宛名のないメール ~SNSの可能性~
誰かに聞いてもらいたい辛いこと、悲しいこと、うれしいこと、なんでも自分の思いを吐き出すことのできるサイト。まるで、小瓶に手紙を入れて海に流すように。
⇒宛名のないメール
その小瓶を拾って読んでくれる人がいる。お返事を書いてくれる人がいる。小瓶を流した人は読んでもらえることはうれしく、お返事をもらえることは励ましになるにちがいない。
そして、だれからも誹謗中傷をされないから安心して書き綴ることができる。
なぜ、誹謗中傷や冷たい反応がないかといえば、管理者が全ての投稿を読んで内容を確認して、載せても問題のないものを載せているから。これが「宛名のないメール」の特徴です。
「第25回こども笑顔ミーティング」では、10月21日、この「宛名のないメール」を運営している小澤裕史さんにお話を伺いました。
2007年から始めてもう11年。この11年間に6万通の投稿があり、26万通の返事があったそうです。月に20万人、1日に8千人のアクセス。ここ数年、半数が小中高校生。10代が6割を占めているとのこと。
小澤裕史さんのお話
●こんな投稿
・親から「死ね」「家出ていけ」と言われた・・・。今、すごく死にたい。親が言っているように自分は死ぬべきなんでしょうか。死ぬことが親孝行なんでしょうか
・「宛てメ」に出会ってから、なんだか自分の居場所が増えたみたいな安心感がある。
・みんなからの返事を読んでハッとさせられたり、拾ってくれた人の数を見て、「私だけじゃなかったんだ」と感じた。自分の最悪の気分が吹っ切れた。
●多いテーマ
「死にたい」「自傷」「恋愛」「いじめ」「友だち関係」「家族関係」「LGBT」「会社がブラック」・・・・
●ここから見えたリアルな問題は
〔1〕はきだす場所がない
親にも学校にも友だちにも言えないことがある。
〔2〕居場所がない
辛い時に逃げ込む場所がない
〔3〕助けてくれる場所があることを知らない
少しは心が癒されても、実際に「いじめ」はなくなっていない。
●今後の課題
解決するためのアクションを起こすために機関につなぐなど、子どもを直接的に助けるための方法を考えることが今後の課題。適切な機関のサイトにアクセスできるように「紹介」のコーナーを作ることの他、弁護士、看護師と協力するなどして子どもを助けるための動きを作りたい。
こんな素敵なサイトがあるとは知りませんでした。
辛い文章には心が傷みますが、ここに“吐き出す場所”があってよかった、と思える希望を産む活動です。
参加者との意見交換
小澤さんは仕事以外の時間はほぼメールチェックに当てているといいます。膨大な数のメールを見ながら「救われました」の一言が、モチベーションにつながるとのこと。夢は「宛てメ」の世界展開。世界の様々な国の子どもたちの事情を知ることで、視野がひろがるかもしれないから・・・SNSの可能性は大きく広がりそうです。しかしながら、なぜこんなに辛い文章が綴られるのか、根本的な問題の分析とリアルな居場所と聴く人がやはり必要だと考えされられました。
次回の「こども笑顔ミーティング」ではまた小澤さんが登場、今度は対談形式でお話を伺うとのこと、とても楽しみです。