生涯学習の充実を -大田区議会第2回定例会のご報告【1】

2019年6月30日 09時33分 | カテゴリー: 市民活動, 議会報告

大田区議会第2回定例会(6月13日~6月24日)のご報告

今回の一般質問ではまず「生涯学習の充実」を取り上げました。

人が支えあえる安心な社会はどうやって構築していけるのでしょう。生涯学習を通して地域づくりへと広がる「学びから活動へ」の循環を考えてみました。
質問と答弁も含めての報告です。

 

「学び」が地域活動に生かされるようなコーディネートとは

健康寿命を長く、高齢期を元気で生き生きと過ごすことはだれしも望むことであり、そのための環境整備は自治体の大事な課題です。居場所や人との交流があることが個人にとって生活の張りや気持ちの安定につながるのはもちろん、人との交流が地域社会に広がれば、それが自然な見守り、信頼と安心感のある地域社会作りにもつながります。しかし定年退職を迎えたものの、それまで地域とのつながりを作ってこなかった人は、地域にどのように関わってよいか、わからない場合があります。高齢者には限りませんが、そのようなとき、「学び」が一つのきっかけとなり、地域に目が開かれ、仲間を得て、地域活動や社会貢献につながることもあることでしょう。学ぶことそのものにもちろん価値はありますが、その後の新しい自分の居場所を得ることも充実した生活につながるにちがいありません。その意味では「学び」から「次のステップ」を見つけることのできる仕組みは重要であり、生涯学習のさらなる可能性を考えたいと思います。

エセナおおたで開催されている「男の生き方塾」という男性向けの講座では、佐伯栄養学校の先生から食事作りを教わって会食を楽しんだり、ファシリテーターのもと、「自分はこれから何をしたいか」を考えたり、大田区で何か活動をするとしたら、どんな活動場所があるかを知る機会を作っています。終了しても次に「サードエイジサロン」という会があり、会員同士の交流や学び合いが続きます。また区内のイベントの手伝いやボランティア活動も行い、ボランティアでいえば、障がい者福祉施設で障がい者の清掃補助や、子ども家庭支援センターでベビーカーのメンテナンス。これは子育て中のママたちに大変喜ばれていると聞きました。自分の力を活かし、人に喜ばれる経験は会社勤めのときとはちがう充足感があり、会が長く続いているゆえんです。

また「男の生き方塾」を終えたのち、歴史好きな人が町巡りガイドのボランティアや六郷用水の会、あるいは環境マイスター、町会の活動など、自分に合った区内の様々な活動を見つけ、そこに参加していくことも多いと聞きました。特に男性の社会参加は課題ですが、始めはリードする世話人が必要で、信頼関係を築きながら一緒に地域活動に参加することが成功の秘訣だと聞きました。

様々な学びの機会、仲間、そして、様々な次のステップが見える形があることが社会参加のきっかけになることを教えられます。

【1】お聞きします。地域力推進課・区民協働・生涯学習担当の事業の一つである区民大学は誰もが参加できる学習の場としての歴史がありますが、「地域力」や「連携・協働の推進」をめざす大田区として、この学習が社会参加や地域活動につながっていることを把握できていますか。また大田区は区民が活動に入りやすくするためにどのようなコーディネートをしていますか。

答弁:(地域力推進部・地域力推進部長:小泉貴一)
生涯学習は、生涯を通じて豊かで実りある生活が送れるよう、区民一人ひとりの自発的な意思により、自由に集い、相互に学び合い、人と人とがつながる重要な活動です。
学びを通じた個々の気づきや知識・技術、区民同士のつながりを地域貢献活動につなげ、区民相互の連携・協働による地域生活課題の解決など、地域づくりや地域社会の発展への寄与を期待できることも、生涯学習の意義の一つです。
「おおた区民大学」などの講座においては、受講をきっかけとした自主学習グループの結成や地域活動の参加につながった事例があります。具体的には高齢社会をいかに迎えるかを学び合う「はせさんず」や身近な環境問題の語り合いから地域貢献活動に発展した「リトルターン・プロジェクト」など、学びの輪を広げながら地域に根付いている活動などを把握しているところです。
区は、学びと地域活動のコーディネートを図るため、現代的課題をテーマにした実践的な講座を企画し提供しているほか、学習相談を日常的にお受けし、気軽に参加できる講座・イベント情報や社会教育関係団体の紹介などを行っている。
今後とも、区民の生涯学習の機会と学びの成果を生かすことができる地域づくりを進めていきます。

 

区内の教育機関との連携でさらなる生涯学習の充実を

さて、これまで区民大学では区内の大学の協力を得て、教養を始め、専門的な分野も含め特色ある多彩な講座が実施されてきております。しかし知識は得られても、短期的な講座ではなかなか体系的な学びにはならないし、友人を作るまでにはいたらないということを聞きます。

さまざまな学びの形があってよいと考えますが、ある程度の長いスパンの中での体系的な学び、区の課題や社会課題を解決するための仕組みを考える力を醸成するようなプログラム、同じ志をもった友人と出会うチャンスを得ながら、地域活動のリーダーを養成する学びの場を作ることができないでしょうか。個人の生きがいもですが、地域のコミュニティ作りは喫緊の課題であり、その担い手の育成は重要です。

