大田区議会報告 「子育て支援」と「区民協働」のあり方について一般質問に立ちました

2015年12月4日 19時39分 | カテゴリー: 子育て支援, 市民活動, 議会報告

第4回大田区議会定例会が終わろうとしています。
私は今回は、「子育て支援」と「区民協働」それぞれのあり方について質問いたしました。
以前、品川区で第一子を産んで第2子を大田区で産んだママが、二つの自治体の違いを教えてくれました。当事者の実感に勝るものはないですね。
そんなことから、今回、品川区の保健センターに取材に行き、区民協働については、活躍されている区内団体や個人に取材しました。
 
いいことは他の自治体からどんどん学ぶべきですし、区民の力を最大限生かして区民協働を推進していくべきです。

以下に動画と質問全文をご紹介いたします。


「子育て支援・区民協働のありかた」について質問いたします。

子育て支援については「孤立しない子育て」を考えてみたいと思います。

貧 困のためにアパート代を払えず小さな子どもと無理心中を図ったり、小さな子どもを放置したまま仕事にいき、事件に発展したニュースもありました。ネグレク ト、暴力などの虐待も大変心配です。このようなニュースを聞くたびに、なんとか人とのつながりの中で回避ができなかったのか、救うことができなかったの か、心が痛みます。「助け合い」「支え合い」のコミュニティーが失われてきていること、かつてはあった地域の機能が失われてきてしまっている現実にしっか り目を向け、私たちには、一つ一つ、新たな地域づくりに力を注いでいくことが求められています。地域力の要はなんといっても人と人とのつながりです。今、 自治体が力を入れることは、箱モノより、人と人とがつながる仕組みであり、区民が自分の力を生き生きと発揮できる体制であり、職員に求められる力はファシ リテーター、コーディネーターの役割になってきているのではないでしょうか。

“人とのつながり”という観点で子育て支援を強化すべきだと考えます。

横浜市が子育てについての調査をした中で、自分の子どもを産む前に赤ちゃんの世話をしたことがあるかどうかを聞いたところ、75%の人が世話したことがないと答えたそうです。大田区でもおそらくあまり変わらない状況であることが推測されます。

出 産に際して、里帰り出産でなく、出産退院後、誰のサポートもなく、母子のみで過ごす家庭の場合、新生児を育てる母親の不安感や閉塞感は強く、その養育不安 は、子どもとの関係が悪化するというリスクにもつながります。このことから出産直後の不安に寄り添う施策は非常に重要です。

大田区は現在 「すこやか赤ちゃん訪問事業」を行っており、全ての乳児家庭を生後4か月までに保健師または助産師が訪問し、乳児とその保護者の心身の状況や養護環境を確 認し、子育て情報の提供や支援が必要な家庭に対しては適切なサービスの提供につなげており、専門家に見回ってもらえることは大きな安心感につながることで しょう。

見回り時に見つけられた、養育支援が必要な家庭には、お母さんといっしょに赤ちゃんの世話の支援をする「ゆりかご」という訪問事業もあり、大田区が丁寧に子育て家庭を見守る仕組みを持っていることに大いに評価をいたします。

し かしながら、区内では子ども家庭支援センターへの虐待の相談件数が、平成22年から26年にかけて1.4倍に増えており、品川の児童相談所に虐待によって 保護された大田区分の子どもは0歳から5歳までの乳幼児が平成17年15人で平成26年は30人と2倍に増えています。保護総数も75人から110人と 1.46倍に増えています。もっとも親の愛情を必要とし、社会へでていくための基本的な自己肯定感を育むべき乳幼時期に不安定な厳しい親子関係を経験する ことは、なんとしても避けたいことです。今以上に子育て支援のあり方には工夫をする必要があると考えます。

地方から仕事や結婚で大田区に移り住み、地域の中に知り合いや友人がほとんどいない、という人も少なくない状況が伺われます。
大 田区の場合は4か月検診までの間に母子で出かける公的な機会はありませんが、実はその期間が母親にとっては、最も不安の大きい時期でもあります。初めての 出産と育児の不安感に加えて、ほとんどだれとも言葉を交わすことなく過ごす日々は、社会から取り残されたような孤独感があり、ある母親の言葉を借りると 「気が狂いそうになるほど」だといいます。専門家でなくても、気安く話せる、同じ立場の人、友だちの存在が不安を取り除く大きな要素になるのではないで しょうか。

