議員が障害者であること、車イスユーザーであること―《3》

だれにとっても優しい社会につながるように ~施設整備編~

 
参議院議員になった、れいわ新選組の舩後靖彦さん(筋萎縮性側索硬化症⦅ALS⦆患者)と木村英子さん(脳性マヒ、重度心身障害者)が国会に登庁し、国会のバリアフリー化が注目されました。これを機にユニバーサルデザインの視点がさらに広がることを期待するものです。

この半年間の車イスでの生活を通して、主に区内の公共空間・施設の中で気づかされたことを記します。

 

点字ブロックと車イス

視覚障害者には大事な点字ブロックですが、車イスにとっては、すべったり車輪をとられたりするので、注意が必要になります。たとえば駅構内でエレベーターに向かう狭い道、点字ブロックがどの位置にあるかで、車イスの走行に影響があります。障害種別ごとに、必要なサポートが違うので、よりよい方策を求めて丁寧な協議が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

駅で、エレベーターに向かう点字ブロック

 

トイレについて

ほとんどの公共施設に「多機能トイレ」「だれでもトイレ」等が設置されるようになったことは、うれしいことです。入るとき「開」と「閉」のボタンがあって、それを押すことで開け閉めができるものだと動くスピードに関わらず入れるので安心です。レバーで開ける扉の場合、開けたと思ったらすぐに閉まるものもあり、なかなか入れないこともありました。さらに課題をいうと、水の流し方がレバー式、ボタン式、センサー式など様々で、どこをどうしてよいのか、わかりにくいことがあります。形状や配置にはJIS規格があり、国際規格になっているそうですが、民間も公共施設も規格通りにはなっていないようです。使いやすく、わかりやすい位置に統一されていくことを希望します。

 

 

 

 

 

 

 

大田区役所・障害者対応トイレの入口

 

 

 

 

 

 

大田区役所・障害者対応トイレの中

 

エレベーターの広さは適切か

大田区総合体育館は国際試合や全日本レベルの大会を誘致する体育館でメインアリーナは観客席が4000席もあるほどなのに、なぜかエレベーターが狭いのです。私の車イスでやっとなので、リクライニング型の車イスはかなり難しいでしょう。斜めに入ってしかも首を立ててやっと入れるのだと聞いています。多くの人を集める目的の施設であればなおのこと、エレベーターの広さには配慮してほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リクライニング型の車イスでは入るのが難しいエレベーター

 

障害者用シャワールームなのに

同じく大田区総合体育館の更衣室の中にある障害者用シャワールーム。せっかく設けているのに鏡の設置場所が普通に大人が立った位置についていて、車イスの高さでは全く見ることができないのが、なんとも残念。建物のバリアフリーと設備のバリアフリー、両方に目配りが必要です。どの時点でだれがチェックするのか、チェック項目のポイントは、ということを明確にしているでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大田区総合体育館・障害者用シャワールームの鏡が高い位置に

 

六郷図書館、休憩室奥の電話コーナーには車イスは入れない

昨年(2018年)12月に完成したばかりの3階建ての六郷図書館。2階の休憩スペースには自販機もあり、休憩がとれます。休憩スペースの奥には、携帯電話をかけられるブースがありますが、入口の幅は53㎝、私の電動車イスはかなりコンパクトなものですが、それでも幅が60㎝ですので入ることができません。設計段階で気づくことはできなかったのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

六郷図書館

 

 

 

 

 

 

六郷図書館・2階休憩室の中にある携帯電話のかけられるブースの入口

 


総合体育館や六郷図書館のような新しい公共施設において、車イスユーザーが不自由を感じる状況のあることは残念なことです。大田区には「大田区ユニバーサルデザインのまちづくり基本方針・アクションプラン」があり、「あらかじめ障害の有無、年齢、性別、国籍等に関わらず、多様な人々が利用しやすいように考えて、都市や生活環境をデザインすること」とうたっています。UDパートナーが区の施設、公園、道路等の整備改善のために継続的に点検するという仕組みも作っているのですが、どこかで途切れてしまうことがあるとすれば、それはどこなのかを点検する必要があるでしょう。(点検する仕組みを点検!?)

 

 

 

 

 

 

 

池上本町公園の入口の段差

 

YouTubeで人気の せやろがいおじさんと乙武洋匡さんの動画も的を射ているので見てみてください。