養護施設 巣立った後の家 NPO法人「ようこそ」

2017年2月15日 23時00分 | カテゴリー: 子ども, 都市環境・子ども

北区に児童養護施設を巣立ったあとの学生(大学や専門学校)を支援するための住居、シェアハウスを見に行きました。ここは立教大学名誉教授(家族社会学)の庄司洋子さんが、「家庭環境に恵まれなかった若者が学生生活を途中で挫折しないように全力で応援する」という思いで作った、民間が運営するシェアハウスです。

家の前で。代表の庄司洋子さんと

 

 

 

 

 

 

家の前で。代表の庄司洋子さんと

 

庄司さんが親戚の老夫婦が住んでいた築60年の空家を1500万円かけてリフォームして、
NPO法人「学生支援ハウスようこそ」を設立しました。女子学生専用で5人定員、朝夕2食付きで家賃5万円。運営資金はNPOを支える会員(現在200名)の会費と寄付によります。

 

児童養護施設退所の若者、大学に入学してもその3割が退学

児童養護施設は原則18歳で退所しなければなりません。高校卒業時点で退所して就職する子どもがほとんで、進学するのは1割なので、いかに進学することが難しいかがわかります。大学に進むには、学費・生活費・家賃を自分で工面しなければならず、結果、アルバイトに明け暮れて体を壊して、学業が続けられなくなるなど、せっかく入っても大学2年から3年になる段階で、3割の学生が退学してしまうそうです。

就労を支えるための住宅としては「自立援助ホーム」がありますが、学業を支えるための施設はないのが現状なので、このシェアハウスは画期的な取り組みです。安定した職業を得るためにも、また自分の夢を実現するためにも、なにより困難な生活の連鎖を断ち切るためにも、大学や専門学校を卒業することは一つの大きなステップになることでしょう。

シェアハウスの玄関を入ったところ

 

 

 

 

 

 

シェアハウスの玄関を入ったところ

 

自立を応援するシェアハウス

4畳半のそれぞれ独立した部屋、共有の物干しの部屋、キッチンとリビング、外には大きな個人のロッカーもあります。

みんなで使うキッチン

 

 

 

 

 

 

みんなで使うキッチン

シェアハウスのルールは
・門限は午前12時
・外泊するときはスタッフに伝える
・男性客は2階には上がらない
など、入居する学生たちと一緒に考えて作ったそうです。

シェアハウスは開設してからこの4月で一年になります。施設を出て「普通のおうち」に住まう若者たち。自立への道筋はそう簡単ではないですが、食事の世話をして、宿泊するスタッフがお母さん役で愛情を持って大きなまなざしで見つめてくれます。

そのとなりのリビング

 

 

 

 

 

 

キッチンのとなりのリビング

 

課題

この日は、シェアハウスを運営する中で見えてきた社会の問題、労働環境の問題、また厳しい家庭環境で育ってきてしまった若者が社会で自立して生きていくことの難しさなど、代表の庄司さんからお話を伺いました。若者がやっと手にする学校の奨学金をねらう親もいて、親を恐れながら暮らしている若者。高校生の時からバイトをしているせいで、19歳にして、飲食店の主任にさせられ、年下の学生の教育を任され、低賃金の長時間労働・・・。
社会の問題も山積です。シェアハウスを運営するにあたっての課題は、宿泊スタッフの確保、ケアをする人のケア、そして運営資金などとのこと。また若者の自立に向けての施設との連携の大切さなど、やってみて見えてきたことも多いとのことです。
 

「生まれた環境から、ずっと不公平だよ」

厳しい社会の現実に翻弄される若者を“いかにどう守るのか”“冒険や試行錯誤をするのが、若者だとすれば、許容範囲はどうあるべきか“など、悩みと葛藤の日々だとおっしゃっていました。このようにシェアハウスの運営は、そう簡単なことではないことがよくわかりましたが、若者が、施設から出て、学校を含め、一歩社会に出たときの風の冷たさから身を守るために、このような”住まい“や居場所”は絶対に必要だということを実感しました。

奨学金をねらう親を恐れて暮らしている若者がいったそうです。
「生まれた環境から、ずっと不公平だよ」。
私たちはこの言葉にどんな言葉が返せるでしょう。