不登校対策、放課後遊び環境の充実などの施策について -大田区議会のご報告

2018年11月1日 17時39分 | カテゴリー: 子ども, 子育て支援, 教育, 議会報告

第3回定例会・決算特別委員会での「教育費」の款の質問内容を以下にご紹介いたします。

答弁も含めた内容はこちらの動画でご確認ください。

9分20秒くらいから私の質問が始まります。

 

 

以下、質問全文です。


不登校対策など教育施策についてお聞きいたします。

不登校児童生徒に対して、学校と家庭以外の居場所の提供を!

大田区の小中学生の不登校児童生徒は2016年度、519名、高止まりのままです。2017年度に適応指導教室に通った子どもは136名で、うち在籍校へ復帰した子どもと進学した子どもを合わせると83名です。年々通室者が増えており、ご努力には敬意を表します。しかし学校復帰に至らない子ども、あるいはどこにもアクセスできていない不登校生徒が「社会的な自立」に向かうためには学校復帰をめざす適応指導教室だけではなく、別のアプローチも必要であると考えます。

2016年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」いわゆる「教育機会確保法」が成立し、国並びに地方公共団体の責務として「全ての児童は、その能力に応じた教育を受ける機会が確保され、社会で自立的に生きる基礎を培う」ことが明記され、「学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援」、「休養の必要性」が盛り込まれたことは周知のとおりです。

栃木県高根沢町においては、15年前に町の教育委員会が不登校生徒のためにフリースペースを設置しました。適応指導教室の一つという位置づけではありますが、学校復帰を目的にしないとうたっています。そこでは登校時間も授業時間も決めず、過ごし方も自分で決めて、おしゃべりやスポーツをするうちに人間関係が生まれ、自分の行動や存在を認められることで自己肯定感が高まっていき、結果的には100%の学校復帰になるそうです。子どもの力を引き出すには、自発的に行動を起こさせる環境とその時を待ち続けて見守ってくれる人の存在が必要であると高根沢町の教育相談員が述べています。先日高根沢町の教育委員会に、どのように学校復帰していくのか状況を聞いたところ、人それぞれで、毎日フリースペースにきていた子どもが1週間に1回、学校にいくようになり、やがて1週間に2回になるとか、中には1学期いっぱいフリースペースに通って、2学期からは学校に戻ると自分で決めたりするケースや、あるいは毎日学校に通って1週間に1回、フリースペースに来るなど、それぞれの方法で自ら学びたいという気持ちから学校に戻っていくようです。“どこで学ぶかより、何を学ぶか”が重要だと町長自らが音頭をとっているそうです。大田区においても、子どもの学習権の保障のために早期の対策を求めます。

【1】お聞きします。教育機会確保法において「休養の必要性」が言われているとおり、学校復帰への無理強いは避けなければなりません。またいじめや教師との関係で傷ついた子どもで学校が苦痛の場になっていたり、学校への不適応など学校への抵抗感の強い子どもにとっては特に、学校復帰をめざさない居場所が必要です。フリースクールとの連携や心に圧迫感を感じさせない「居場所」の提供について教育委員会はどう考えますか。

 

不登校児童生徒の保護者に対しての支援の充実を!

不登校の子どもを支えるには、その保護者を支えることも大切なことです。親の不安や混乱が親子関係を悪化させ、子どもの自信をさらに喪失させたり、家庭内暴力に発展する危険性もあります。

【2】お聞きします。大田区はどのような親支援を行い、その結果、どのような効果がありましたか。今後の進め方を教えてください。

 

子どもの放課後遊びの環境の充実を!

大田区は放課後の安全な遊び場として区立小学校施設を活用して学童保育事業と放課後子ども教室事業を一体的にした「放課後ひろば」を2015年度から実施しています。学童保育は定員制で保護者の負担がありますが、放課後こども教室は登録は必要ですが、その日の申し込みで利用可能で、無料、全児童だれでも利用できます。時間は授業終了後、夏場は5時まで冬場は4時半までが実施時間となっています。現在、59校中、学童保育と一体的に行っているのは45校、放課後子ども教室のみを実施している学校が11校です。

