レイプは魂の殺人 『ブラックボックス』を読んで

2018年5月23日 08時12分 | カテゴリー: 女性

『ブラックボックス』はジャーナリストの伊藤詩織さんがTBSの元ワシントン支局長、山口敬之氏から性暴力を受けたことについてのノンフィクション。山口氏は安倍首相と親しいとされるジャーナリスト。事件後すぐに安倍首相密着レポート「総理」(幻冬舎)という本を出版。

 

Black Box

 

証拠や証言、そして逮捕状。しかし逮捕しなかった

伊藤さんにとっては、山口氏は第一線で活躍している先輩ジャーナリスト。就職先の相談にのってもらう目的で飲食店で会い、その後、記憶を失いホテルで被害にあう。恋愛感情のある関係ではなく、気が付いた時点で彼女は抵抗する。どうしてよいかわからず、5日後に警察に被害届を出す。捜査官は「よくある話だし、事件として捜査するのは難しい」という。「相手は有名で地位もある人だし、あなたもこの業界で働いているんでしょう。この先この業界で働けなくなるかもしれないよ。今まで努力してきた君の人生が水の泡になる」と被害届の提出を考え直すようにもいわれる。下着のDNA鑑定によるものなど、証拠や証言が集まり、検察が逮捕状の請求を認め、裁判所が許可する。しかしぎりぎりで逮捕は執行されなかった。直前、待ったがかかる。ストップをかけたのは警視庁のトップ。まさかの不起訴。

 

問題の数々

1.警察内の女性比率8.1パーセント。男性である警察官に被害を訴えなくてはならないこと。
2.何度も同じ話をしなければならないこと。
3.レイプ緊急センターがないこと。2015年内閣府男女共同参画局が行った調査では15人に1人がレイプ被害に会っているにも関わらず、日本においては届出件数が少ない。届け出が多いスエーデンではレイプ緊急センターがあり、検査・治療・カウンセリング、それから警察に届けるかどうか考える機会があるが、日本は駆け込む場所がない。
4.師弟関係など、拒否できない精神的圧力もある。「拒否しなかった」という理由ではなく、「イエスがなければ同意ではない」という教育が必要。
5.デートレイプドラッグ→朦朧とし、記憶をなくす、作用のある薬が使われることが海外ではよくある。日本でも1990年代から事件が頻発しているので、検査体制が必要。
6.総理との関係の深いジャーナリストだからか? 逮捕状があるにも関わらず、逮捕されず、不起訴になったということ。

 

支配と征服

性犯罪においては、被害にあった女性は心に深い傷を負い、一生苦しみ、自殺する女性もいるほど。

伊藤さんの表現では、“自分の意志に反して性行為や暴力的な行為を加えられ、知らぬ間に自分を支配されていた恐怖。支配と征服”とある。
人としての尊厳を著しくはく奪する行為を絶対に許してはならない。

性犯罪はもとより、社会にはびこるパワハラ、セクハラ、DVそして虐待、全て根っこは同じ。支配と征服。上下関係。同じ人間として尊重し合うべき存在という関係・文化をどうすれば構築できるのか・・・・

少なくとも人権教育。
そして性教育。レイプ緊急センターの設置や婦人科で処置できる対応を考えるべき。早急に環境整備をする必要がある。

以上

 


東京・生活者ネットワークの声明

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