天ぷらバスを走らせよう 循環型社会をめざして

使用済み天ぷら油のリサイクル
精製して、バイオディーゼル燃料へ

萩中にある「東京バイオマス地域福祉事務所あぐりーんTOKYO」 の所長さんにお話を伺いました。この事業所は、廃食油を回収して精製、ディーゼル燃料を生み出す事業をしています。あぐりーんプラント設備では10時間で 日量200ℓを精製できるそうです。捨てるはずだった油でトラックやバスを走らせることができるなんて素敵です。排気ガスの匂いが天ぷらの匂いなのだそう です。また精製の過程で採れるグリセリンからは石鹸を作り、ハウスクリーニングの事業も行っています。

Co2削減、家庭や飲食店が油田

石油をめぐって戦争をしなくてもよくなる、地消地産のエネルギー・平和産業です。

現在、大田区では、各出張所で、週に一度、家庭用使用済み食用油の回収を行っていますが、あまり周知が進んでいないようで、結果、多くのご家庭は「固めるテンプル」や新聞紙に浸みこませて捨てる、という方法をとっているのではないでしょうか。

あ る飲食店は、これまでは、「固めるテンプル」で大量の油を固めて、しかもゴミの収集日には事業者用のシールを貼って出していたので、出費もバカにならな かったけれども、今はお金も手間もかからなくなって、おまけに環境に優しいことをしている、という満足感も得られて、いいことずくめ、だと言っていまし た。現在は、区内の小中学校も数校、協力してくださっているようですが、さらに廃油の回収・循環が進むといいですね。

ご関心のあるご家庭や事業者の方は、ぜひ「あぐりーんTOKYO」までご一報ください、とのことです。

大田区にとってはゴミの削減にもなり、しかも、子どもたちには環境についての学習にもなるでしょう。

所長さんの語ってくれた夢は、幼稚園の子どもたちの集めた油で、幼稚園バスが走る、区民の集めた油で、オリンピック選手を載せたバスが走る、大田区が環境先進都市になること!
大田区は水素自動車を走らせるべく、水素ステーションを建設中ですが、一般区民が暮らしのなかで参画できる「油回収」も有効なエコですね。

「ワーカーズ」という働き方

この事業所の母体は「特定非営利活動法人ワーカーズコープ」 ですが、「ワーカーズ」の働き方は「雇われるのではなくて、主体者として、共同・連帯して働く、みんなで出資し、民主的に経営し、責任を分かち合う」とい う働き方です。地域の課題を解決しながら、働く場所を創っていく「社会連帯経営」。この「あぐりーん」の事業は、元々は、「ひきこもり」の人の就労場所作 りから始まったのだそうです。

営利や効率性ばかりを追い求めるのではない、こんな働き方が今、じわじわと日本中に広がっているのです。地域再生のエネルギーにもなることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

東京バイオマス地域福祉事業所「あぐりーんTOKYO」の所長、黒田さんと