園舎丸ごと子どもの遊び場 チャレンジする力を応援する【狭山ひかり幼稚園】 

2017年4月7日 08時46分 | カテゴリー: 子ども

子どもたちへの思いを建築へ

先日、独身時代に努めていた幼稚園を久しぶりに訪れました。6年前に創立40周年を記念して建て替えた園舎。設計を手掛けたのは幼稚園の卒園生。自然と調和した美しいデザイン、柔らかな木の質感とリズムのある造形、子どもたちの伸びやかな遊びと生活を包み込むような設計には、園長の幼児教育にかける思いに設計者自身の幼児期の楽しかった経験の思いの共鳴があったからに違いないと感じました。

説明をしてくださった園長は、「子どもは高いところが好きなんだよ。こんなところは、すいすい登れちゃうよ」と“まず子どもありき”の説明でした。“子どもにこうさせたいから”という大人の思惑からの発想ではなく、“子どもの生活や遊び”に寄り添うことから始まっている設計なのです。

 

全景

全て地元の木材、西川材を用いている。園庭と園舎の床面はバリアフリー。年少、年中、年長各2クラスずつ、庭に面したウッドデッキは各保育室をつなげ、中では「大通り」、「こみち」が保育室をつないでいる。各クラスは独立性もあるが、全体の回遊性、開放性によって園舎全て、そのすみずみまでを大きな遊び場に見立てている。

 

 

 

 

 

 

園庭との一体感、バリアフリーの園庭と保育室

 

保育室

各保育室ごとに4度ずつずらして、ゆるやかなカーブを描いている。全ての天井が見えるが、それぞれ違う形状をしている。子どもはそれぞれ個性があり、その違いを大切にしたい、その中にあって、街並みのような調和が生み出されるという幼稚園の在り方を建築が表現している。梁はできるだけ目立たなくするために、細くて強度のあるものを使った。床暖房。保育室ごとに二層になっている倉庫があり、上の収納スペースには、保育者ははしごをかけて登る。子どもたちはといえば、あちこちに足をかけて上手に登る。子どもが登ることを織り込み積みの設計。

 

 

 

 

 

 

園舎、少し角度をつけてあるので、天井の形が部屋ごとに違うことが分かる

 

トイレ

指をはさむことがないようにゴムのストッパーと適度のすきま。

 

遊戯室

ステンドグラスとアーチ形の印象的な天井。広々とした空間を確保するために倉庫は、道具が全て収まるように計算した棚を設置。遊戯室の奥は扉を開けると台所があり、子どもたちが調理をすることができる。(そういえば、昔よくブラウニーを作ったものです)

 

 

 

 

 

 

遊戯室

 

手作りのツリーハウス、子どもたちは高いところが好き。高いところから俯瞰すること、角度を替えて物事をみることはとても大事、とは園長先生のことば。

 

 

 

 

 

 

全景、ツリーハウスは子どもに人気

 

クラスのマーク・真鍮の彫り物、木をくりぬいたベンチ

小さいうちから本物に触れること、美しいものに出会うことが大切、というのはこの幼稚園のモットー。これは、くじゃく組のマーク。

 

 

 

 

 

 

くじゃく組のマーク

 

外構デザイン

旧園舎の基礎を解体したコンクリートガラは全て緑化土塁に生かし、残土は起伏を持たせた芝生のマウンドに活用して、工事費用を軽減しながら、豊かな緑の外構を創り出した。

 

 

 

 

 

 

旧園舎の基礎部分、コンクリートガラを植栽の土台に

 


夢中で遊ぶ子どもたちのエネルギーが、自然に融合され、大きく膨らむ仕掛けのある園舎のように思います。建築のもつ力に見せられたひと時でした。