生活困難層21%、「おおた子どもの生活応援プラン」の実効性は?

2019年3月15日 21時33分 | カテゴリー: 子ども, 子育て支援, 教育, 議会報告, 高齢者福祉

大田区議会第1回定例会・予算特別委員会が3月14日終了。大田・生活者ネットワークは2019年度大田区一般会計予算に反対しました

 

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平成31年度予算(案)の概要

 

 

理由は区民の暮らしが最優先の予算になっているとは思えなかったからです。高齢化率が上がり地域包括ケアシステムの構築、子どもの貧困、育児不安や虐待の増加、等々、課題山積なのに、遠い先の新空港線のための莫大な積立や議員の海外視察(区民への報告会なし)、観光施策などに多額の税金が使われているからです。“痛みへの想像力”が議員にも行政にも必要です。(自戒を込めて)

 

 

 

 

 

 

写真は3月5日、予算特別委員会のときのものです

 

以下、討論全文です。

大田・生活者ネットワークは第1号議案2019年度大田区一般会計予算、第2号議案国民健康保険事業特別会計予算、第3号議案後期高齢者医療特別会計予算、第4号議案介護保険特別会計予算、全てに反対の立場から討論いたします。

 

予算編成は今日的な課題を解決しつつ、持続可能な社会をつくるために

72万区民に対する責任としての予算編成は、住民生活に寄り添い今日的な課題を解決しつつ、持続可能な社会をつくる仕組みに寄与するものでなくてはなりません。野田市で起きた児童虐待死、引きも切らない虐待報道、またいじめによる高校生の自殺、小学生の自殺もショッキングです。子どもが死ななくてはならない社会とは一体どれほど病んだ社会なのだろうと思います。大田区においても虐待死や小学生の自殺はまだ記憶に新しく、若い人の自殺も増えているといいます。学校でのいじめ、虐待相談は増加を続けており、児童相談所設置を待たずとも実態把握、分析、対策は強化しなければなりません。

 

生活困難層21%、「おおた子どもの生活応援プラン」の実効性は?

大田区は平成29年「おおた子どもの生活応援プラン」を作成し、「子どもたちの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、地域力を活かし、必要な環境整備と教育の機会均等を図り、子どもたちが自分の可能性を信じて未来を切り開く力を身に付けることをめざします」と目標を掲げました。それに先立つ「生活実態調査」がプランの根拠であり、21%の子どもが生活困難層に該当し、経済的にも体験的にも不足があるということ、生活困難層ほど、家庭内に暴力が起きやすく、相談相手もいない傾向なども知りました。なかでも一人親世帯の半数が貧困で、経済的な困難と同時に家事育児仕事の両立に困難さをおぼえていました。

さて大田区の今年の予算で「おおた子どもの生活応援プランの推進」として、333万円を計上しています。うち144万円が地域とつくる支援の輪プロジェクトで、子ども食堂など子どもの貧困対策に取り組む地域の団体同士の交流・連携を促進することを目的とします。

 

困難な状況の子どもにもっと直接的にコミットするべき

団体同士の交流や連携は大切ですが、しかし団体にさらなるボランティアを期待するのではなく、大切なのは、それらの団体が直面している子どもの実態に対して大田区に何ができるか、踏み込んで考え、自治体としてできることを実行することではないでしょうか。団体の活動の事業継続のサポートでもよいかもしれませんが、困難な状況に苦しんでいる子どもにもっと直接的にコミットするべきではないでしょうか。たとえばこれまでも何回も紹介していますが、だんだんの近藤博子さんが子ども食堂をはじめたきっけである「ひとり親家庭で親が心を病み、給食以外はバナナ一本で暮らしている子どもがいる」との学校の先生の話があります。ある中学校の先生から聞いた話では、生活が乱れている家庭も多く、朝ごはんを食べてこない生徒も多いと。これらの話からは給食が命綱になっている子どももいるのではないでしょうか。品川区のある中高生対応の児童館では夏休みには毎日ソーメン食堂をしているそうです。食べられていない子どもがいるからだと館長さんがはなしていました。

給食費の無償化、長期休みの児童館での食事の提供、疲れ果てている親への支援として、子どもの一時預かりの低額化、一人親の相談窓口の統合化で支援の情報をわかりやすくする、子どもがのびのび楽しく遊ぶことのできる公園や居場所の拡充など、具体的な社会的包摂を推し進めるべきです。

子ども食堂など、支援団体の活動からは多くのことを教えられますが、それが大田区全域に広がっているわけではありません。必要な環境整備は社会保障の一環ともいえ、子どもの生活応援プランの予算が333万円と言うのはいかにも少なすぎます。

 

 

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事業概要の全体はこちら

 

