井上ひさしの思いを引き継いで ~平和への祈り 家族への愛~ 井上麻矢さん講演会

2016年12月3日 15時01分 | カテゴリー: 市民活動, 平和

故・井上ひさしさんの3女、井上麻矢さん(こまつ座代表・作家)の講演会に行きました。
書斎にこもりっきりだった父親とは、子どもの頃は、ほとんど接触しなかったという麻矢さん。しかし亡くなる直前に麻矢さんに託していった珠玉の言葉の数々から、若い頃には気づかなかった父の思いに気づかされ、それを今、伝えることをしているそうです。
 
私は、以前、区民プラザで観た井上ひさしさんの作品「父と暮らせば」の演劇がとても印象深く残っていますが、麻矢さんを通して、改めて、井上ひさしの平和への強いメッセージを受け取った講演会でした。

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「劇団・こまつ座」

1986年に設立された「こまつ座」。「頭痛肩こり樋口一葉」という評伝劇で旗揚げして、「ことば」「庶民」「憲法」というコンセプトのもとに活動。演劇はたくさんの人の力で一つのものを創り上げる共同体の力。本当は生まれ故郷の山形に劇場を作りたかったそうです。「もうそろそろ中央が決めるのではなく、地方から日本という国へ挑戦をしていってもよいのではないか。そうでないとこの国はだめになる」(小説・吉里吉里人でもいっているように)、と語っていたそうです。また“文化”でしか、人は協力し合えないから、世の中のことを考える基地として「劇場」を作っていきたい、と。

現在、麻矢さんは井上ひさしの命によって、こまつ座の代表をしていますが、今、劇団の難しさは、人々が「考える劇」を敬遠するようになってきたこと、だそうです。高額なお金を払って、何も考えないでただ楽しませてもらう劇か、自分たちの主張に終始している劇に2分されてきていて、こまつ座のような新劇は厳しい時代になってきたといいます。

 

やり残したこと

肺がんになって死を覚悟するようになった井上ひさしは、3年先までの仕事を全てキャンセルして、「沖縄」と「長崎」のことを書こうとしました。残念ながら、かないませんでしたが、今、他の作家により「母と暮らせば」「木の上の軍隊」が完成して、今後、映画や劇になっていきます。井上ひさしの思いが地上に届いている、ということを実感しているそうです。

 

「戦争を知らない」と言ってはいけない

井上ひさしは、憲法のすばらしさ、大切さを広めていきたい、という思いで憲法九条を広める活動、九条の会の発足を呼びかけました。
唯一の被爆国として、「戦争を知らない」とはいうべきではない。親や地域の人が若い人に戦争のことを教えるべきだと語っていました。
「憲法は、アメリカから押し付けられたものだ」という人がいるが・・・では「お見合い結婚はどうなんだ、愛を育んでいくのではないか」と。

 

井上ひさしの予言

小泉内閣、発足のとき。「このままいったら、日本の格差は大きくなる」

 

ユーモアは生き抜く知恵

人は悲しみや苦しみ、さびしさはもう自分の中に備わっているが、ユーモアだけは、創り出すもの、生み出すもの、たった一言のユーモアが周りを救うこともある。

 

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井上麻矢さんと

 

(大田たまがわ九条の会主催・区民プラザにて・2016年12月2日)

 


井上ひさしさんは亡くなる前、160日間、毎日、麻矢さんに電話をかけてきたそうです。
娘に、日本社会に、若者に、伝えたい思いがいっぱい詰まっていたことでしょう。その電話の中の言葉を収録した本が「夜中の電話」父・井上ひさし最後の言葉(集英社)です。
今、読んでいますが、おもしろくて、共感することばかりです。

 

夜中の電話 父・井上ひさし最後の言葉