原発被害者の声が聞こえていますか? 「一億総活躍社会」には、福島の原発被害者は入っていますか?

1月25日、衆議院議員会館、「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟による“政府交渉”に参加してきました。

 

 

 

 

 

 

会議の風景

 

 

 

 

 

 

会議室の入り口

福島県は「自主避難者の避難先の住宅の無償提供(住宅借り上げ制度)」を2016年度末で打ち切る方針を出しました。福島県にとっては、県内に戻ってきてもらいたいがための誘導策でもあるのでしょうが、県内には未だに線量の高いところもあり、多くの親は子どもへの放射能の健康被害を恐れて、避難の継続を希望しています。

「原発事故子ども・被災者支援法」では、「放射能が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」ことを明確に認め、支援策について、「被災 者一人一人が居住、他の地域への移動および移動前の地域への帰還について選択を自らの意志によって行うことができる」ように「適切に支援するものでなくて はならない」とうたっているのです。
十分、避難当事者の意見を聞き、避難者に寄り添った支援策を国と福島県は協議して決めていくべきです。

1 月25日、この“住宅支援の打ち切り”に対して、「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟は衆議院議員会館にて、見直しを求める“政府交渉” を行いました。残念ながら、このときの国の担当者は“福島県の意向を支援する”立場を示し、避難民の意見を汲み取る意向はもっていませんでした。

被災当事者の言葉

長い文章ですが、そのときの避難当事者の意見をここに紹介いたします。ぜひお読みください。

私は福島県中通りからの区域外避難者です。母子避難者で子どもは一人、4才です。
全国に3万人いるといわれている区域外避難者の住宅支援打ち切りは撤回して下さい!

区域外避難者のほとんどが、子どもの命と健康を被曝から守るために避難を続けている子育て世帯です。
3年前に【原発事故子ども・被災者支援法】が成立した時から、一日でも早くチェルノブイリのように子どもたちの保養体制が確立され、避難や移住の選択が出 来ることを期待していたのに、オリンピックのせいか、「原発事故避難者をなくしてしまおう!」という圧力を感じて、強い怒りと憤りでいっぱいです。

私たち区域外避難者が住んでいた福島県の中通り浜通り地域では、小児甲状腺ガンとガン疑いの子どもが152人も出ています。私たちが恐れ、心配していたことが実際に起きているのです!これは一地方の問題ではありません。
すでに100人以上もの子どもたちがノドを切開し、甲状腺を切除する手術を受けています。

原発事故により放射性物質が大量に拡散した地域の被爆した子どもに、明らかに小児甲状腺ガンの多発です。

福 島県の県民健康調査委員会も「多発」と認めたのですから、日本政府も早く「東京電力福島第一原発事故による放射能の健康被害」として認めて下さい!チェル ノブイリのような放射能による健康被害の実害が出ているのです! ですから私たち中通り浜通りからの区域外避難者は正当に避難しているのです。ただ不安や 恐れで避難しているのではありません。ワガママで帰らないという訳でもありません。本当に実害がある!出てしまった!本当に恐怖に感じています。

「原 発事故子ども・被災者支援法」に命が吹き込まれ、現実に福島の子どもたちと親も含めて救う政策をちゃんと作って欲しいです。何年待っていると思うのです か! 私たち本当につらいです!   私たち区域外避難者は子どもが小さいからこそ、心配で避難生活を続けてきた子育て世帯です。

非人道的な住宅支援打ち切りの政策は、
「無理矢理な福島への帰還」か、
「避難先で住める住宅が見つからず立ち往生」か、
「原発離婚の話を夫婦間で進める」か、
「子どもたちへ望まない転校や、福島での被曝生活を強いるのか!
理不尽な原発離婚を子どもたちにまで重荷として背負わせるのか!」
いずれにしても苦しいことばかりです。基本的な人権すら守られない状態になってしまいます!
住宅支援の家賃補助も収入要件の緩和をもっと広げて下さい!

例えば区域外避難者でも、福島県内で夫が正社員で働きながら住宅ローンを払っていて、母親と小さな子どもが避難している世帯などは、はじかれてしまいます。
収入で決めるのではなく、
「子どもが18才以下の世帯であること」や
「福島県内の居住地が年間1ミリシーベルト以下の被曝限度量まで下がること」などを条件にしてほしい、と母子避難者の集会で話し合いました。

避難をし続けたい意思や、移住の意思を尊重し広く収入要件を緩和して下さい!
全国に散らばっている区域外避難者が希望すれば、同じ自治体の中で、子どもが転園や転校をしなくても済むように配慮をして下さい!

非人道的な住宅支援打ち切りは、そのまま子育て世帯の避難者の貧困につながり、子どもの貧困を招きます。ただでさえ避難生活をしている者は経済的に苦しい世帯ばかりです。
避難の継続を希望する世帯には格安で住宅を提供して下さい!
また福島県内の汚染地に住む人々には、避難するか、留まるか、移住するか、選ぶことを認めて下さい!これから福島県の汚染地から避難や移住をしたいという人々には、住宅を提供して下さい!

県内で甲状腺の手術を受け、喉を切った子どもが100人いるというのに、報道もされない、という状況では、何が真実なのかがわからない、肝心なことが隠ぺいされているかもしれない、そんな不安と不信を抱かざるをえないのです。だから、元住んでいた福島には戻れないのです。

最後に、原発事故の加害者である東京電力に原発事故被害者の家賃を負担させて下さい。
私たち区域外避難者でも妊産婦や乳幼児がいる、病気や介護など働けない、収入の少ない者には、格安で中長期の家賃で住めるように、東京電力から区域外避難者の住宅の家賃を払わせて下さい。

放射性セシウムの半減期は30年です。たった5、6年で、「もう復興期間終わり」と言われても子どもを福島県に連れて行けません。うちの子はまだ4才です。
政府は私たち避難者からではなく、原発事故の加害者である東京電力から区域外避難者の家賃を取り立てて下さい。国の責任でやって下さい。
宜しくお願いします。

泣きながら、訴えておられました。
彼女は出産後、すぐに3・11に会われています。
どんなに不安だったことでしょう。

日 本は「基本的人権」を忘れてしまっているのでしょうか。国策による被害なのだから当然、国が責任をとるべきです。「一億総活躍社会」は一部の人の切り捨て を含んでのことなのかと、この国の冷淡さを感じます。原発再稼働を始めた今、またいつこのような人たちが生み出されるのか、わからないのです。彼女の言葉 を広く伝えていかなければと思いました。