やさしい街は、市民自治の底力 「ココロン椅子」って? 世田谷・奥沢地区・地区社会福祉協議会のはたらき

2018年6月7日 21時45分 | カテゴリー: 市民活動, 都市環境

昨年、奥沢地区を歩いていた時、ふと見つけた椅子。延々続く住宅地、休むところはない。その椅子は道路からちょっと民地に入ったところに置いてあり、「ご自由におすわりください」「奥沢まちづくりセンター」と記したステッカーが貼ってある。

 

 

 

 

 

 

 

ココロン椅子

 

 

 

 

 

 

 

椅子の背の裏

 

一体これはなんだろう? と思っていた。奥沢まちづくりセンターに行って聞いてみると、住宅地の中に一休みできる場所が必要、と、住民の発意で実現したとのこと。手を挙げた人の家の敷地の中に椅子が設置される。なんて素敵なアイデア、なんて優しい街なんだろう。誰かのために誰かができることをする。きっと優しさの連鎖が街を居心地よくしていくにちがいない。

 
それにしても、大田区民からはなじみのない「まちづくりセンター」や「まちづくり推進委員」とは?“住みよいまちづくり作りをしていく仕組み”に大いに関心を抱いた。

 

「奥沢まちづくりセンター」で「ココロン椅子」について聞く

6月4日、大田区の地域福祉を考える仲間といっしょに「ココロン椅子」について「奥沢まちづくりセンター」におじゃましてお聞きしてきました。同じように街中に椅子を設置していきたいと考えているからです。説明してくださったのは、奥沢地区社会福祉推進協議会の方々、お二人はそれぞれ二つの町会(東玉川町会・交和会)に属し、地区の婦人会、民生委員を長く勤めて地域の課題を解決するために日夜働かれてこられた方々です。
それと玉川地域社会福祉協議会事務所所長さんと地域生活支援員さんでした。

 

 

 

 

 

 

 

まちづくりセンターの2階の会議室でお話を伺いました

 
ココロン椅子は「社協への募金」を目に見える形の“地域の助け合い”にしようと平成19年から始まった活動だそうです。社協への募金はその半額が地域で使えるからだそうです。民地を借りて2脚ずつ置くのは、一つに荷物を置くこともできるし、人とのコミュニケーションの場になるから。夜にはしまってもらう。現在41脚が活躍中。多くの人に喜ばれていて、「主人のリハビリに病院に通うとき、主人をここに座らせて私がタクシーを呼ぶんです。とても助かりました」と椅子の上にお礼のメロンが載っていたこともあったそうです。地域に配られるパンフレット等で今でも「ココロン椅子」を置いてくださる方を募集しています。

 

 

 

 

 

 

 

ステッカー

 

「まちづくりセンター」とは

以前は「出張所」という区役所の出先機関だったのを「まちづくりセンター」と名称を替えて、地域包括支援センター・地区社会福祉協議会・まちづくりセンターの3者連携の機能を持つようにしたとのこと。世田谷区には27地区のまちづくりセンターがあるそうです。

 

地区社会福祉協議会の活動・市民自治の気風

地区社会福祉協議会は町会・自治会等、地域活動団体への支援とアウトリーチで地域の課題を発見する地域の人々が主体のボランティア活動組織。地域福祉推進委員が地域福祉の最前線で働くそうです。特に奥沢地区は保健所や区役所が遠く、昔から“自分たちでなんとかしようよ”という課題解決型の気風があったそうです。たとえば、昭和27年、当時の地域の婦人会が、保健所が遠いので、地域に保健師に出向いてほしいと要望、陳情を出し、その流れで現在も地域の中でのきめ細かな子育て支援が続いているとのこと。婦人会の機動的な活動、中古衣料(3時間で18トン集まる!)や古紙の回収は多額の貯金にもつながっているそうです。行政を頼らない市民自治の風土は女性が原動力だったようですね!

 

地域で使い道を考えられる予算

社会福祉協議会の会費(寄付)の半分は地区活動に使えるので、ココロン椅子の他、インボディ測定(年2回・骨格筋量、体脂肪など13項目の検査と先生からの助言・病院が協力)、福祉体験学習などに活用され、多くの参加者を得ているそうです。

阪神大震災のあとは、防災に力を入れて各学校での寝泊まり訓練を実施。防災訓練が続いているとのこと。高齢者のための「ふれあいルーム」は生まれ育ったところに住み続けたい、と思う方々の居場所になっているとのこと。お料理、民謡、麻雀、健康体操・・・と多彩な活動が繰り広げられているなかで、地域の高齢者への目配りも行っています。地区社会福祉協議会の活動が自然と高齢者の見守りや「ケア会議」に繋がってきているそうです。

 

不便な土地だったからこそ、工夫して使い勝手がいい“助け合い”の仕組みを地域の中で生み出してきたのではないか、と学んだひと時でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

まちづくりセンターの前で