ひとり親家庭、特に母子家庭の貧困率が突出 -大田区議会予算特別委員会・都市整備費

2018年4月8日 15時49分 | カテゴリー: 女性, 子ども, 子育て支援, 政策, 議会報告, 貧困

ひとり親家庭、特に母子家庭の貧困率は突出しています。
生活の基盤、居住支援は必要!

住宅確保に困難を来しているのは高齢者、障害者、ひとり親の世帯といわれますが、今回は「ひとり親家庭」に絞ってその支援について、大田区に質問いたしました。 以下、全文です。

 


ひとり親家庭への居住支援を中心にお聞きします
以前、40代の夫を突然亡くした女性からの相談がありました。夫がなくなったので、社宅から出なくてはならず、公営住宅の申し込みをしたいとのことでした。高校生の子どもが2人なので、あまり狭い家というわけにもいかない。パート収入が年120万円程度。貯金はなく、遺族年金と生命保険だけ。残念ながら申し込み時期がずれていたので公営住宅には入れず、経済的に厳しい中で、かなり無理をして賃貸住宅でくらしています。

先日、議員研修会で阿部彩さんの講演会を聞きました。大田区の生活困難層が21%、なかでも母子家庭の生活困難層の率は45.6%と約半分です。平成28年度ひとり親世帯等調査によると、母子家庭の母親の就労率は81.8%と高いものの非正規で働く人が43.8%、平均年間所得は243万円。これは児童のいる一般世帯の平均所得を100として比較すると49.2です。特に就労収入が低く、母親自身の就労収入は平均200万、最も多い層が100~200万円の層です。ひとり親家庭の困難さがわかります。

そこで今日はひとり親への居住支援についてお聞きしたいと思います。

【1】住宅課の窓口には「居住支援施策のご案内・対象:高齢者・障害者・ひとり親等」というパンフレットがありますが、これは、一人親に対してはどこでどのように手渡していますか。

委員お話の「居住支援のご案内」というパンフレットは今年度新たに作成したものでございます。ひとり親世帯に対しては、子育て支援課、建築調整課住宅担当、各生活福祉課及び特別出張所で配布しております。また、住宅担当と各生活福祉課では、ご本人に直接説明を行っております。住宅探しを行う場合は、ご本人が不動産店で直接ご相談していただいた方が物件が早く見つかるため、説明を行う際には、協力不動産店リストも一緒にお渡ししております。

【2】協力不動産店はどのような基準で選ばれていて、一般の不動産店とどういう違いがありますか。

区は東京都宅地建物取引業協会大田区支部と協定を結び、高齢者やひとり親世帯等の住宅探しの支援を行っております。協力不動産店は、高齢者やひとり親世帯等からの相談に親身に対応していただける不動産店を、宅建協会大田支部が会員の中から59店舗選定しております。協力不動産店は高齢者やひとり親世帯等に物件を紹介するほか、大田区が提携する保証会社との契約を取り扱っています。区は、この契約に基づき、一定の条件を満たした方に保証料等の助成を行っております。

【3】この案内によって、住宅担当には年間何件の一人親世帯の相談があり、この支援により住宅を見つけることのできた人は何人ですか。どのような成功例がありましたか。ひとり親世帯への居住支援施策の効果を把握していますか。

ひとり親世帯の相談件数は、建築調整課住宅担当だけで、年間40件でございます。ひとり親世帯の相談者はお若い方が多いため、なるべく協力不動産店リストを見て、最寄りの不動産店にご自分で行っていただくようにお願いしております。事情があって不動産店に行けない方や広く区内で物件を探したい方の場合は、宅建協会を通じて、物件照会を行っております。物件照会を行った件数は平成28年度が3件で、平成29年度が1件でございますが、4件とも物件が見つかって転居されています。物件照会を行わない相談事業の成約状況については現在確認できておりませんが、日本賃貸住宅管理協会の平成26年の調査によりますと、ひとり親世帯の入居を制限している家主は全体の2.1%であり、ひとり親が理由で物件が見つからないという事例は少ないと考えられます。しかし、ひとり親家庭の大多数が所得が低く、物件探しに苦労されていると考えておりますので、物件照会を行わない相談事案についても、今後状況を把握できるよう検討してまいります。