地域力は区民との協力関係があってこそ
  ・施設整備には区民への丁寧な説明と意見交換が必要

大田区は熱意のある区民の力でさまざまな地域の課題を解決してきています。「大森西地区公共施設の整備」に84,640,000円の設計委託費が予算化されています。施設整備といえば、この間、集約・複合化という手法が取られていますが、使い勝手がどうなるかは特に利用者は心配するところです。特に「こらぼ大森」は区民活動の拠点としてこども交流センターや調理室を活用して配食サービスなど、もと小学校の校舎という特性を活かして活動が展開されてきています。複合化に際しては実際に活動をしている団体にまず説明をし、設計に際してはしっかり意見を聞くことをすべきだと考えます。地域への全体説明会で初めて知ったという利用団体があったことは残念です。

大田区は地域力を標榜しています。施設整備や公園作りなど、地域に関わることは、町会長さんだけに了解をとればよいというのではなく、地域の人や活用団体とていねいに話し合って進めていくべきです。区との信頼関係のなかで、助け合いの地域作りもできるのだと思います。

 

地域包括ケアシステムの充実は喫緊の課題

高齢者比率が高くなることで、介護や医療の需要が伸び、一方、少子化により支え手である生産者人口は減り、その少ない生産人口に多くの負担がかかることは必須だからです。大田区の高齢化率は2030年には22.7%で162,752人、このとき15歳から64歳の生産年齢が68.2%で500,903人。つまり65歳以上の高齢者1人を生産年齢の者3人が支えるという計算で、2040年には2.5人で一人の高齢者の介護、医療、年金などを支えていくという計算になります。人口構成の影響は全世代の生活にもろに関係してきます。少しでも少子化を食い止めて支え手を増やすことと同時に、健康な高齢期を作ること、地域包括ケアシステムの充実が持続可能な自治体経営のための最優先課題であり、高齢福祉課だけでなく、全庁的に取り組むべき問題です。

 

総合事業には社会資源の活用が必須、協議体と生活支援コーディネーターが必要

大田区においては総合事業が始まってちょうど1年がたちます。介護給付からはずれた要支援1,2の認定を受けた人たちが地域の中の地域支援事業にどのように取り込まれていくか、あるいは行くところがなくて、困ってしまうのか、しっかり見極めなくてはなりません。今後、要介護1,2も地域支援事業に移行することが検討されているということですが、総合事業の検証さえできない中で容認できるものではないですが、いずれにせよ、多様な主体が生活支援サービスや居場所や市民相互の支えあいを生み出していけるように積極的に後押しを大田区はしていくべきです。社会的資源の開発と育成、活用連携は必須であり、そのためには、様々な地域住民が参加する「協議体」と地域の状況をよく知る地域住民も参画する「生活支援コーディネーター」は今後やはり必要です。見守りやアウトリーチは町会や民生委員だけでは無理でソーシャルワークとして位置づけ、決して介護難民がでないようにしなければなりません。

ある90歳を過ぎた方から聞きました。もうゆっくりしか歩けなくなったので、横断歩道を渡るときに、信号が途中でかわってしまうのが怖くて、若い人に声をかけて手をひいてもらうのだと。なるほど声をかけ助け合うことができることは素晴らしいことで、区内の若者も捨てたものではありません。しかしこれから高齢者が多くなるのであれば、信号の時間を長めにとった方がいいのかもしれません。自助や互助は日常的な生活に必要ですが、これからは難しいながらも共助や公助の構築を強力にすすめていかなければなりません。

 

“生涯学習”の推進は地域づくりの土台

介護予防は単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけではなく、日常生活を高め、社会参加を促すことでもあるのではないでしょうか。そういう意味でも社会教育・生涯学習は重要で、文化活動や学びを通して区民の生涯現役をサポートするため、あるいは、区政の様々な課題を共に考え解決策を探る区民を増やすためにも必要です。

生涯学習センター蒲田の機能充実に78万円とあり、消費者生活センターの一部屋にラックが並び、イベントのチラシが入っていますが、学ぶことと仲間を作ることとその後の活動の後押しを大田区がどのようにしていくかが重要です。78万円ではあまりにも少なく、企画立案の中核をなす組織の強化が必要です。

地域力というのであれば、町会だけではなく、あらゆる区民活動が重層的に地域作りに関わり、子どもから高齢者までがゆるやかにつながれば、それが地域包括ケアシステムにもつながると思います。

 

新空港線より、安心して暮らせる「まちづくり」

超高齢社会を迎え、どんな社会にしていくべきか、人々の求めているものは何か、生活圏の歩きやすい道や、食料品の買える商店が近くにあることや言葉を交わす人がいるということなのかもしれません。
さて教育センターでは、不登校対策の一環として保護者同士、カウンセラーといっしょに語り合うペアレントプログラムを持つようになりました。親の中には苦しみを吐露し、また苦しんでいるのは自分だけではないことをしり、また子どもの苦しみにも共感できて家庭不和からの離婚さえ、思いとどまった例もあったそうです。人に寄り添い、人を大切にすることでの成功例を積み上げ、“何が大切なのか”を大田区として共有していきたいものです。

障害者も高齢者も共にくらしていて、小さな子どもは自分の意見をいえません。声なき声に耳を傾けながら私たちは「まちづくり」をしていきたいと思います。新空港線よりまず足元から、安心して暮らせる地域づくりに徹するべきだと考え、反対の討論といたします。