品川区の保健センターでは、もう20年前から、この時期の友だち作りの仕掛けに「赤ちゃんとお母さんの集い」が催されていま す。産後1か月から4か月の間に、3回、地域ごと、赤ちゃんの月齢ごとのお母さん同士の交流事業で、情報交換や母乳相談などもあり、大変喜ばれているそう です。早生まれだと入園の時期など、その月齢ゆえの、共通の悩みもあるでしょう、多くのお母さんたちの絆が深まり、集いが終了したのちも、自主サークルと して、ずっと集まりを続けていくグループも少なくないそうです。ですから、3回目の集いの時は、区の施設の集会室の借り方などの説明をするそうです。

こ の集いのもう一つの役割に、同じ保健センターで行われている、妊婦さんのための母親学級に産後1か月のお母さん5組が出向き、出産のエピソード、産後一か 月の生活について、妊娠中にやっておいてよかったことなどを話に行く交流会があります。妊婦さんたちは初めての出産に不安を感じるものですが、ちょっと先 を行くお母さんたちのアドバイスを受け、安心感を得て、勇気づけられて、出産に臨むそうです。

地方から出てきていること、赤ちゃんに接し たことがないこと、さらにインタ―ネット時代に生きている若い母親にとってはコミュニケーションを不得意とする人も増えているでしょう。地域の中で、安心 して子どもを産み育てられるように人とのつながり、友だちとの出会いを含めての、子育て支援の環境を整備していくことがこれからは特に必要です。

伺います。
【1】 大田区では、すこやか赤ちゃん訪問事業の際に見つかる、「産後うつ」の傾向のあるお母さんを集めての交流会はあるということですが、どの母親にとっても、 初めて経験する出産と産前産後は気持ちが不安定になる時期です。公園や児童館に行ってもすぐに打ち解けて友だちを作れる人ばかりではありません。
お母さんが最も不安で孤独を感じる、赤ちゃんの生後4か月までの間、4か月検診の前に、地域ごと、月齢ごとにグループを作り、人とのつながりをもてるような「集いの事業」を実施できないでしょうか。

将来の地域を創っていく人は若い夫婦であり、その子どもたちです。仲間作りを大田区がバックアップをすることで子育てしやすい、そして将来に続く支え合いの地域になっていくのだと思います。


こ ども子育て新制度が今年からスタートし、大田区でも「大田区子ども・子育て支援事業計画」が策定されました。計画の基本的な視点の中で、「地域力による区 民との協働の視点」という項目があり、「子ども・子育て支援は広く社会全体で取り組むべき課題であるという意識の醸成とともに、家庭、地域社会、行政がそ れぞれの役割のもとで協働して子ども・子育て支援を進めるための仕組みづくりを推進します。」とあります。また基本目標1として「地域における子育て支援 体制を充実します」とあります。

地域の中ではさまざまな区民が独自に子育て支援活動をしています。それらの活動はニーズがあって生まれて いるものです。大田区がこれらの区民活動と協働・連携をすることでより的確に区民のニーズを捉え、子育てしやすい環境を創りだしていくことができるのでは ないでしょうか。
  
千鳥町いこい公園の隣にあるNPO法人「こあら村」は、子育て広場を開設して10年。子育てを終えたスタッフが小さな子どもとお母さんに寄り添って、遊びと語らいの場を提供しています。

蓮沼駅近くの八百屋「だんだん」が実践する「子ども食堂」は、週に1回、子どもだけできてもいい、安価で食べられる食堂を開設しています。学校と家庭以外にも子どもの居場所を作り、何かあったときはSOSを出せるように、地域の助け合い、支え合いの一助になることをめざしています。

下丸子のNPO法人「ぷーさんの家」は、子どもの預かり場所がどこにも見つからず、せっぱつまった場合、子どもを預かってくれるかけ込み寺のような役割を果たしています。

上池台では月に4回、自宅を開放して、子育て広場「ほっとスペース・じいちゃんち」が 開催されています。児童館とはまた違って普通のおうちで過ごすリラックス感があり、乳幼児にとっては、ハイハイしながら、自由にのびのびと遊び、母親に とっては、ゆったりと子どもを見守りながら、情報交換をしたり、おしゃべりができる空間です。子育てを終えたボランティアスタッフがいることで、子育ての アドバイスもさりげなくしてもらえます。また料理好きな主催者はパパたちに料理教室を開くこともあり、家族ぐるみで「じいちゃんち」は頼りにされていま す。

