大田区の洗足池は大丈夫? リニア問題

友人が書いた文章ですが、とても考えさせられます。
テレビでは全くこういうことが報道されないことも不気味です。

以下、友人の書いた文章です。



リニア新中央新幹線で東京―名古屋を40分で結ぶ

現在、90分で名古屋に行けるじゃない。何をそんなに先を急ぐの。
素朴な疑問だった。「南アルプスにトンネル」の見出しが疑問に拍車をかけた。
JR東海と許してしまう日本政府の暴挙だ。
本当に信じられないくらいに日本は愚かな国になってしまったのではなかろうか。
既に自然はどんどん破壊され、都会は無味な高層建築で緑は影もなく、埋もれてしまい、その巨大にして愚かな人たちの手がアルプスにまで及ぶとは考えもしなかった。
が、とんでもないことが起きようとしている。
しかもアルプスの掘削は7月から着手される様子。佐藤工業では作業員達とその家族が既に移転を始めているそうだ。

リニアは名古屋から大阪を結ぶために南アルプスの塩見岳付近直下を貫通させる。
地下水に影響し、当然生態系にも影響、失はれてしまう山草など損失するものは計り知れない。既に山梨県の実験線では、上野原市、笛吹市で沢が涸れ、動植物の生態系にも大きな影響が出てしまった。
南アルプスの異常な問題に気をとられていたら、とんでもない地元大田区でもリニア問題が既に深く侵食・計画されていた。


大田区でも起きる影響

大田区では空をみれば羽田空港の増便による騒音、いつ落下物があるかもしれない危険性、そして地下ではリニア用のトンネルが貫通する騒ぎだ。決して問題が周 知されてるわけではない。3月26日曇天、土曜日、およそ20人が大田区の問題計画経路の地上を歩いてみた。計画経路は品川区の旗の台から大田区に入り池 上線長原駅より中原街道と池上線の間をぬって世田谷区東玉川一部を通り再び大田区田園調布に入り、川崎市中原区に通じている。


「洗足池の湧水は守られるのだろうか」

大 田区の誇る風致地区「洗足池とその周囲」は、脇を通る中原街道の騒音を忘れさせるほど美しく、静かだ。その隣接する大森六中は深い木立に囲まれたグランド をもつ恵まれた区立中学校だ。「地上権よりも事業者の使用権が優先」とされる厚かましい「大深度法」により地下数十メートルの深さにトンネルを掘るのだ が、5キロから10キロおきに非常口兼排気口となる立坑を設置するそうだ。このトンネルを掘り、近くに立坑を掘った場合、「洗足池の湧水はどうなるか」そ して「六中のグランドは安泰だろうか」が誰もが抱いた大きな疑問だった。実験線の延伸工事により一級河川「天河」(山梨県)が涸れ、大井川(静岡県)の流 量も減少可能性の予測があることを知った今、「洗足池の湧水」に関する疑問は解いておかなくてはならない。

「解答」は現在、国がお好みの「おもてなし」の年までには間に合わないだろうけれど、「洗足池」なくば大田区の観光産業の「厚みも深み」もなくなる。

 

立坑設置予定地近辺に必要な周知は?

「高圧線鉄塔」付近の住民には「リニアの問題を知らされているのだろうか」の疑問が起きる。取り返しのつかない大きな「国策的プロジェクト」問題は、いつも「引き下がらない。引き下がれなくなって」から説明会が行われる。何とも不気味にして不透明な国だ。

