「子どもたちの貴重な居場所、児童館を減らさないで」大田区議会予算特別委員会 報告-1 

2019年3月7日 20時15分 | カテゴリー: 子ども, 子育て支援, 教育, 議会報告, 都市環境・子ども

大田区は、子どもの貴重な居場所、児童館を民営化に続いて、今度は順次、減らそうとしています。これだけ児童虐待が問題になり、社会全体で子どもを見守っていこうという機運が出てきているのに時代の流れに逆行していませんか。再考を願い、質問をいたしました。

 

 

 

 

 

 

 

以下、質問の全文です。

子どもたちの貴重な居場所、児童館を減らさないで

近年、いわゆるパワハラ、セクハラ、医大入試女子学生差別、障害者雇用の水増しなど、人権に関わる問題は枚挙にいとまがありません。特に児童虐待死はパワーハラスメントの最たるもので大人の暴力で子どもの生きる権利をはく奪するものであり、一刻も早くなくさなくてはなりません。2016年に改正された児童福祉法には、このような虐待の増加を背景に子どもの権利の視点が明確に打ち出され、虐待の発生予防や被虐待児の自立支援など社会的養護のあり方まで、子どもの権利擁護の総合的な強化が図られています。

児童福祉法の改正を受けて、具体的な施策の見直しがなされてきていますが、昨年2018年10月には「児童館ガイドライン」の改正が厚生労働省から示されました。その理念として「児童館は、児童の権利に関する条約の精神および児童福祉法の理念にのっとり、年齢及び発達の程度に応じて、子どもの意見を尊重し、子どもの最善の利益が優先して考慮されるよう子どもの育成につとめなくてはならない」とあり、基本特性には「子どもがその置かれている環境や状況に関わりなく、自由に来館して過ごすことができる」「子どもにとって、遊びは生活の中の大きな部分を占め、遊び自体の中に子どもの発達を増進する重要な要素が含まれている」「児童館の特性には“拠点性”“多機能性”“地域性”“がある」とされています。

児童館が地域の中で「遊びを保障し、子ども自らの育つ力」を応援する位置づけであるとわかります。

さて、大田区ではこの児童館ガイドラインが改正される前、2016年8月に「大田区の児童館の今後のあり方」を示しました。それによると学童保育が放課後子ども事業と一体的に小学校の中で実施されるようになるので地域に分散している48ある児童館を中学校区28館に集約して、あとは子ども関係の施設に転用するという方向性ですが、このことを「児童館ガイドライン」に照らしてお聞きしようと思います。

児童館は学童保育のためだけにあるものではありません。ガイドラインに示されるように自由に来館できるということで、不登校だけれども児童館になら行けると通ってきている子ども、友だちといっしょに宿題をしてから遊ぶことが好きな子どもや、雨の日にのびのびと遊べるとくる子どもや、乳幼児親子、特に双子の幼児を育てていたり、自転車に乗らないお母さんは近くだからこそ来られるといいます。家庭にとっては、子どもだけで安心して送り出せる貴重な地域の遊び場であり、子どもの生活圏にあることが大事な点です。

そもそも学童保育が児童館から学校に移動したのは大人の思惑であり、広い校庭が使えることがうれしい子どももいる反面、児童館の方がよかったという子どももいるでしょう。学童保育は保育園と同じように「措置」という考え方だとするとしかたがないのかもしれませんが、子どもは希望を聞かれることもなく、遊び場が限定されてきています。その上、地域の中の自由な遊び場である児童館までなくなるとすれば、どうでしょう。

お聞きします。

 

Q1:児童館を中学校区に1つにしていくということは地域によっては生活圏内から貴重な子どもの遊ぶ場がなくなることになりますがこのことをどう考えますか。2018年にガイドラインが改正されましたが、それを受けて大田区は2016年に出した児童館のあり方の方針について検討されましたか。

