空家活用 「くすのき荘」オープン! ~かみいけ木賃文化ネットワーク~

「家にも魂がある」と玄関に張り紙がしてありました。人の思いがしみこんでいくからでしょうか。くすのき荘のチャレンジに注目です!

古いからこそ、味がある
地域に開かれた、若きアーティストのシェアスペース

くすのき荘(豊島区上池袋4-20-1)は、1975年築の木造2階立て、90㎡。
運送会社の倉庫兼住居として使われていたそうです。1階はがらんとした倉庫、2階は6畳が4部屋とキッチン、風呂、トイレという間取りです。階段を上ってすぐの大空間は、公園に面して広がる窓の明るさで、ゆったり、まったり過ごしたくなる解放感、木造建築の温かさもあいまって自然に抱かれているような心地よさのある空間です。

1階の作業場

 

 

 

 

 

 

1階の作業場

 

くすのき荘は“公園の機能を補完して、公園をより楽しく使うための公共スペースになるかもしれない”という思いで山本山田夫妻が借りている建物です。
2階部分は全面改修可能物件として借りているので、押入れや壁をとっぱらい、天井裏の木組みも見せて、空間を最大限に広く活用しています。物入れは、靴箱に使っていた箱、建具をカウンターに、柱や梁で椅子を作ったり、あるものを利用しています。1階の倉庫は、大工仕事、溶接作業をする作業場になっています。

2階のラウンジ

 

 

 

 

 

 

2階のラウンジ

 

何もかも山田さんたちの手作りで、使い込んだ物たちを使い込んだ家にはめ込んでいるので、とてもしっくり落ち着いています。建築家、芸術家の遊びがちりばめられた(?)家なのです。仕事場としてシェアしている人たちは、演劇、音楽、アート&クラフト作家などなど、アーティストばかり。きっとお互い、よい刺激を与えあうのでしょうね。

 

公園側から見た全景

 

 

 

 

 

 

公園側から見た全景

 

運営方法

仕事の準備やもう一つの拠点として、など、くすのき荘の空間を存分に活用できる人、10名ほどでシェア。月5,000円。メンバーはワークショップ、イベント等の開催が無料。山本山田夫妻が住み込みの管理人でメンバーの「やりたい」を全力でサポート。

 

ことの始まり
豊島区・としまアートステーション構想

区内の魅力あふれる場所で地域資源を活用し、当事者として主体的にアート活動を行い、その活動がさらに多くの人々の主体性を生み出す。そんな公共活動の在り方を目指し、個々人の自発的なアート活動を支援することで、地域や人々の思いをつなげるシステムづくりを目的としている。(豊島区文化商工部文化デザイン課)

2014年、この「としまアートステーション構想事業」が、山本山田夫妻の持ち物の「山田荘」(木造賃貸アパート)の一角を活用して、展開されました。豊島区、東京アートポイント計画、「一般社団法人オノコロ」(文化芸術振興を通じ、「地域社会の発展に寄与することを目的とする団体」と山本山田夫妻ら、行政と民間の協働で地域をフィールドにしてアートイベントを創り上げていきました。

その事業は単年度のものなので、終了しましたが、もともと山田荘には多くのアーティストが拠点にしていたということ、このくすのき荘は、山田荘から徒歩2分のすぐ近くであることから、これからも継続して、街の中のアートステーションとして、地域の中にアートを生み出す拠点となろう、という思いもあって借りたことでしょう。この日も思いを同じにする愉快な(?)仲間が集っていました。

これから、窓に自由に絵を描く、子どもたちとの楽しいイベントがあることなど、山田さんがお話ししてくださいましたが、街の人との暮らしをアートを介して楽しもうという意欲、企画力、そして人の輪を広げていくお人柄の一端を垣間見るひとときでした。

 

かみいけ木賃文化ネットワークとは

山田荘は、築35年の昭和の木造アパート、トイレ共同、風呂なしの6畳間だそうですが、
「足りないものは街を使う」木賃の生活スタイルを木賃文化と考え、アクションと場と人をつなぎ、ネットワークが広がっていくことを目指しているそうです。

「山田荘」「くすのき荘」・・・足りないからこそ、街とつながれる、人とつながれるのかもしれませんね。それって、今、とても大事かも。

 

くすのき荘の前

 

 

 

 

 

 

くすのき荘の前で、
紹介してくださった共立女子大の高橋先生(建築・デザイン学科教授)と