成功例はあまり多くはないようなので、効果的な施策へと強化する必要があると考えます。

たとえば、低収入のためになかなか家が見つからない、また離婚したばかりで、これから職を見つけるという場合、無職であるために家を借りることができない、また家がなくては職にもつけないという八方ふさがりの状況に陥る場合もあります。しかも不動産業者もひとり親だと生活が不安定で、家賃がちゃんと払えないのではないか。子どもの世話ができないことで問題を起こすのではないか、保証人がいないなどの理由で貸し渋りがあることも聞きます。何軒も断られて力を落とす母親もあると聞きます。ただでさえ専門的な知識がない中で、物件探しから交渉や契約をたった一人でしなければなりません。安心できる不動産店ばかりともかぎりません。子どもの世話ばかりか親の介護を抱えている女性もいるのです。居住に関しては中間支援の必要性を感じます。

高齢者への住宅支援は有隣協会が高齢福祉課から委託をうけて行っています。高齢者の相談を受けて課題を整理、必要に応じて不動産店に付き添います。結果、2017年6月から住宅確保の申請が37件で成立が5件だと聞きました。契約が成立したのちも地域包括支援センターや地域資源と結びつけるなど住宅相談を入口に自立を維持できるように継続的な寄り添い方の支援をしています。一つ一つのケースは違うので、丁寧に課題を整理していき、必要な支援につなげていくことが結局は成果を生み出しているということをこの高齢福祉課の施策からは知ることができました。

杉並にある「リトルワンズ」というNPO法人はひとり親家庭を支援している団体で、相談窓口や親子カフェの運営、さまざまな情報提供をする活動をしています。居住支援も行っており、住宅のマッチング、サブリース、リフォーム、シェアハウスへの入居紹介など、不動産についての専門知識をもって、コーディネート、見守りまで行っています。豊島区居住支援協議会は、この団体を含む4つのNPO法人を登録団体にして連携体制をとっています。行政との連携やフォロー体制のあることで、不動産業者からの信頼もえて、住宅の確保がスムーズになっているということです。しかし居住支援協議会がなくても、このような居住支援をおこなっている団体と連携を組むことは可能ですし、改正住宅セイフティーネット法により、事業者が条件を満たした物件を登録すれば、借主の所得によっては、最大月4万円の家賃補助を受けることもできるはずです。

お聞きします。
【4】大田区はひとり親家庭に対しての居住支援を今後、どのように進めていきますか。福祉的な観点、また住宅に関する専門的な知識を伴うきめ細かなコーディネートのできる居住支援団体を開拓するつもりはありませんか。

先程もご答弁いたしましたように、所得の低い方は物件探しに苦労されていると思われますので、今後立ち上げる予定の居住支援協議会において、所得の少ないひとり親世帯がスムーズに賃貸住宅に入居できるよう、検討してまいります。
また、改正住宅セイフティーネット法では、家賃債務保証や賃貸住宅の情報提供、相談、見守りなどの生活支援を行う法人を都道府県が居住支援法人として指定する制度が定められており、国は居住支援法人の活動に対して補助を行っております。
区としても居住支援法人の活動は有益であると認識しておりますので、今後そのような団体が活性化することを期待して、居住支援協議会において検討してまいります。

平成28年度ひとり親世帯等調査によると、公的制度等の利用状況に関して「母子家庭の約4割が行政の支援を知らない」という結果になっています。必要なところに支援がしっかり届くような目配り・心配りが必要です。

離婚届を出す戸籍住民課は、ひとり親としての生活の始まりにおける行政とのつながりの最初の貴重な機会です。
離婚届には「養育費の取り決めをしましたか」というチェック項目がありますが平成28年の調査では取り決めをしているのは42.9%です。

しかし子どもの育つ環境に経済は大きく影響してきますから、戸籍住民課には取り決めの確認をぜひ促してほしいと思います。

お聞きします。
【5】養育費の取り決めに関して、区はどのように支援をしていますか?