その他にも地域の中で、子育て家庭を支えている活動があるのかもしれませんが、地域の子育て力の強化のためには、このような活動が維 持、活性化されることが重要です。大田区の子育て環境を良くしていく為に、大田区は今後どのような体制をつくっていけばよいのか、「大田区子ども・子育て 支援事業計画」の中で使われている“協働”という言葉がどのような環境作り、仕組み作りを意味していくのか大いに期待するところです。

伺います。
【2】これらの民間の子育て支援団体との定期的な意見交換の場を持つなど、行政も一緒になって情報共有をし、大田区の子育て環境をよりよくする仕組みを創れないでしょうか。その中から、区民のニーズに対応する、的確な施策が生まれていくかもしれません。


さ て、区民協働課の事業、地域力応援基金を通しての、区民協働の意味を考えたいと思います。スタートアップ・ステップアップ・ジャンプアップという3種類の 助成金がありますが、申請して通る団体もあれば、通らない団体もあります。通らなくても、活動を休止するわけではなく、地域貢献を着々と進めている団体も あります。

たとえば、先ほどご紹介した子育て広場を運営している「じいちゃんち」は3回助成金の申請をして、残念ながら、3回とも通らなかったそうです。通らなかった理由が、毎回7~8組の親子の参加では、公益性がないから、ということだそうです。

公 益性が、あるかないかは、なかなか、審査の時点では判断の難しいところではあるかと思います。しかし、現在の「じいちゃんち」は、口コミだけで毎回、親子 合わせると15,6人喜んで集い、もうすでに270人以上が登録し、季節ごとの行事にはパパも参加して、地域の若い家族が集い交流する居場所になっていま す。

母親の育児不安とストレス解消、ひいては、虐待防止にもつながっているにちがいありません。障害のあるお子さんを持ったお母さんを励ます場にもなっています。

現 役をリタイアした人たち、子育てを終えた人たちが地域社会に貢献しながら、新たな生きがいをみつける場にもなっているのです。「じいちゃんち」の主催者は この広場事業をやっていなかったら、会社人間だった自分はリタイアしたとたん、地域の中で孤立していたかもしれないといっていました。社会教育課が主催す る「地域と教育」という講座を受講し、受講仲間と子育て広場を運営しようと思い立ったそうです。大田区主催の講座が人生の転機になった、いわば、大田区が 種を撒き、その種が芽を出し、今どんどん実をつけていっているところです。

区民協働とは、助成金だけのことではなく、受益者区民のために、行政と区民事業者が対等に協働体制をとりながら、共に住みよい大田区を創っていくことではないでしょうか。

伺います。
【3】 「じいちゃんち」のように、助成からは漏れてしまったとしても、現在、子どもや子育て家庭を地域で育んでいこうというのは、社会が求めている情勢でもあり ます。助成金という方法でなくても、活動の維持・活性化のためには何が必要なのかをヒアリングして一緒に考えていくことはできないでしょうか。

さて、次は、助成金を終了したあとの活動についてです。

区民協働の助成金を得た団体の中に、「昔ながらのトマトの勉強会」という団体があります。
こ の団体はスタートアップを2回、ステップアップを2回獲得して多摩川駅周辺でトマトフェスタやマルシェ、を展開し10年、年々賑わいが増し、拡大してきま した。主催者の話によると、各地の農家の作ってくれた世界のトマトを展示販売することで、農業活性化、農業支援、またブースで自由なお店を出すことで、地 域の活性化や若者支援、にもつながっている、ということです。たとえば、区内に住むイギリス人が会社員でありながらも独立したいという願いを持っていて、 試しにブースでイギリスのパイやチャツネを作って販売したところ、おいしいと評判になり、友だちができて、情報を得ることができて、ついに自分の店を持つ ことができたそうです。独立への足がかり、マルシェがトライアル、練習の場になったということです。また引きこもりの青年がブースでの販売をてつだったこ とで、コミュニケーションの訓練となり、やがて学校や仕事に復帰したという話も聞きました。トマトの原産国ペルーに対しては、ストリートチルドレン支援に この団体が売上の一部を送る活動をしていることで、ペルー大使館との関係が生まれ、この活動に影響を受けて、ペルー大使館でも「チャリティーコンサートが 開かれるようになったそうです。区民協働の助成金により、まずテントを買うことにはじまった小さな活動が、地方との連携、被災地の支援、教育、福祉、また 市民レベルでの国際交流にも発展してきているなど、様々な効果を産んで持続的な活動となっていることに驚きました。

