呑川って、けっこうすごい! 呑川 ・洪水対策と生物多様性

2018年8月3日 23時41分 | カテゴリー: 環境, 都市環境

8月1日、「水辺の調査」の第1回目「呑川座学」では、呑川の会の代表・高橋光夫さんのお話を伺いました。主催は生活クラブ運動グループ大田地域協議会、大田区消費者生活センターにて。映像を使ってわかりやすく、豊富な経験と知識を生かしての楽しいお話に時間を忘れて引き込まれました。簡単にご報告いたします。

 

 

 

 

 

 

講義

 

1、呑川の洪水対策

江戸時代以降、農業用水として田畑を潤してきた呑川ですが、長年、洪水対策は大きな課題でした。昭和の中頃までは大雨になるとあふれて地域の住民は床上、床下浸水で大変な思いをしてきました。洪水対策としては、まず蛇行していた川を直線にして早く海に流せるようにし、深く掘り下げ3面をコンクリートに、橋げたを高く、ごく最近は監視カメラも設置しています。

橋げたが道路面より高いのは、川の決壊の大きな原因は橋げたにたまった流木などがストッパーになってしまうからだそうで、今年の西日本豪雨でも橋でせき止められた流木が原因で橋も壊れ、川も決壊している様子がわかるそうです。

 

内水洪水
大雨になると下水管から雨水と家庭排水が呑川に注がれますが、あふれた分が街中を流れます。マンホールの蓋がはずれることもあり危険です。道路が冠水している様子が石川町のあたりでは見受けられます。

 

 

 

 

 

 

内水氾濫

 

 

 

 

 

 

 

マンホールからあふれる水

 

対策→呑川に注ぐように護岸に排水スリットがあり、ナイアガラの滝のように呑川に注ぎ込みます。都市河川は地面を掘って作ってあるので堤防がありませんが、それによって、街中の内水は短時間に川に戻ることができます。

 

 

 

 

 

 

ナイアガラの滝のよう、排水スリット

 

しかし堤防がある川の場合は、水が街中に入ってきた場合はなかなか水がひかないので復興が大変です。西日本の豪雨ではこのなかなか水がひかない状況に苦しまれているということです。

 

 

 

 

 

 

西日本の豪雨災害・堤防を乗り越えて街に入ってきた水はなかなかひかない

 

2、生物多様性・呑川の生き物たち

呑川の水は新宿の落合浄水場からの高度処理水なので、窒素とリンが豊富で、川底に藻が付きやすいそうです。藻はユスリカが卵を産み付けるということで、ユスリカ対策として大田区は週に1度、川底の藻の除去作業を行っています。

 

ユスリカ
呑川の上流に生息するユスリカの大きな蚊柱は地域住民を悩ましています。人を刺すことはしなくて不快害虫と呼ばれます。2~3日の命は交尾をするためだけで、ユスリカは口も食道も胃もないのだそうです。不快害虫と呼ばれるがユスリカですが、多くの生き物たちにとっては、呑川の大きな魅力になっているようです。ユスリカを食べる鳥たち、藻を食べる鳥や魚たち、そして魚を食べる鳥たち・・・都市の河川とは思えない豊かな生き物が集っています。オナガガモはカナダやシベリヤから5000キロの旅をして呑川めざして飛んできているとのことです。

 

ユスリカを餌にする生き物たち
アブラコウモリ、ツバメ、ムクドリ、キセキレイ・・・

 

 

 

 

 

 

コウモリ

 

 

 

 

 

 

 

ムクドリ

 

藻を餌にする生き物たち
コガモ、マガモ、カルガモ、オナガガモ(カナダ・シベリアから渡ってくる)・・・

 

 

 

 

 

 

オナガガモ

 

 

 

 

 

 

 

カルガモ

 

魚を食べる鳥たち
かわせみ、カワウ・・・

 

 

 

 

 

 

カワセミの親子

 

他にも住む生き物たち
やまべ、まはぜ、テナガエビ、アユ、ぼら、うなぎ、どじょう、カニ・・・

 

 

 

 

 

 

テナガエビ

 

 

 

 

 

 

 

アユ

 

 

 

 

 

 

 

うなぎ

 


洪水対策に苦心してきた歴史のある呑川ですが、こんなに豊かな生物を育んでいるということに改めて驚きました。カルガモがコガモたちを引き連れて歩いている様子を見ることがありますが、これからは、人と自然との共生を含めてさらに豊かな環境づくりを考えていきたいものです。高橋さんに感謝!