子どもたちへの約束・チェルノブイリ法 法律はいかに人を支えるものとなり得るのか 尾松さん講演会

2016年3月22日 19時42分 | カテゴリー: 政治, 環境, 防災・安全

子どもたちへの約束・チェルノブイリ法
~優先的に子どもを守る~

「法律」は、

いかに人を支えるものとなりえるのか。

尾松亮さん講演会

3 月21日、赤羽文化会館ホールにて尾松亮さんの講演を聞きました。尾松さんは、モスクワ国立大学に留学。通信社、民間シンクタンクに勤務。チェルノブイリ 被災者保護制度の紹介と政策提言に取り組み、2012年には政府のワーキングチームで「子ども・被災者支援法」の策定に向けた作業に参加されました。現 在、現地調査を含め、チェルノブイリ事故の5年後に成立したウクライナ共和国の被災者保護法「チェルノブイリ法」を日本に紹介する活動を通し、福島原発事 故後5年の日本に今、必要なことを提言しています。

講演からご報告をさせていただきます。

調査報告
チェルノブイリ事故25年後の被災地で(ノボズィブコフ市)
“学校で、教師は子どもたちにどう向き合っているか”
ある教師の授業「エコロジー」(社会と理科の中間のような科目)
ガイガーカウンターで、汚染マップ作り、絵画や詩の展覧会「核」というテーマ。
“リスク”に向き合う

「チェルノブイリ法」とは
ウクライナ政府が被災者の生活を支えるために、1991年に制定した。
「国家は市民が受けた被害を補償する責任を引き受け、以下に規定する被害を補償しなければならない」13条

〔被災者の特権〕
・生活保障:給料の上乗せ、休暇の追加、年金受給の前倒し、家賃の割引、住宅支援
・健康を守る措置:無料の毎年の検診、無料の医薬品提供、放射能で汚染されていない食料の購入援助金、有給休暇の追加、海や山へのサナトリウムへの旅行券
・その他:子どもの就学前施設の優先的入園、大学への優先入学制度

〔対象(被災者)〕
高い放射線リスクの元で働いた事故処理作業員、汚染地域からの避難者、汚染地域に住みつづける人、条件を満たせば、事故後に生まれた次の世代の子どもも。

〔最重要支援策〕

一生涯にわたる特別健康診断(無料医療支援国家補償)
健康診断データを事故の健康影響および晩発性影響の調査にする。
ウクライナ政府の報告書では、甲状腺がん、白内障、血液循環器系疾患、神経系統疾患等のデータを示しており、診断項目はガンだけではない。実施率95%。

〔ウクライナ初代大統領クララチュクさんの言葉〕

「最 も複雑で、最も辛い状況でさまざまなことを選択しなければなりませんが、その時、中心には人間がいなければなりません。人間に対して人道的でなければなり ません。人間が苦しんでいるのに、経済を考えて助けないということは、どうやっても正当化することはできません。人間は、そもそも社会において保護されて いるべきです。そしてさらに、人が自分のせいではないのに辛い状況に陥ってしまったときには、この人は二重に保護されなければなりません。言葉や気持ちだ けでなく、法律によってです。」

ウクライナ憲法・第16条
(「チェルノブイリ法」の成立から5年後に制定)
ウクライナ領内における環境安全の保証・環境バランスの維持、地球規模の大災害であるチェルノブイリ大災害の被害克服、ウクライナ国民の遺伝給源の保護は国家の責任である。


「法律」というものが、人を支えて人間らしく生きるための後押しをしてくれる、人を守る、ということをしみじみと教えられました。その法律をつくるのは人間。 チェルノブイリ法が作られる過程には、事故当初、隠ぺい体質だった国家への不信と怒りがデモや集会など、大きな行動として広がっていったということがある そうです。そしてその市民運動の突き上げから、代議員が生まれ、法律が作られた、いわば、地方議会から国を動かした流れがあったわけです。

私たちも今一度、原点に返って、日本の“辛い状況の人を助けていない”状況に目を向け、怒りを表現していくべきではないでしょうか。

尾松さんの次の言葉が心に突き刺さりました。

私たちは、戦後復興の言葉を語り、その言葉を子どもたちに押し付けていないか。「復興」・「絆」・「オリンピックまでに」・「世界に対して立ち直った姿を」・「がんばろう 日本!」
この言葉では30年は語っていけない。

ま た、東北の子どもの作文「私も地震や津波、放射線なんかに負けず、強く強く前に進んでいきたいと思います。がんばれ 日本!」には、感動しますが、もしかしたら、これは大人が言ってほしいことを子どもが察して言っているのではないか。言わせているのではないか。本当は、 もっと違う、子ども自身の言葉があるのではないか。

復興とか風評とか官製のボキャブラリーを使わないで、一つ一つの感覚を言い表して体験の記憶を残していくべきではないか、と。

私たちのなすべきこと
福島原発事故をどんな教訓にして子どもたちに語っていけるのか、子どもたちの思いをどう聞きとっていくのか、私たちは、何をなすべきか、尾松さんは、「チェルノブイリ法」を紹介することで私たちに大事な示唆を与えてくれました。

詳しくは、この本をお読みください。超おすすめです!

原発事故 国家はどう責任を負ったか―ウクライナとチェルノブイリ法
馬場朝子・尾松亮共著 東洋書店新社

尾松亮さんと 講演会で

 

 

 

 

 

尾松亮さんと