2017年度の包括外部監査によると放課後こども教室の登録児童数の平均利用率は約10%で、学校ごとに偏りがあります。地域活動との兼ね合いで、場所や時間的な制約があり、子どもたちが伸び伸びと遊べない、特に体力のついてきている中高学年になるとつまらない、と感じさせる状況にはなっていないでしょうか。学校ほど安心して遊ぶことのできる場所はないのに利用率が低いのはもったいないことです。

【3】お聞きします。2017年度には事業の拡張をして決算額は約7億5千万円でしたが、低い利用率をどう考えますか。分析、評価をどのようにして、今後の課題をどう捉えていますか。

子どもの生活をトータルで見て、成長にプラスになる遊び環境作りを地域全体で考える視点も必要だと考えます。親の都合で預けられるから行く、というのではなく、また行きたい、と思うような充実した遊びの場になる工夫を期待いたします。

 

トラブル回避、トラブル予防がかえって子どもの「人間力」、「コミュニケーション」育成への阻害要因になっていないか。

今の子どもたちは十分に遊ぶ空間も時間もなく、そのせいで夢中になって遊ぶ経験や集団の中でもまれること、ケンカをしたり、謝ったり、許したり、人間関係の様々な経験が少なくなっています。結果、悩み相談ではどこでも「人間関係について」が最も多くなっています。人を傷つけることに鈍感だったり、傷ついたときになかなか立ち直れなかったりすることがあるのではないかと考えます。核家族化や近隣との親しい付き合いがなくなってきていることも原因でしょう。学校においては、「人間力」を養うのであれば、できるだけ密なトラブルも含めた人間関係や感情体験もし、共感性や問題解決能力を養うことが今の時代、特に必要になっているものと考えます。その観点から学校のルールと子どもの現代的な課題との関係を質問いたします。

昨今は個人情報保護にとらわれるあまり、共助や協力体制の取り方がぎくしゃくしてしまうということをよく聞きます。リスク回避はもちろん大切なことですが、行き過ぎたリスク回避は、子どもたちから学ぶ機会を奪うことにもなるのではないかと考えます。

現在、学校では、子どもたちは名札をつけないのが一般的だと聞いていますが、それは外部の人間に名前で呼びかけられて子どもが誘拐された事件に端を発するものだと聞いております。確かにそういう危険性があるので、登校・下校の際に外すのは理解できますが、学校内でも名札を付けないことは、友だち関係を広げたり、深めたりすることに支障とならないでしょうか。人への無関心、小さな自分のまわりの友だち関係しかつくれないなど、社会性を育む上での支障はないでしょうか。同じ学年なら覚えられるとしても他学年の子どもの名前まではなかなか覚えられないにちがいありません。せっかく異年齢の子どもたちが集まっている場です。積極的な関係を築くためにも名札は必要だと考えます。最近、聞いた話では友だちを棒でぶっている場面をみつけた子どもが「そんなことしたらいけないんだよ、先生にいっちゃうよ」というと「どうせ、おれの名前はわかんないだろう」と返されたそうです。匿名性でなんでもできてしまうという方法を低学年の子どもがもう利用しているわけです。正義感のある子どもが、しゅんとなり、あきらめてしまう、「どうせ何もできないならこれからは見て見ぬふりをしよう」となったらどうでしょう。SNSで匿名性を利用しての陰湿ないじめが問題になっていますが、現実的な経験の中で倫理観・道徳観を育くんでいくこと、正義感を発揮できる教育現場であることを望みます。また教師との関係においても担任以外の教師からも声をかけられて、褒められたり、注意されたりする場面が少なくなっていないでしょうか。教師間での情報共有ができにくくなっているということはないでしょうか。

お互いの名前を知って積極的に交友関係をつくること、匿名性による無責任な人間関係を排除するためにも名札を付けることには意味があると考えます。

【4】お聞きします。何か事件が起きて予防的にとられる措置で、子どもの大切な学びのチャンスを奪うことがあるかもしれません。教育の場ですから、名札のあるなしが、子どもの学びにどう関わるかしっかり考えて検証することが必要ではないでしょうか。いかがですか。

本当のリスク回避とは、嫌なことは嫌と言えることで、主体的に考えて行動できる子どもを育てることが大事なのではないでしょうか。

生きる力と育む教育とリスク回避のバランスは難しいかもしれませんが、クレームに振り回されることなく、子どもにどういう力が必要なのか、保護者にも伝えられる、教育現場の主体性が問われるのだと思います。