乳児院から ~ 虐待の形・未検診妊婦の墜落分娩 ~

2017年4月14日 10時25分 | カテゴリー: 医療, 女性, 子ども, 子育て支援

S市の乳児院、妊娠中のケアがないままに墜落分娩でこの世に生を受けてしまったKちゃんは、心肺停止で病院に担ぎ込まれました。一命はとりとめたものの重度障害が残り、3歳になった今も首がすわらず、言葉もでません。母親は刑務所に入っており、Kちゃんはこの3月まで乳児院(乳児院は3歳までの施設)に預けられ、これからは児童養護施設へ。
乳児院では看護師や保育士が愛情をかけて、マッサージなどを通して体の機能を少しでも取り戻せるように努力を続けてきました。

 

Kちゃんへのプレゼント

乳児院を卒業する記念にKちゃんに何をプレゼントしようか、と職員が思っているところに、たまたま箱根のホテル1泊2日のチケットがまいこんできました。お風呂好きなKちゃんを担当の看護師と保育士がそのホテルに連れていくことをプレゼントにすることにしたのです。看護師と保育士にとってもしばしの休息になったでしょうか。
湯船につかって、Kちゃんはとても気持ちよさそうな顔をしていたとのことでした。Kちゃんにもせめてものプレゼントができたことを職員みんな喜んだそうです。

 

ハイリスクの母親が増えている

若年出産(中学生で出産した例も)、親に精神疾患があるなど、子どもの養育にリスクの高い家庭が増えているそうです。出産は予測がつかないものなので、未検診がそのまま墜落分娩につながるなるわけではありませんが、少しでもリスクを減らすためにはまず、「ちゃんとケアをしている? 病院に行っている?」と気が付いた人が声をかけることが必要です。またSOSを出しやすい環境づくり、たとえばカラオケボックスやパチンコ屋に「妊娠したら、ここに連絡してね」と張り紙をすることなどが有効ではないか、とのことです。乳児院は常に満床。里親は足りなくて、常に待っている状態だそうです。

 

 

 

 

 

 

 


イチゴイニシアチブのめざすもの
イチゴイニシアチブに同行して

 

「イチゴイニシアチブ」の活動

「イチゴイニシアチブ」は、児童養護施設に慶事のプレゼントをして回るボランティアグループです。2010年から活動を開始し、七五三や成人式のお祝いに児童養護施設にでかけては、入所している子どもたちに晴れ着を着せて、親も呼んでみんなで祝福するのですが、このグループの特徴はカメラマン・メイクアーティスト・スタイリストなどのプロ集団で、最高のお祝いのひと時を演出することを目指しています。美しい着物姿をすばらしいフォトフレームに仕上げるのは、プロの仕事を見せることで、将来に夢を描いてほしいとの思いもあるそうです。

 

提案:施設を子育て支援拠点に、施設と子育て支援センターとの連携で

S市の児童養護施設はその9割が虐待によって家に戻れない子どもたちです。すそ野を広げるためにイチゴイニシアチブの次なる企画は、施設の子どもたちだけではなく、施設の周辺の家庭にも呼び掛けて七五三のお祝いのプレゼントをすることです。それによって、支援が必要な家庭と支援の窓口・子育て支援センターを結びつけられるのではないかと考えました。広さには恵まれている施設、上手に活用して子育て支援の拠点、地域とのよい交流の場にできないだろうかと考えたのです。

ちょうどS市の児童養護施設の施設長は外に開かれた施設の運営を心がけており、施設内の学習塾を地域にも開放しています。地域の子どもたちと自然に遊ぶことや交わることを大切にしているので、イチゴイニシアチブの企画「地域交流プログラム・慶事支援」に賛同してくれました。地域の生活困難家庭を見つけることは、虐待を未然に防ぐことにもなるからです。

次にこの企画を今度は子育て支援センターに持っていきました。
意見交換会の後、賛同を得られ次回は呼びかけのチラシをお届けすることに。秋には七五三、地域の子どもたちといっしょに賑やかなお祝いになることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題解決に向けて包括的にみていく・コミュニティーソーシャルワーカー

このように民間のボランティアグループの提案を施設と行政が熱心に聴き、共に取り組んでいく体制になったことに感動を覚えました。そのあと訪ねた社会福祉協議会においても、多問題を包括的にマネージメントするために、新たに設置されたコミュニティーソーシャルワーカーが、地域の社会資源を把握したいと、イチゴイニシアチブの話を熱心に聴いてくれたのです。

以上、「イチゴイニシアチブ」がボランティア活動の経験から児童養護施設の役割に新たな提案をしていく過程に同行させていただいたので、ご報告させていただきました。