夏休みドキドキ学校・久原小学校

もう17回目を迎える「夏ドキ」は夏休みに地域の人が企画した様々な講座を子どもたちが選んで参加するという催しで、毎年大人気で、抽選で決める講座もあるほど。学校の授業とは違う体験を楽しみ、チャレンジすることと同時に地域の人とのつながりを感じる貴重な行事だと聞いていました。

工作、料理、手芸、水あそび、ダンスなど実に多彩な企画がありますが、私は理科室での「化学反応を操りプラスチックを作ろう!」という講座を見学させていただきました。講師は大学の先生であり、小学校の保護者でもある方とのこと、対象は高学年の親子ということでパパたちも含め、15組の親子が参加されていました。

「ナイロンを作ろう!」という実験と「電気を流すプラスチックを作ろう!」という実験、そして「海洋プラスチックについて」のお話、という講義内容です。実験は大学生がするような実験だとの説明に子どもたちは「えー!」という歓声。ちょっと緊張しながらも誇らしい気分になったのではないでしょうか。講師の説明を真剣に聴いていました。試薬が体に付かないように、目に入らないように、白衣、ゴーグル、手にはゴム手袋をはめての実験です。

 

ナイロンを作る

ビーカーの中に入れたヘキサメチレンジアミン(溶液 水酸化ナトリウム水溶液)にアビジン酸ジクロライト(溶液ヘキサン)を静かに加えると境界面にナイロンが生まれるという化学変化を見る実験でした。確かに2層に分かれた液体の境界面には白い膜ができました。そのナイロンの膜を割りばしで持ち上げると次々にナイロンがつながってできてきます。割りばしに巻き付けていき、できたナイロンのかたまりに目は釘付けです。液体から線維が生まれる不思議さを味わったのでした。出来上がったナイロンは、エタノールで洗ってビンに入れて、おみやげになりました。

 

海洋プラスチックについて

世界中の海を汚しているプラスチック。1年間に海に流れ込むプラスチックの量は800万トンでジャンボジェット機5万機分だそうです。マイクロプラスチックとなったものが食物連鎖の先で、やがて人間への健康被害につながると予想されるので、プラスチックの処理は世界中の課題だというお話です。このまま海洋プラスチックが増え続けると2050年には海の魚の量と同量になるそうです。

対策としては、※リデュース・リユース・リサイクルが大事だとされていますが、研究の世界では・リサイクル技術の向上、・生分解性プラスチックの開発、・プラスチックを分解する微生物の探索に主に取り組まれているとのことです。

最後に、講師からは、“プラスチックを分解する微生物を探してみませんか”との提案。
今日、作ったナイロンを庭に埋めてみて、1年後、10年後に掘り返してみて、もし小さくなっていたら、微生物の大発見かもしれないから、教えてくださいと。“共同研究ということで発表しましょう”との提案には教室には笑顔がいっぱいでした。


 

化学の面白さを体感し、最後に地球規模の課題までを知った子どもたち、どうしたら世界をよくしていけるだろう、そんな思いを親子で共有したひとときだったかもしれません。

「夏ドキ」は子どもたちの好奇心、探求心を引き出して、学びのモチベーションにつながっているにちがいありません。地域の方々の能力と情熱、努力に大いに感銘を受けました。そしてそれは100個ほどの講座をコーディネートする「夏休みドキドキ学校委員会」の方々の並々ならぬ努力があってこそでしょう。
地域の底力、ここにあり! の久原小学校でした。


〔※〕
リデュース(Reduce) → ごみそのものを減らす
リユース(Reuse) → 何回も繰り返し使う
リサイクル(Recycle) →分別して再び資源として利用する
横浜市資源循環局3R推進課のHPより)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友人のS君と。
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