洗足池と中原街道を挟み東側池上線の線路沿いに警視庁職員家族用の真新しく震度10でも倒れないであろう強固な共同住宅が建ち、隣接している野原風の空き地は「立ち入り禁止」「張り紙禁止」の札がものものしい白色のフェンスで囲まれている。
私たちの税金が使われた、この共同住宅は壊され、ここは直径30mの立坑設置が予定されている。脇を走る池上線をまたがる二基の高圧送電線鉄塔はいずれ「超高圧送電線鉄塔」とされるらしいが、付近の住民は周知されているのだろうか。
超 高圧電流からは電磁波被爆の問題が起き、過去10年で18人の白血病死亡者を出したと言われているのは大阪府門真市で起きた事だ。池上線高圧線鉄塔近くの 静かな住宅地域には横断幕も反対の立て札も見当たらない。リニア問題は何も周知されていない様子。リニア本線用の高圧線が何処をはしるのか調べる必要(樫 田さん談)、起こるかもしれない問題に対処することを考えなくてはいけない。
大田区ではこれら二件の問題のほかにトンネルを掘る際の残土処理の問題も教えられた。

 

午後の学習会で学んだ事

「“悪夢の超特急”リニア中央新幹線」の著者,樫田秀樹さんを招いて学習会が開かれた。学習者の中には午前中ご一緒に歩いたあの「根来さん」(大田区在住)も参加なさっている。学んだ事と、配られた冊子の中から次の事を選び、報告させて頂く。
*JR東海が予算9兆円を自費で賄う単独事業
*東京―名古屋間を40分でつなぐ(2027年開業予定)
*大阪まで延伸再開。(2045年開業)
*外国の事例
―ドイツでは連邦議会が「磁気浮上鉄道需要法」を制定(96年)、確実な需要予測提出を義務づけた。が、リニア事業を計画した民間3社共同企業体は応えられず、加えて膨大な支出、試乗者の死亡と重なりドイツ政府は開発中止を決定した(2000年)。

―中国上海にドイツが売り込んでいたが、電磁波による健康被害を恐れた上海市民が大規模なデモを展開、空港から市の中心部30キロ地点までの既に敷設されているリニアの延伸中止を決めた。
「人民をないがしろにして政策を推し進めるあの中国でさえ、健康被害を恐れる市民の声に耳を傾けた」と樫田さんは強調なさった。

―アメリカでは安倍首相が売り込んでいるが「私たちの税金を使うことに応じた8億円(調査費)」とは許せない話。ワシントンDCとメリーランド州ボルテイモア間60キロのリニア新設の話が持ち上がっている。
(日本経済新聞30付:JR東海とアメリカ現地企業が連邦政府に高速鉄道運行の新規則制定を申請)。。。。。。。。。。。。。。。

26日の「リニア問題学習会」は途方もない問題を投げかけ終わった。
「高度高速鉄道技術研究成果を果てしもない荒野か砂漠で実験するなら構わない」と私は思う。その結果「人々の幸せを運ぶ」ことが現実化するなら大歓迎だ。
し かし昨今の日本の巨大事業は例外なく「膨大な利益が上がるの旗揚げの下、再び戻らない自然を容赦なく破壊し、非常に多くの人々の泣かされる姿を冷酷に無視 し、これを許可する政府は、次代を担う大切な子供たちの成長過程に必要な諸事に目をつぶり、出費を拒み」膨大な赤字を承知で費やす、とてつもない悪事に荷 担するとしか思えない。国を構成している人々・私達よりも「まやかしの経済効果」の呼び声の下、破壊に導くかもしれない暴挙に近い事業の方が大切になって しまった。そこに国民がいない。「自然は許しているのか」哲学者内山節さんのことばが鮮やかに浮かぶ。国民的反対運動が殊に東京ではあまり起きていない。
報道関係もなぜか、この事にも、また静かだ。

髙木恒子

ご参考:
文献:”悪夢の超特急“リニア中央新幹線、樫田秀樹著、旬報社
必要か、リニア新幹線、橋山礼次郎(元日本開発銀行)著、岩波書店
危ないリニア新幹線、リニア・市民ネット、緑風出版
住民運動団体:(東京、神奈川のみ)
リニア・市民ネット東京、(代)懸樋哲夫
リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会、(代)天野捷一
リニア新幹線を考える相模原連絡会、浅賀きみ江

洗足池の桜