助成期間を終えた後、 この活動は多摩川から発展して今年8月から蒲田西口商店街とも連携して、西口でのトマトフェスタを月2回開催することになったそうです。その際、区民協働 課に相談にいき、そこから産業経済部・観光国際都市部観光課につないでもらい、大田区の後援名義を取ることができたそうです。大田区がバックアップするこ とで得られる信用はとても大きなものだと聞きました。ポスター掲示やチラシ配布には大きく影響するそうです。

マルシェの相乗効果は、縦割り行政に対して横の面を広げていく可能性を秘めていますが、その発想と区民の手腕が最大限に発揮されて発展するように助成終了後も関係部署とつなげるなど、コーディネートする役目が区民協働課に求められることを今回の事例で実感しました。

平 成25・26度大田区区民協働推進会議がだした、活動報告によると、助成終了後の団体へのアンケート調査の「終了後にあるとよかった区の支援で一番多いの が「他団体や担当部署との連携」で回答団体数の約半数に上ります。これはこれらの団体が連携によって、さらに活動を安定、活性化させることができるという 目算があるからでしょう。助成金を受けて、実績を積み、さらに一歩進んで活動をしていきたいと考える意欲的な区民の存在は、大田区にとっては、大きな財産 であり、それを生かす手立てを考えるのが区民協働の役目ではないでしょうか。公益性があるということで、選んでいるのなら、事業の継続展開を見守り、バッ クアップをする道を探るべきです。

伺います。
【4】平成25・26年度 大田区区民協働推進会議活動報告の「地域力応援基金助成事業の検証」のためのアンケート結果からは助成金以外の支援を区民協働課に期待していることがわかります。
区民協働の目的が単に助成金を出すためでなく、「地域力を推進するためであるならば、助成金以外の協働のあり方も区民と共に研究、開発するべきだと考えます。
活動報告の中の「他団体や担当部署との連携」を望む声を受けて、区民協働課は、今後、区民活動の継続と活性化のためにどうしていきますか。

区民のニーズを敏感に察知して、動き出すのは、地域で共にくらしている区民です。報告書を見ると幸いなことにこれまで助成を受けた団体のほとんどが、活動を継続させています。ニーズがあるからこそ、活動が継続しているといえるでしょう。

今 後、地域福祉のためにも、区民活動が活発になることは非常に大事です。退職した人が地域の中で新たな生きがいを見つけること、社会貢献をすることで地域が 活性化することは大いに歓迎すべきことです。そのためには、現在、活動をしている団体を広く区民に紹介していくことには大きな意味があると考えます。ある いは、大田区のHPでもいいかもしれません。それによって、後に続く人が参考にしたり、仲間に加わったり、区民活動と町会・自治会の連携を促進するために も、活動のわかりやすい紹介は必要だと思われます。今後の行政と区民との協働のあり方や行政と区民活動の役割分担を考える材料にもなるのではないでしょう か。

伺います。
【5】活動紹介の冊子をつくって、広く区民に周知するべきです。いかがでしょうか。

区 民活動のアイデアと活力には目を見張るものがあります。今後、企業に委託しているものを大田区に住み、大田区を愛している区民活動団体にお願いした方が効 率よく、質のよいものが生まれるかもしれない、そんな可能性にももっと積極的に目を向けてもよいのではないかと考えます。とりもなおさず、人と人とのつな がりの感じられる地域社会を創っていくことが、日々の暮らしやすさ、またいざとうときの助け合いにもなるのだと思います。大田区は国際化、観光化をうたっ ていますが、いきいきとした、安全なまち、ホスピタリティーのある町は、外国人にも誇れることでしょう。しかしそのような地域社会を創るのは、看板ではな く、一人一人の区民の力であり、そのつながりであり、協働の力により、さらに大きくなるのではないでしょうか。