A1:区は、平成26年4月に放課後ひろば整備方針に基づき、これまでに、放課後ひろばを45校、放課後子ども教室のみの施設を11校、整備してまいりました。放課後ひろばでは、校庭や体育館などで児童がのびのびと遊ぶことができております。運動だけでなく、子どもの興味関心に沿った工作など、児童館でのノウハウを活かした活動も行われております。
児童館等につきましては、平成28年8月にお示しした「児童館のあり方について」において、放課後ひろばの整備により学童保育事業が小学校内に移ることにともない、現在の46施設から、中学校区に1施設を目途に、28施設に再構築することとしています。再構築後の児童館では、現在の一般来館機能を維持し、特に乳幼児は終日活動することができるようになります。
こうしたことから、将来的には、児童館と放課後ひろば87箇所が児童の放課後の居場所として、地域の中にきめ細かく確保されることとなります。
また、2018年10月に改正された国の「児童館ガイドライン」については、「子どもの最善の利益の優先」「いじめ、保護者の不適切な養育が疑われる場合への対応」、児童館の施設特性として、「子どもたちの居場所としての「拠点性」、子どもたちの福祉的な課題に対応できる「多機能性」、地域における関係機関との連携という「地域性」があること」「乳幼児事業の実施」などの観点から、改正が行われました。既に児童館、放課後ひろばでは、子どもの最善の利益の優先はもとより、発達上の課題のある児童への支援や、虐待や生活上の困難について子どもの様子をきめ細かく見守り、必要に応じ、専門機関へつなげております。
「児童館のありかた」においても、今後の児童館では、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安、悩みを相談できる地域子育て支援拠点事業を実施するとしています。「児童館のありかた」は、「児童館ガイドライン」の改正に先立つものでありますが、その趣旨を十分に反映していると考えております。

それだけ重要な役目を持つ児童館ということですね。孤立した子育ての中で育児不安の親が多くなっている昨今、家庭を支援する機能は大変大事です。平成28年度の「保育事業の執行について」の包括外部監査によると児童館への相談件数は平成25年が15,245件で平成27年度が39,779件と急激な増加です。虐待死のもっとも多いのは0歳児ですし、2歳児のイヤイヤ期をどう乗り切るか、身近の先輩ママに相談することで解決することもあるでしょう。また現状、児童館が子どもの様子や訴えから虐待やその他の問題に接し、他機関との連携を図ることが少なくないことも聞いています。

お聞きします。

Q2:児童館は地域の中でますます重要な役割を占めていることがわかります。特に学校と家との中間にあることで、子どものストレスを受け止めたり、SOSを受け止める役割も果たします。虐待など大きな問題を未然に防ぐ地域の見守り機能としても重要な児童館を小学校区に1館、今のまま残しておくことを求めますがいかがですか。

A2:放課後の居場所は、子どもたちの何気ない一言から、悩みなどを受け止める場所となっております。現在では、児童館だけでなく、放課後ひろばにおいても、子どもたちから発信される虐待や、保護者の養育の悩み等についての情報が寄せられ、適切な支援機関につなげることで、解決の端緒となっているところです。また、放課後ひろば、児童館とも、保護者から、気軽に相談できる場として悩みを受け止めつつ、学校との懸け橋にもなっているところです。
将来の再構築後には、児童館、放課後ひろばあわせて87施設が、学校との緊密な連携のもと、地域の見守り機能としての役割を果たしてまいります。

放課後ひろばと合わせて87館と言っても、学校の中だけでは拾えない地域の見守りに児童館は必要なのです。ガイドラインでは児童館の機能に「多機能性」を上げています。地域の実情や時代によって児童館に求められるものは違うでしょうが、たとえば産前産後の人は多くの不安を抱えています。身近な児童館が「街の保健室」になって、看護師や保健師に相談ができる日を設ければ喜ばれることでしょう。ある人は病院近くの児童館には虚弱児が遊べる、感染症対策を意識した部屋がほしい、小児病棟には親しか入れないので入院中の病児の姉弟が遊びながら待っていられる場所も必要だといっています。日曜日にも開館してほしいという声は多く聞かれます。

お聞きします。

Q3:地域の拠点としての児童館はその活用に関し、大きな可能性を秘めています。もし転用を含め、新たな方針を作るとすると今後のあり方は地域の人や子どもも交えて、検討する必要があると考えます。地域が必要とするものをよりよく反映させるためには地域の人の意見を聞くことが一番です。検討会を立ち上げることはできませんか。

A3:放課後ひろばの整備が進み、学童保育の需要が小学校内で吸収できた施設については、転用等を検討することとなりますが、転用に当たっては、区全体の行政需要を見据えながら、区民全体の利益となるよう、必要な施設を検討していくこととなります。これには、施設の建物の構造や、所在地周辺の地域特性など、様々な条件を考慮する必要がございます。
したがって、転用の検討プロセスについても、施設ごとに条件を勘案しながら、決定していくべきものであると考えております。

区民全体の利益はもちろん必要です。しかし都市化された中で、安心して遊ぶことのできる場所は本当に少なくなってきています。遊びが子どもの成長発達を支え、安定した生活の土台にもつながります。大田区は「おおた子どもの生活応援プラン」を作成し、地域力、社会的包摂が子どもの貧困問題解決に最も有効な方法だといっていますが、地域の中の子どもの居場所をなくしてしまっていいのでしょうか。子どもの遊び場を了解もなく、奪うのだとしたら、行政の子どもに対するパワーハラスメントだというのはいいすぎでしょうか。今、地域ごとにある児童館を20館も減らして、28館に集約することは再考を願います。