子どもは懸命に生きている。大人はそのことにどう向き合っているか

6月25日、第5回の「子ども笑顔ミーティング」が消費者生活センターで開催されました。
こども食堂を運営する近藤博子さんの掛け声で始 まった「子ども笑顔ミーティング」、毎回、現場の当事者の声を聞くことができて、社会の抱える課題に気づかされます。“なんとかしなければ”と思った人が 立ちあがって、“こんなことをしてみたい”という思いをシェアしたり、“こんなことをしてみた”という実際の行動の報告もされるようになりました。

 

代表の近藤さん

 

 

 

 

 

 

こども笑顔ミーティングにて、代表の近藤さんが報告しているところ

 

まず、虐待をなくしたいという強い思いから大田区議会に陳情を出したAさんからの報告。

彼女の思いは、2006年の北海道での虐待事件、3歳と1歳の子どもを持つシングルマザーが1か月もの間、子どもだけを家に残して帰らなかった事件に心を痛 めたことが発端だそうです。飢えの中、3歳の子が1歳の子の世話を一生けん命して、ついには下の子が亡くなり、3歳の子は、マヨネーズやケチャップや生ご みを食べて生き延び、母親が帰ってきたときに「ママ、遅いよ」といったということです。またその母親が、死んだ下の子を隠すところを3歳の子は、見ていた ということなので、その残酷な経験は、現在13歳になるその子どもにどんな深い心の傷を遺しているか心配で、考えると苦しくなるとのこと、子どもにそんな 経験を決してさせてはならない、親と子どもの幸せを守りたい、との思いで陳情を出されたそうです。

彼女の提出した陳情は2本。「赤ちゃん訪問を3回はしてほしい」と「一時預かりの場の拡充と料金の引下げをしてほしい」というものです。
「赤ちゃん訪問を3回はしてほしい」いう陳情は、大田区は既に1回ずつ全世帯への赤ちゃん訪問と、必要に応じて、継続訪問がありますが、実際は、その時点では 問題がないように見えても、夫婦仲の問題などが子どもに影響していくこともあり、どの家でも継続して見守っていくことが必要だという主張です。

「一時預かりの拡充と料金の引下げを希望」は、疲れ切って、ストレスがたまった親には、休息をとることが新たなエネルギー補給になるのだという訴えでした。

残念ながら2本とも不採択になりましたが、十分に当事者の現状が伝わらなかったことが要因かもしれないということで、引き続き、虐待予防のための対策を追求して提案していきたい、行政や議員に理解してもらえるようにがんばりたいと意気込みをみせてくれたAさんでした。

 

私が思ったこと・・・ 議員は陳情を文章で読むだけです。そこからだけのイメージよりも陳情を出した本人と直接、意見交換ができる場が必要ではないでしょうか。他の自治体では、 議会で意見陳述ができる仕組みをもっている自治体議会があります。大田区議会も区民参加型の議会にして、区民の思いを十分理解し、判断できるような仕組み を創るべきではないかと思いました。

 

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Tさんの報告は、お子さんが発達障害ですが、適切な療育が受けられないまま、ますます感情のコントロールができなくなってきている、という切実なお話でした。療育についての情報、学校教育の中での支援体制のあり方を考えさせられるものでした。

Hさんの報告は、夏休み子ども合宿のお誘いのこと。大人の管理でプログラムをこなす合宿ではなく、子どもの意志や意欲を最大限大事にする自由な合宿の実践の紹介でした。

 

「こども笑顔ミーティング」の大切な役割は、みんなで“懸命に生きている子どもたちのことを思う”ことかな、と感じました。障害があっても、経済的に厳しくて も、子どもたちが笑顔で生きられる社会であるべきです。今回も、懸命に子どもたちに寄り添おうとしている大人たちと出会えて、また一歩進んでいく力を与え られた「こども笑顔ミーティング」でした。

 

赤ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃんに未来を指さしているパパとママ(もうこの時の赤ちゃんは60歳ですが・・)
今、未来に希望を描ける社会となっているでしょうか・・・