空き家活用事例 東矢口・喫茶 『水木金魚』

2017年7月24日 13時37分 | カテゴリー: 市民活動, 活動報告, 都市環境

大田区には流通に乗らない空き家が5千戸もあるそうです。“こんなふうに活用したら、楽しいかも”という活用事例を探して紹介していくのはどうかしら。

地域に親しまれている「水木金魚」(大田区東矢口2-7-16)は店を開始してから5年がたちます。どのような経過で店をはじめたのか、オーナーのフカサワさんにお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 

オーナーのフカサワさん

 

築45年のごく普通の日本家屋。
おばあちゃんがずっと住んでいた家。自分もずっとこの地域に住んでいて顔なじみが多い。
お料理が好きなのでお店をやってみたかった。
人が楽しく語らっているのを見るのが好き。
仕事を持っているので、水・木・金曜日しかできない。
資金はない。
あるNPO法人が地域の高齢者のために、労力無償提供でランチを出すサロンをしていたが、NPO法人では、限界があることを感じる。

というわけで、構想3年、改築はせず、多くの友人の協力を得て、必要な家具や食器を揃え、週3回のランチを始めた。普通のおうちなので、玄関で靴をぬぐ。縁側からは庭の緑が見える。畳では赤ちゃんがハイハイするのにうってつけ。小さな子ども連れが安心して利用できるので、玄関にはバギーが並んでいることが多い。

日替わりランチは850円。そのほか、おにぎりやスパゲティーやカレー、手作りケーキもある。毎月第4金曜日の夜は「お酒ナイト」も開催。まじめできちんとした料理を出すことがモットーで、食材は地域の商店から調達している。

和室と洋間があり、椅子を用いるかどうか、などアレンジが可能なので、ランチの他に部屋貸しも人気。始めから「使い方」を提示しないで、要望があったときに考えるという方法をとってきた。

壁や棚には地域の情報が貼られていたり、手作り作品が展示されていたり、小さな発表の場にもなっている。

 

 

 

 

 

 

 

台の上の飾り

 


感想

お話を伺っていて、なによりオーナーのお人柄に魅了されました。まず柔軟性。商売にはリスクがつきものだけれど、「うまくいかなければやめればいい、と考えた」という思いっきりのよさ。また、お客さんでもお行儀の悪いことをしていると注意をするという。例えば、子どもを立たせたままで口に食べ物を放り込む親を見たら、「ちゃんと座って食べようね」と声掛けをするそうです。

手作りの美味しいメニューには定評があり、常連さん、リピーターが多いようですが、温かくて優しい、そして自然体のオーナーの魅力も大きいのではないでしょうか。注意をしてそれに対してクレームを受けたことがないということもすばらしい。まだまだ日本には希望がある。

 

 

 

 

 

 

 

入口の看板

 

ストレスの多いこの時代だからこそ、ホッとできてありのままの自分でいられる居場所は貴重なもの。しかし「水木金魚」で感じた“ありのまま”というのは、自然に、普通に、他人に対しても必要なときは注意できて、お互い気持ちよく暮らしていこうとする地域のチームの一員であることを確認しながら生きる中でのことなのです。そしてその方が子どもたちは幸せにちがいありません。大きな“節度”という安全地帯にいることを感じるでしょうから。

オーナーのフカサワさんを育んできた「おばあちゃんの家」だからこそ、地域の子どもたちを育む「気」が家にあるのかもしれません。家には家族を包み込む力があるのかもしれない。
「水木金魚」はそんなことを教えてくれるとても居心地のよい場所です。
こんな空き家活用がもっと増えると街はもっと楽しくなる、と感じました。

 

 

 

 

 

 

 

看板の前で