協議離婚の際には、民法第766号の規定により、面会交流及び養育費分担の取り決めを定めるとされております。そのため届出書には子の利益を損なうことのないよう、取り決めがなされているか、否かを記入する欄が設けられております。戸籍住民課および特別出張所の窓口ではこの欄を確認し、未記入の場合には取り決めの有無をお尋ねするとともに子どもの利益を最も優先して取り決めをしていただくことが必要であることを丁寧に説明しております。また取り決めをすることが難しいお話をいただいた場合は法務省の発行する子どもの養育に関する合意書作成の手引きを差し上げるとともに養育費相談支援センターなどの相談窓口を案内し、専門家の支援につないでおります。

養育費の請求権は、子どものためのものなので、ぜひ取り決めの確認を促すことを要望します。
さて、平成28年全国ひとり親世帯等調査によると、ひとり親の母親で相談相手がいないと答えた割合が20%、相談する人が欲しいとこたえた人は60%です。SOSを発信しやすい、またしっかり受けとめる環境作りが必要です。

「子育てハンドブック」は、妊娠届をしたときに妊婦さんがもらえる大田区の子育て支援に関する情報がつまっている冊子ですが、この子育てハンドブックをさらに充実させて、ひとり親になったときにも大田区からはどのような応援があるのか、わかりやすく記しておき、戸籍住民課の窓口にも置いておくとよいと考えます。行政サービスはもちろん、子ども食堂や子育て広場など、地域の情報もくわえておくとさらに有効だと思います。

行政は申請主義ですが、貧困や孤立を予防するにはアウトリーチも大切です。たとえば児童扶養手当を申請にきた人に対して、「今後、連絡をとってもいいですか」、という連絡の許可を同時にとり、新たな企画がはじまるときなどお知らせをするなどアウトリーチの道もつけておくことはできないでしょうか。

大田区は他の自治体に先がけて子どもの生活実態調査を行い、おおた子どもの生活応援プランを作りました。また地域資源調査ということで地域の子育て支援をしている団体の実態調査を行いました。

お聞きします。
【6】この調査を今後、どのように活かしていきますか。

区は、子どもの貧困を地域の共通の課題と捉え、区民をはじめとする地域の多様な主体との連携により、「おおた子どもの生活応援プラン」を推進していくこととしています。「社会資源調査」は、地域における区民活動団体の現在の活動状況や、今後の展望などを、子どもの貧困対策の視点から調査したものです。調査対象は、大田区民活動情報サイト登録団体及び大田社会福祉法人協議会参加法人とし、本プランに資する87の活動を把握いたしました。こうした
区民活動の実態を踏まえ、平成30年度から、子どもとその家庭が抱える多様な課題を、地域力をもって解決することを目的とした「地域とつくる支援の輪」プロジェクトに取り組みます。子どもと保護者が自分らしく過ごせる居場所が、暮らしの身近にあることで、小さなSOSにも気付き、支援につなげることができます。そのために、区は、プラン推進に資する団体の個々の活動に対し、相談対応や情報提供などを行いながら、各団体が持つ強みを活かし、互いの連携を促進し、活動のさらなる活性化に向け、支援してまいります。また、本調査結果を活用した課題分析を行い、新たな活動の発掘などにも取り組んでまいります。

大田区は「社会的包摂」が大事だといっています。複雑な課題に寄り添っている地域の団体の継続性を今度は行政がサポートしながら、みんなでエンパワメントしていける大田区になることが持続可能な社会作りになるのではないでしょうか。また区役所のどの窓口も「法定受託事務をこなせばいい」というのではなく、「社会的包摂の大事な一翼を担っている」、という意識をもちながら業務にあたっていただきたいと願います。