居住支援の決め手は? 物件を持っている不動産業者が動き出せる状況をどう作るかが鍵!?

2018年12月22日 23時21分 | カテゴリー: 貧困, 障害者福祉, 高齢者福祉

不動産事業者の立場から見た居住支援協議会

船橋市居住支援協議会会員、京葉エステート株式会社 代表取締役 高橋弘明さん

報告-1:第3回 居住支援学習会

(12月14日14時~17時 大田区議会第2委員会室)

「住宅セーフティネット法と自治体、民間連携の居住支援事業」

~居住支援の現場から~

 

一人暮らしの高齢者、障がい者、低所得者、シングルママなど、賃貸住宅を借りにくい状況は深刻です。大家さんにどういうアプローチが必要なのか、どうすれば貸してもらえるのか、知恵を絞る必要があります。一方空き家の増加の問題があります。
国はこういう状況から、住宅セーフティネット法を制定し、住宅を確保しにくい人たちに住宅がいきわたるように関係団体が連携して対策を練るように自治体に居住支援協議会の設置を進めると共に、家賃補助などさまざまな補助制度のメニューを作りましたが、まだまだ十分起動してはいません。
大田区でもこれから「居住支援協議会」が立ち上がり、行政内の部局間連携と共に、民間との連携体制が図られていくことでしょうが、まずは課題意識をもった者で制度の勉強から大田区の実態、他自治体の先行事例や民間事業者の取り組みを学ぶことにしました。
今回は3回目、不動産事業者と生活困窮者の居住支援の現場から、大変示唆に富むお話を伺うことができました。ここに簡単にご報告いたします。

 

大田区の住宅確保困難状況報告

・区営住宅
全部で1364戸ある区営住宅、30年度の募集は世帯向けが26戸で、倍率は23.5倍。単身者向けが募集6戸で倍率90.3倍。車いす向けが募集1戸で、倍率6倍。(まちづくり推進部 住宅担当課長 榎田隆一)

 

・都営住宅 他
5月の募集は世帯向け26戸。倍率は74.9倍。8月の単身者向けの募集は11戸、倍率は48.7倍。ホームレス(路上生活者)は多摩川河川敷200人ほど、河川以外21人。

 

・大田区生活再建・就労サポートセンター「JOBOTA」より
発達障害の単身高齢者、猫と住みたい。外に出られず、仕事ができなくなった外国籍の人。高次機能障害の単身者。それぞれ複雑で多重な問題を抱えている。多文化共生センターや障がい者サポートセンターにつなげて、引っ越しをJOBOTAが支援したことも。他機関との連携が欠かせない。

不動産事業者の立場から見た居住支援協議会

船橋市居住支援協議会会員、京葉エステート株式会社 代表取締役 高橋弘明さん

 

 

 

 

 

 

 

京葉エステート株式会社 高橋さん

 

居住支援協議会について ~事務局はどこにある方がよいか~

船橋市の居住支援協議会は〔1〕学識経験者、〔2〕宅地建物取引業者、〔3〕建築士、〔4〕船橋市民生児童委員協議会、〔5〕生活困窮者自立相談支援機関、〔6〕船橋市役所(建築部長・健康高齢部長・福祉サービス部長)で構成され、事務局を社会福祉協議会に置いている。活動内容としては「住宅確保要配慮者又は民間賃貸住宅の賃貸人に対する情報の提供等の支援に関すること」とあるが、賃貸人である不動産業界は「登録住宅」とするメリットやこの制度自体をほとんど知らない。実際、千葉県の登録住宅は現在、3社29件(うち京葉エステートの物件が14件)。

事務局を社会福祉協議会におくより、全国宅地建物取引業協会船橋支部か全日本不動産協会京葉支部のいずれかに置いた方が、船橋に事務所をもつ420社が実際の居住弱者の相談に触れ、より携わる可能性があったのではないか。現状では、“登録住宅を増やしなさい、という道徳心の向上を願う事業”にはなっていないか。

・入居を断らない住宅を作ってしまう!(←全国500万戸の空き家時代)
大家さんに建築・改築(購入)してもらう
⇒入居を断らない住宅が増える

・築古アパートの用途変更改修工事
駅から遠い物件は安い、(共同住宅→寄宿舎)
例:オルシェ飯山満(木造2階建て)
1階は高齢者(家具付き)シェアハウス、2階は障害者のグループホーム
車いすが入れるようにスロープ新設
高齢者が自由に人との関わりも持ちながら住める住宅・介護が重度化したら施設に移るという契約・賃料は43000円(生活保護基準)

 


区営住宅や都営住宅の倍率を見ても、JOBOTAへの相談の例を見ても、住宅確保がいかに厳しい状況であるかがわかります。複合的な課題を抱えた人に寄り添うことや安価な住宅を増やしていくことは喫緊の課題です。
高橋さんのお話を伺って、ダイナミックに解決に近づくには物件を持っている不動産業界がどう動くかに大きく関わることを知らされました。不動産業者と福祉関係者、これまで接点のなかった分野の者同士で解決を図っていくのですから、実態把握や目標をどう掲げるかなど、居住支援協議会が相互理解の場となる必要があります。スローガンだけでは、住宅に困っている多くの区民を救えないでしょう。
大田区の居住支援協議会の行方をしっかり見ていきたいと思います。

 

こちらの記事に続きます。

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