中高生の「やってみたい!」を応援する 豊島区立中高生センター ジャンプ東池袋

大田区では東糀谷児童館羽田分室において、現在、中高生ひろば事業を始める準備がなされています。他区ではどのような活動がなされているのか、中高生は何を求めているのか、取材をしていこうと思います。大事な思春期に何が必要なのか、しっかり考えていきたいものです。
 
6月29日、東池袋にある「ジャンプ東池袋」を訪ねました。鉄筋2階建てで、1階は高齢者の健康活動など全世代に向けた「区民ひろば」になっていて、2階は「区民ひろば」のうち「子育てひろば」と中高生センター「ジャンプ東池袋」が同居しています。

 

 

 

 

 

 

 

受付 「ジャンプ」と「子育てひろば」の受付はいっしょ

 

ジャンプ東池袋

運営目標

中高生の育ちや遊び、学びの場を提供。中高生の人格を認め、意見を尊重する施設運営。
虐待の予防や早期発見に努める。関係機関との連携。

豊島区直営。正規職員は所長1名と指導員1名(それぞれ障害福祉、生活福祉を経験してきている)。青少年支援員と呼ばれる非常勤職員が3名と中高生対応の臨時職員。

開館時間:
平日 午前10時~午後8時(小学生は5時、中学生は7時)
土・日 午前10時~午後6時
祭日・年末年始休館
利用者:一日平均 105名
登録状況:中学生42校・637名、高校生91校・633名

 

スタジオ
楽器やアンプがたくさん。寄付やリサイクルセンターからもらってくるものもある。楽器は自分で持ち込む人も多い。29年度は537団体が利用している。ライブが2回開催された。プロも生まれている。毎週土曜日にはプロがボランティアで教えにきてくれている。

 

 

 

 

 

 

スタジオ

 

 

 

 

 

 

 

ギターが並んでいる。アンプもいっぱい

 

 

 

 

 

 

 

工夫のある注意書き

 

多目的室
持ち込みで食べることもできるし、カップラーメンやアイスクリームも売っている。冷蔵庫には、無料で食べられる冷凍ご飯(社会福祉協議会より)があり、電子レンジで温めることができる。毎週日曜にNPOによる「こども食堂」が開催される。昨年の夏休みに10キロ痩せた中学生がいた。母親が精神疾患で食事が作れない、という状況だった。

 

 

 

 

 

 

 

カップラーメンなどを買うことができる

 

 

 

 

 

 

 

多目的室ではアイスが売っている

 

 

 

 

 

 

 

冷蔵庫にはご飯が冷凍になっている

 

 

 

 

 

 

 

無料で食べられるという掲示

 

図書コーナー
パソコンの貸し出しもしている。マンガや卓上ゲームもある。

 

 

 

 

 

 

 

図書室

 
プレイルーム
9時から17時までは「子育てひろば」と共有。それ以降は専有。卓球台の他、ダンス用の大きな鏡、ピアノがある。

 

 

 

 

 

 

 

プレールーム・ホール

 

和室
17時までは子育てひろば専有。17時~20時、中高生が学習に使える。学習支援に特化したNPOが勉強を教えにきてくれている。

 

 

 

 

 

 

 

隣りにある子育てひろばの和室

 

屋上
ネットが張りめぐらされており、バスケットコートになっている。

 

 

 

 

 

 

 

屋上・バスケットコート

 

今、求められているもの

SOSのキャッチ
遊びにくる中で、ぽろっと職員に告げられることがある。
・「俺、自首した方がいいかな?」話を聞いてみると「うけこ」をやらされていた。逮捕されるが、戻ってきてからのフォローを考える。
・「お父さんが嫌いだ」という。体にあざがある。虐待が疑われるが、以前、一時保護された経験があり、一時保護さきでいじめに合ったので、絶対、通報されたくないという。高校は中退するが、自立支援ホームに行って自活する道を応援。

 

 

 

 

 

 

 

相談機能、解決への道筋をさぐる
関係機関との連携、社会資源・地域資源との連携
・働きながら奨学金を受けて大学に行く方法を伝える(養老乃瀧の社会貢献活動「学生社員制度」)
・自殺予防の心理ゲームを大学の研究室と開発
・弁護士による相談 月に2回(職員の相談も多い)
・イベント企画「乳幼児親子をおもてなし」
50組の親子を招いて、高校生が食事を提供したり、乳幼児を抱っこしたり、遊ぶ。高校生がやさしくなる。母親たちも高校生なら安心して任せてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃんを抱く高校生「乳幼児親子おもてなしイベント」

 


訪問した日は平日の5時でしたが、大勢の中高生で賑わっていました。所長さんは子どもたちと親しげに言葉を交わしていましたが、一人一人のことがよくわかっているからこその会話なのに驚きました。「こんなにたくさんの子どもたちがいるのに一人一人のことがわかるんですか」と聞くと「職員はみんな子どもたちのこと、よくわかっていますよ」ということでした。「ここは屋根付きの遊び場に職員がいるっていう感じ」との説明もありましたが、そのくらいくつろげる場所で居心地がよく、しかも一人一人に向き合ってくれている職員がいるからこそ、SOSを発信することができるにちがいありません。重たい現実を知るとともに、中高生センターの果たす大きな役割に圧倒された訪問でした。

 

 

 

 

 

 

 

入口