古代からのメッセージ “いのちの連続性をたたえる” 「染め」と「織り」に込められた祈り

「天平の光を求めて~染めと織りで綴る華麗なる天平文化の世界~」というテーマで染色家 和泉田仁美さんのお話を伺いました。
(2月11日:日本橋 橋楽亭(COREDO室町3 3Fにて)

 

 

 

 

 

 

左:染色家・和泉田仁美さん、右:主催者・丸や呉服店の谷さん

 

歴史にも造詣の深い和泉田さんのお話からは日本の染め物の文化が海外からの刺激を受けながら、日本独特の染め物、織物に発展してきたこと、日本の先人たちの染めや文様に込めた思い、精神性についても興味深いお話が伺えました。古代の染色の歴史は「薬効」から始まったということには驚きました。美しい織りと染めをながめながら「命を守ろう、病に罹らないように」と、願いを込めた日本人の感性について思いを馳せる豊かな時間をすごすことができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現代によみがえる天平の染めと織り

 

弥生時代(紀元前10世紀~紀元後3世紀)にすでに植物染めの技術があった。(吉野ヶ里遺跡で織物が発見)。当時、文様は幾何学模様だけ。染色は薬草で。命の長らえることを願って。

天平時代(700年頃)「日本」という名称を決めた。王朝の祭りごと、色無地で。シルクロードから文様が伝わる、ギリシャ、ペルシャから唐草模様、連続した草、動物たち。この文様は日本人の“生命への思い、生命への畏怖の念”と共通していた。よって盛んに模倣。やがて松など日本らしい文様も作り始めた。

古代から天平へ
文様:植物、唐草模様=草木の魂が宿っている
染め:薬効のある染料
    アカネ→殺菌作用、
    ベニバナ→解毒作用
    紫紺→内臓疾患に効く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「染め」と「織り」には先人の想いが込められている

 

染色の意味→薬効。照葉樹林があり、軟水の日本だからこそ生まれた技術。薬効成分を取り出し、いらないものはのけてのコーティング。透明感があり、変色しない、蛍光を出す技術を生み出した。色が生きている。口伝で技術が継承されてきている。人口染料とは全く違う。

着物を着るということ:薬効で身を守るということ。生命そのものを大切に思う気持ち。

日本の染めの技術の高さ:日の丸の国旗は文様染めだが、各国の旗はパッチワーク。

 

 

 

 

 

 

友人と。なんと友人の着物はデニムです