ALS患者の在宅療養と課題 仕事と介護の両立を実現

ご報告 OTA未来カフェ

「難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)について」

2019年8月24日 大田・生活者ネットワーク

 

参議院議員になった「れいわ新選組」の舩後靖彦さんはALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病ですが、同じALS患者が大田区内には73人いらっしゃるということです。Sさんは55才のときに発症し、現在は63才。彼を家族一丸となって支えてこられている状況を奥さまから、また病気の概要を一般社団法人日本ALS協会の方からお聞きしたので、そのご報告をいたします。

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは

運動神経が変性して、筋肉に伝わらなくなり、話すことや食べること、体を動かすことがだんだんできなくなる。中高年で発症することが多く、2~5年で人口呼吸器をつけないと生きていけない。原因がわからず、治療法も確立されていない。2018年現在で国内に9,600名の患者がおり、年間2,300人ほどの人が発症している。
一日も早い治療薬の開発、長期入院先・施設の拡充など課題は多い。

ALSと診断されたら? 診断後、まず読んでほしいこと

 
 

Sさんの場合、療養歴

ろれつが回らず、呑み込みがしにくくなったので病院で受診。CT、MRI、筋電図検査でALSとの診断。リハビリをしながら1年間は仕事を続ける。手足の筋肉低下と首を支えることができなくなり退職。身障者手帳取得、要介護5認定、障害年金受給開始。訪問診察、訪問リハビリ、訪問介護の体制作り。翌年、胃ろうが始まると重度訪問介護の体制作り、その翌年、人工呼吸器を装着。意思の疎通には、右足先を使ってモニターの文字盤を示す仕組みの「意思伝達装置」を使う。

 
 

自宅療養の工夫

〔1〕家族会議:夫も含めて家族全員で今後、どういう生活をしていきたいかを話し合った。
〔2〕医療と介護の連携:仕事をしながらの介護ができるように、関係者会議の開催。
家族の希望をしっかり医師に伝える。重度になってから11事業所、週647時間介護。
〔3〕情報収集:日本ALS協会、福祉制度(厚生労働省の難病関係、都区のHPチェック)、介護用品、介護機器・・・
〔4〕時短アイデア:全開パジャマ(衣服やパジャマを全開ファスナーやボタンに替えてくれる店がある)、アモレSU1(自動痰吸引機・30分ごとにあった痰の吸引が1日約3回に)、レスパイト入院(2ヵ月自宅介護・2週間入院・2ヵ月自宅介護が理想)、移乗の工夫(ベッド上や車イスへ腰を痛めないような移乗方法がある)、ヘルパーさん向け取説ファイルを作成等。

 

ご家族からのお話に聞き入りました

 

一度は介護離職を覚悟しながら、努力と工夫を重ねて、医療・介護のチームワークで仕事と介護を両立させているSさん一家。うつうつとした時期もあったということでしたが、実に前向きで明るい介護の様子に驚きました。

ご家族が大事にしていることは、お互いありのままを認めて、褒めること。無理をしないで、困ったら人に頼ること。笑顔を絶やさないこと。バカボンパパの台詞「これでいいのだ」とつぶやくことだそうです。そればかりか、未知の分野への出会いはワクワク感や好奇心につながり、貴重な体験と捉えることで、医師を含めた笑顔のチームが出来上がったそうです。そこに至るまでのご苦労は並大抵のものではなかったでしょうが、後に続く人のためにも様々な工夫をちゃんと記録してある“優しさ”にも心を打たれました。

 

行政の課題は、窓口が分散していてわかりにくい、サービスは申請しないと受けられないことなど様々あり、コーディネーターの必要性も指摘されました。患者と家族を支える仕組みの構築には何が必要なのか、当事者からの実感に勝るものはありません。現場の声を提案にかえていきたいと思います。