【きたざわ潤子のプロフィール‐9】人生の3冊

どれも若かりし日に読んだ本で、新しい価値観に出会い、目が開かれ、心の成長のステップに関わった本ではないかと思います。世界の景色が違って見える出会い。これらの本との出会いに感謝しています。

 

「少女パレアナ」エレナ・ポーター作 村岡花子訳 角川文庫

中学生の頃、読んでとても影響を受けた本です。パレアナは父親の教えから「何でも喜ぶ」喜びの遊びを実行します。貧しくて辛い目にあっても、見方を変えると悲しみが半減するのです。たとえば孤児になったパレアナが叔母さんの家に引き取られるのですが、粗末な部屋には鏡もありません。でもパレアナはこう考えるのです。「鏡がなくてよかったわ。そばかすを見なくてすむから」。“喜べる側面を見つける”という想像力や意志は、人生を豊かにしてくれる鍵かもしれません。今でも私は「喜びの遊び」を続けています。

 

 

少女パレアナ (角川文庫クラシックス)

 

「モモ」ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳  岩波書店

モモはどんな相手の話でも真剣にしっかり耳を傾けて聴きます。すると聴いてもらった人は必ず、自分自身に向き合い、本心に立ち返り、癒され、元気になるのです。街全体が活気を帯びてくるほどです。しかし灰色の男たちが現れ、「生活の中の無駄な時間を節約しよう」と言葉巧みに「時間貯蓄銀行」に人の時間を預けさせようとします。「時間」は生活そのものであり、豊かに生きるとは生活を大事にすること、人との関わりを大事にすることだと気づかされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モモ (岩波少年文庫(127))

 

「愛するということ」エーリッヒ・フロム 懸田克躬訳 紀伊國屋書店

「人を好きになる」「人を愛する」ということはどういうことだろう、自己中心的な自分の利益のためなのだろうか、と悩んでいた時、この本に出合いました。「愛は意志である」「誰かを愛するということは強い感情ではなく、それは決断であり、判断であり、約束である」「誰かを愛するということは、愛する力を実現することである」とフロムはいい、「愛する能力」は人間理解と人の成熟に関わるものであり、崇高な意志だということを教えられました。対象よりもまず自分自身に“人を愛する能力があるか”と問うようになり、成熟への思いを強くしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛するということ 新訳版

 


 

しかし、もっとも影響を受けた本は「聖書」だといえるでしょう。
両親がクリスチャンであり、子どもの頃から教会に通っていたからです。
「自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい」
「いつも喜んでいなさい。たえず祈りなさい。すべてのことに感謝しなさい」
ふしぎに心に安らぎを与えてくれる言葉です。