問題を全議員で考えるきっかけをつくった。

 

 

 

 

名古屋市議会議員さいとうまことさんと

 


以上のようにその存在によって、議場に、庁舎に、公的施設にバリアフリー化と「合理的配慮」を考える素地をもたらせた意義は大きいと思い ます。議員としての活動も福祉に限らず、さまざまな分野で発言することで、“障害者は何もできない”という見方を打ち破ってきた、という話から“偏見”を 味わってこられてきていることが伺われました。藤田さんの“逆境と良き友こそが人生の宝”という言葉が心に残りました。

議員が市民の代表者であるなら、さまざまな立場の人が議員になるべきだと感じます。帰る道々、この歩道は、視覚障害者の方は、歩きにくくないだろうか、などとあちこち気になりながら家路につきました。