【2】お聞きします。大田区は、区内の教育機関とさらに連携して、より一層生涯学習を充実させていくことが必要ではないでしょうか、大田区のめざすところをお聞きします。

答弁:(地域力推進部・地域力推進部長:小泉貴一)
だれもが参加できる開かれた講座とするとともに、区民の多様な学習意欲に応えられるよう、地域学や歴史、人権といった幅広いテーマを設定し、魅力ある内容となるよう工夫しています。
「地域でいきいきと暮らしていくための知恵」をテーマとした、生涯にわたって区民生活を充実させる講座や「地域コミュニティの再生」をテーマとした、住みやすい地域づくりを進める講座などは、学びの成果を生かした地域力の醸成にもつながる意義あるものと捉えています。
行政だけにとどまらず、大学や企業、NPOといった多様な主体による学習機会の提供は、幅広いニーズに対応できるとともに、地域社会全体における学びの涵養にもつながります。
事業の意義を一層高めるねらいから、東京工業大学をはじめとした「大学・専門学校等との提携講座」を平成10年度から実施し、教育専門機関との共催により最先端研究をテーマとする講座を実施するなど、各機関の強みを生かした連携・協働による学びの提供も行っているところです。
今後ますます区民の学習ニーズの多様化が予想されるなか、引き続き、関連機関との連携を密に、おおた区民大学をはじめとした学びの場を充実させ、地域力の向上を図っていきます。

 

地域人材の育成をどう考えるか

「港区チャレンジコミュニティ大学」は、2007年から地域活動のリーダーを養成することを目的として港区と明治学院大学との連携で行われている事業です。高層住宅が多い港区、家庭の孤立化、外国人を含め、多様な人々が共生していくための地域づくり、防災・防犯などコミュニティ活動にはコミュニティーリーダーの人材育成が不可欠だと考えたからだそうです。受講資格は民生委員以外は60歳以上。1年間の授業は入学式から卒業式まで全て明治学院大学で行われ、学食も大学図書館も使えるそうです。授業は年間40日、授業料は年間2万円。学習内容は区職員による講義で港区のしくみと行政課題、それと大学の様々な講師による現代の社会課題と福祉的な視点でのまちづくりを中心に、施設見学や芸術鑑賞や体育館での運動、体作りなど体験的な学習も含まれた多岐にわたった内容で、最後は1泊2日の合宿まであります。

 

 

 

 

 

 

明治学院大学
生涯学習の一例として紹介した「チャレンジコミュニティ大学」(港区と明治学院大学との連携事業)。
1年間のプログラムが明治学院大学のキャンパスで行なわれます。

 

受講にあたっての選考は地域貢献への思いの作文によるそうですが、60歳を超えての大学入学は青春を再び味わうかのような、緊張感と気持ちの高揚があるとのこと、口コミでの人気は高く、60名定員のところ毎年100名前後の応募があるそうです。60人を20人ずつのグループに分けて、担当の教師を含めた1年間の交流の中で、仲間との絆が生まれ、終了後に地域づくり、サロン活動やコミュニティカフェの運営他、多くの活動が生まれるそうです。

元美容師だった人が「高齢者向けの美容塾」を立ち上げたり、IT企業で働いていた人が学童保育にプログラミングを教えに行くなどの独自の発想での起業やボランティア活動などが展開されています。これまで培ってきた知識や経験を地域に生かす喜びや、いくつになってもチャレンジできるという希望がはつらつとした活動に繋がっていると聞きました。
卒業生はすでに700名。主体的な卒業生の組織もあり、交流、情報交換があるほか、コミュニティカフェやサロンの運営に際しては、港区が公共施設の一部を区民協働スペースとして無償で貸し出すなど、区民協働への参画の推進が図られているそうです。

【3】お聞きします。大田区の場合、区民大学を修了した方も含め、地域人材の育成をどのように考えていますか。

答弁:(地域力推進部・地域力推進部長:小泉貴一)
少子化高齢化やグローバル化、情報通信技術の進展など変化が激しい時代においては、学びによる成果が次の学びにつながり、学びと活動が循環する生涯学習社会の実現が望まれ、それを支える担い手の育成は、区の重要な課題の一つです。
区はこれまで、生涯学習リーダー養成講座の実施や講座修了者への自主活動支援などに取り組み、区民相互の学習を支え、学び合う環境づくりを進めてきました。
今後はこれを発展させ、生涯学習人材育成講座の実施やフォローアップ研修を通じて、生涯学習と地域活動の循環を支える「生涯学習相談員」を育成していきます。
区は生涯学習センター等を活用した生涯学習相談会などにおいて、生涯学習相談員が、生涯学習に関する区民の様々な相談を直接お受けし、区民が地域人材として地域活動に向けた実践力を向上させることができるよう努めていきます。

地域コミュニティーがなくなってきていることはもうずいぶん前からいわれています。結果、人の孤立化は、孤独感、自分の存在意義を認めてくれる人間関係の欠如、居場所のなさ、人が支えあい、助け合える安心感のなさにもつながり、その不安が昨今の衝動的な怒りにも似た事件にもつながっているのではないかと考えてしまいます。人が支えあえる安心な社会環境はどうしたら構築できるのか、超高齢化時代を迎え、さらに核家族化で孤立した育児や虐待問題、外国人との共生など地域の課題は山積しています。縦にも横にも斜めにもさまざまな関係性を構築し、だれもが自然にソーシャルワークのできる社会にしていくことが必要ではないかと考えます。安心して暮らしていける持続可能な社会づくりへの道筋の一つとして「生涯学習」のさらなる充実を願います。

 

 

 

 

 

 

第2回定例会にて、一般質問