「なぜイヤイヤ期があるの?」 脳の発達から見た子どもの成長 ー佐藤佳代子さん講演

2016年8月11日 14時39分 | カテゴリー: 子ども, 子育て支援

2016年8月8日(NPO法人ビオラたすけあいワ-カーズACT大田にて)、大田・生活者ネットワーク主催の佐藤佳代子さんによる講演会が行われました。以下ご報告させていただきます。

 

「なぜイヤイヤ期があるの?」
脳の発達から見た子どもの成長

~飛躍的な脳の成長を遂げる乳幼児期になすべきこと~

 

どんなに学歴が高くても、ストレスに弱く、社会に適応できない人が少なくないという話を聞きます。教え込まされて何かを覚えたとしてもそれが、本当の学力と いえるのでしょうか。意欲や探求心に満ちて、いきいきと人生を切り開いていくたくましい人間力はどのように育つのでしょうか。脳科学が証明してくれていま す。豊かな感性と豊かな知性は車の両輪、そしてその土台になるのが、乳幼児期の親子関係の安定感や豊かな体験、遊び、自己肯定感で、それが脳の発達に直結しているのです。

佐藤佳代子さん(大田区立保育園に27年勤務。その実践から「子どもの成長にとって大事なこと」を各地で講演)をお呼びしてお話を伺いました。簡単にご報告いたします。

佐藤さん講演

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自ら「育とう」とするとてつもなく大きなエネルギーに満ちた赤ちゃん

3億個の精子の中のたった1個が卵子と出会って受精する。3億分の1の確率で生まれた一人一人。0.5ミリの受精卵が細胞分裂を繰り返し38週で身長50セ ンチ、体重3キロ。これは野球ボールが東京ドームになる勢いだそうです。子育てとは、この赤ちゃんのパワー「育とうとする力」のサインに丁寧に関わり、手 を添えて、お手伝いをしていくこと。
よって子育ての要は、子どものサインを感じ取る力、子どもに向き合うこと。
「泣く・吸う・聞いて反応する・見る」にしっかり答えることが大事。

懸命にサインを送っているのに返してくれない → サインを送ることをあきらめる、人との関わりに関心がなくなる

ですからスマホではなく、赤ちゃんをたくさん見つめてあげてください。

 

 

0歳で目覚ましく発達する「脳幹」

体内の調整作用(呼吸・脈拍・体温・食欲・性欲・排泄・睡眠)
0歳~1歳にかけて、生活のリズムをつくっていく。
朝の太陽の光でドーパミン(意欲ホルモン)がでる。
陽が沈むとメラトニン(成長ホルモン)がでる → 昼間経験したことを復習して整理して、次の成長につなげていく

ですから夜は9時頃寝るのが一番いいのです。大人のペースを優先するのではなく、赤ちゃんが求める生活リズムを受けとめてください。

 

0歳はNeeds(ニーズ)の時代

“生きるための脳”脳幹がめざましく発達する0歳
本能的な「ニーズ」に答えることで、“生きる心地よさ”、“愛され、守られている幸せ”を味わい、基本的な生活のリズムをつくっていく時期。
泣いたらだっこ、たくさん笑いかけ、語りかけましょう。

1歳はWant(ウォント)の時代
体が自由に使えるようになり、見るもの、触れるもの全てに興味をもつ。
子どもが興味を持ったことに存分に満足いくまで体験できるようにお手伝いをしましょう。

 

感じる脳「大脳辺縁系」0歳~6歳に一番発達する

食欲をはじめとする「自ら生きていこう」とする生存本能や好き嫌い、安心感、怒り、恐怖などの基本的な感情を司る脳。体験学習により育つ。
安心感や安堵感 → 自分は大切にされている存在 → 自己存在意識、自己肯定感 → 脳からセロトニン(幸福ホルモン)・ドーパミン(意欲ホルモン) → 自信、人間力、ストレスからの立ち直りが早くなる。
安心できる親子関係の中で、大切にされ、褒められることが人間力の源になる。

 

考える脳「大脳」の発達

体の内外で起こったことを感じ取り、情報を分析して体全体の動きに指令を与える役
割。情報から考えたり決めたり覚えたりする役割、喜怒哀楽などの感情をコントロ-
ルする働きがある。成人の脳の80%が3歳まで、90%が6歳までにできあがる。
幼児期の豊かな体験学習が大脳発達の基盤になっている。

脳の司令塔の前頭前野(コミィニケーション力・思考力・想像力・集中力・・・)が健常に育つには、脳幹・大脳辺縁系が健常に育っていることが基盤になる。

 

シナプス 2歳~6歳までに飛躍的に増える情報伝達機能

さまざまな体験を通して入ってくる刺激が神経細胞から、まわりの細胞にも伝達しよ
うとアメーバのように広がる。そのドッキングするところをシナプスという。シナプス
の数が増えて、神経回路を広げ、うまく働くようになることで脳がどんどん発達してい
く。
シナプスが爆発的に増加していく入口の時期が2歳。あらゆる刺激に敏感に反応し、
脳の中の緊張が高まっていく。この時期特有の情緒不安定「イヤイヤ」も脳の発達の表
れ。

 

右脳と左脳をつなぐ脳梁

はいはいをたくさんすることで、脳梁が発達。脳梁が発達すると左右の脳の情報交換が
盛んになり、体のバランス感覚を育む重要な基盤になる。

はいはいの時期は、はいはいをたっぷりさせて、歩けるようになったら、いっぱい歩かせましょう。

 


 

乳幼児期の子どもはすべて、遊び=体験学習をしながら育っていきます。
たとえば砂遊び:泥の感触を味わいながら、ものの性質を感じ、心地よさ、面白さを体感し、興味や関心を高め、それによる脳の発達が、将来の知的学習の基礎を作っています。

 

【参考】

子どもの育ちと脳の発達