『ぼく、ブラック企業にいました』

今日は33歳の青年から話を聞く機会がありました。
ブラック企業での過酷な労働の中では正常な判断力がなくなり、仕事がこなせないのは、自分に能力がないからだと考え、辞めることができない、そんなただ中で、働いている若者がまだいるとすれば心配だ、と話す優しい青年でした。

彼の経験です。

3日で6時間の睡眠時間

連続11時間働いて、さらに研修、気がつくと3日で、6時間しか寝ていなかった。研修という名目では手当てがでず、モチベーションもあがらない。とにかく睡眠不足で頭が朦朧として、苦しかった。体は鍛えていたつもりだったが、2か月で11キロもやせた。見かねた親が「もうその会社、辞めなさい。次の仕事が見つかるまで、めんどう見てあげるから」といってくれたから、助かった。半年で辞めるなんて、根性がないと思われそうで誰にも話せなかったし、実際、だれかに相談する時間なんてなかったし、冷静に、客観的に自分のことを考える精神的なゆとりはまったくなかった。辞めてみて、やっと「会社に問題があった」と冷静に考えることができた。大学は文系で、まだバブルの最後の頃だったから、公務員より、企業の方に夢があると思えた。有名な会社だったし、まさかこんな労働環境だとは夢にも思わず、入ってみないとわからない世界があると思い知らされた。

 

わかってくれる人がいたから辞められた

自分は親と同居だったので、親の判断や応援があって、半年で辞めることができたが、もし地方から出てきていて、一人で、生活しているとすると半年で辞めて、実家に帰ることは難しいだろうと思う。転職するにも他の会社のことを調べたり、ましてや面接に行ったりする時間はまったくないのだから。

次の仕事を探している時、前の会社を半年で辞めた、という事実はかなり不利になった。理由などは関係ないのだ。そうこうしているうちにリーマンショックがあって、就職がますます厳しくなった。友人たちに会うことははばかられた。みんなちゃんと仕事についているだろうから。

やっと仕事に就くことができ、そこで3年たったところで、今の会社にまた転職した。リフォーム関係で、正社員。仕事はきついこともあるが、土日はちゃんと休めるし、なにより固い会社なので安心だ。この会社への就職が初めてで、「きつい」といっている人もいるが、自分は3つの会社を経験してきているので、比較もできて、今の会社に満足している。

 

企業を見る目、SOSを出せる環境が必要

これまでの経験でいえることは、大学時代は何もわからなかったということ。
会社のどこを見るべきか、ということも。せめて関心のある業種のバイトをして、中を探ることをしておけばよかったかもしれない。

ひどい会社もあるので、困ったときに助けを求めてかけこめる窓口が必要。特に地方から一人で出てきている人は大変だと思う。会社を辞めたくても、過重労働の中では、転職先を探すことができないし、辞めたとたんに生活苦に陥る。病気にだってなるだろうし。非正規だったりすれば、医療費も大変。自分は盲腸をしたことがあるが、そのときにかかった費用としばらくは会社を休まなければならなかったときのことを考えると非正規の人はいったいどうやって乗り越えるのだろう、と思う。かなり大変だと思う。

 


ブラック企業、非正規労働・・・
日本の若者のエネルギーを奪い取る社会にしてはいけない!
若者の声を聞こう。若者も声を上げよう。

 

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