日本の土木技術は、江戸時代、世界最高水準だった ~人間工学に基づいた、安心安全な歩道とは?~

2019年3月27日 21時39分 | カテゴリー: 都市環境, 障害者福祉, 高齢者福祉

玉川上水は江戸の街においしくてきれいな水を運ぶために徳川家継の命を受けて玉川兄弟がつくったものです。特筆すべきは、奥多摩の羽村の堰から四谷大木戸までの43㎞が0.2%の勾配(※坂道の勾配に関する計算))で保たれていること。43㎞の距離の高低差92m、つまり10m進んで2㎝下げるという高度な技術は、世界有数の測量技術、土木工事だそうで、玉川兄弟の偉業だといわれています。明治時代、来日した外国の技術者が奈良の大仏とともに、玉川上水の技術の高さに驚嘆したと言われているほどです。

私が車椅子を使うようになってから2カ月、エレベーターに乗るとき、長押しをして私が乗り込むのを見守ってくれる方のいること、電車もバスも乗り降りに際してステップを出してサポートをしてもらえることなど、日々、感謝することばかりです。
障害をもっている方も高齢者も小さな子どもも共に生きる街ではさまざまな工夫と助け合いで、安心して暮らすことができるのだということを実感する毎日です。

そんな日々の生活の中で、これだけはどうしても危ないと思うものに“歩道の左右方向にかかる傾斜”があります。たとえば歩道が車の出入りのある民地と繋がっている場合に車が出やすいように車道側に歩道が斜めにカットされていることがあるのですが、その傾斜が歩道全体にかかり、急勾配になっている場合があります。

最大級の危険を感じる場所は、国道1号線にかかる池上警察署の交差点、横断歩道にでる歩道の「切り下げ」の急勾配です。横断歩道に出るわけではなく、ただ歩道を進んでいるとき、急に車道方向に落ちるように斜面になっているので、車椅子ごと車道に流されていってしまいます。どうにか抗って進むのですが、まるで歩道の中に崖があって、がけっぷちを命がけで歩いているような心持ちです。私の電動車椅子でもそうなので、老老介護で重たい男性を押している女性などは相当怖い思いをされていることでしょう。歩行器を押している高齢者やベビーカーを押しているママにとっても、また小さな子どもの自転車が車道側に落ちてしまわないかなど心配になります。

 

 

 

 

 

 

 

歩道を進むときに左に傾斜している(池上警察署前の交差点、国道1号線の歩道・五反田方向)勾配12.5%

 

 

 

 

 

 

 

池上警察署前の交差点、車道・横断歩道から眺めた歩道の傾斜

 

これはどうしても放っておけないと思い、先日、国土交通省に電話をして現地を見にきてほしいとお願いしました。後日、国土交通省 東京国道事務所の方がいらしてくださり、傾斜の具合をいっしょに見てくださいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国土交通省 東京国道事務所の職員の方々に説明しているところ

 

私の車椅子にも乗っていただき、身体が斜めになってしまうことも実感してもらいました。勾配を測ってもらうと12.5%。本来の基準は2%までということですから、それをはるかに超えた傾斜ということです。

 

 

 

 

 

 

 

勾配を測っているところ

 

 

 

 

 

 

歩道の左右方向にある傾斜を図にしたもの

 

実はこのような急勾配の傾斜はここだけではなく、都営浅草線西馬込の駅前の交差点など国道1号線沿いに点在しています。またそこまでの勾配ではなくても歩道上での車の出入りや商店の出入り口のあるところでは、様々な形状の「切り下げ」があり、その“無秩序さ”は車いすの通行にはかなりの「緊張感」を強いるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

都営浅草線 西馬込駅前の交差点、国道1号線を渡る横断歩道と交わる歩道の傾斜

 

 

 

 

 

 

都営浅草線  西馬込駅前の交差点、国道1号線の車道と歩道との段差

 

すぐにかけつけて、熱心に歩道の形状を見てくださり、改善策を考えたいといってくださった国土交通省 東京国道事務所の方々には感謝いたします。

さて、高齢者も障害を持った方も妊婦さんも小さな子どもも安心して歩行できる歩道はどうあったらよいでしょう。

江戸時代、最高の技術を誇った日本の土木技術、今、この時代、人間工学に基づいた人に優しい道路設計はどうあるべきでしょう。