学校に行かない選択、こんな「学び」のスタイルがある!  “ホームスクーリング”

OTA未来カフェのご報告 2019年9月5日

信頼関係の中に生きる幸せ、それが「学び」の土台

「ホームスクーリングについて」

 

不登校やいじめ、夏休み明けの自死など学校をめぐる問題は深刻さを増しています。2017年に*「教育機会確保法」が制定され、「不登校はだれにでもおこりうること」「休養の必要性」「学校以外の学びの場の重要性」が明記されましたが、実際は学校以外の選択肢の情報はほとんどありません。フリースクールやホームスクーリングの情報をもっと行き渡らせて、だれもが自分にあった「学びの場」に出会うことが必要だと考えます。

区内でホームスクーリングを実践しているご夫妻と5人のお子さん(4~16歳)の声をお聞きすることができました。以下は、父親(教会の牧師)である桐山塁さんが語ってくださった内容をまとめたものです。一つの事例ではありますが、“多様な学び”が保障されることを願いつつ、お聞きしました。

 

ホームスクーリングの実践をしている桐山ファミリー

 

なぜホームスクーリングを選択したか

あるホームスクーラーの家庭を見ていて、子どもが生き生きとしていて、親子関係が近しく見えたこと、不登校やいじめの問題などから学校教育に限界を感じたこと、聖書の中に家庭や子育ての在り方(家庭の中で信仰を伝えること)が示されていることが決め手になった。

 

法律的に問題はないか

アメリカでは全米50州で合法化、300万人が実施、欧米ではドイツ以外は合法化されている。日本では日本国憲法によって、基本的人権(11条)、個人の尊重(13条)、思想、及び良心の自由(19条)、信教の自由(20条)、学問の自由(23条)、教育を受ける権利(26条)が保障され、2017年2月施行の「教育機会確保法」では「多様な学習活動の重要性を鑑みる」との文言が明記されたこともあり、ホームスクーリング環境整備が法的な面からも進んできている。

 

話に聞き入りました

 

日本のホームスクーリング

桐山家はサポート団体「チア日本」に所属しており交流や相談をしている。サポートを受けることもできる。「チア日本」はメンバー・サポーター2,000家族が所属している。イベントや交流の機会は多く、キャンプ、スポーツ、絵画教室、工芸教室、運動会、発表会など、皆顔馴染みになって、楽しく参加している。子どもたちの自己表現の場としても機能している。

 

学校との関係は? 進学や就職はだいじょうぶか

長男は本人の希望から地域の中学校の部活に参加している。部活の始まる時間に合わせて週3回登校している。その他、教材をいただくなど、学校とのコミュニケーションを心がけている。高校は家庭学習でも高卒認定試験を受けたり、通信制高校を選んだりすることもできるので、大学進学には支障はない。就職においても、むしろ自立していることや意欲的なことが評価されることがある。医師、弁護士、芸術家、教師など自分の得意なことを活かす道に進んでいる。

 

ホームスクーリングにおいて大切にしている3つの柱

信仰教育(アイデンティティ・聖書・礼拝)と人格教育(品性・社会性・言葉遣い・人を敬う気持ち・管理)と知性教育(学習・技能・体力・楽器など)という3つの柱を大切にしている。

 

 

学習の方法

子どもたちの学習のスケジュールは週1回夫婦が話し合って決めている。主に学校の教科書を使うが、オンライン講座も活用して自由なカリキュラムに組む。それぞれの子どもが関心をもったことを深く追求できる自由さがあり、自分で計画を立て、管理する能力、自主学習が習慣化される。家事も“与えられた仕事を忠実にこなす”という大事な学びになっている。

 

よく話し、理解し合う

月に1度、親のどちらかと子ども1人の2人でティータイムやランチに出かけて、ゆっくりおしゃべりをする「スペシャルタイム」を設けている。子どもたちはその日を心待ちにしている。

 

奥さまの話から

ひとり一人に神さまの計画がある。それを見つけることができるとよい。家族としても夫婦としてもぶつかり合いながら成長し合っている。ホームスクーリングではずっと一緒に過ごすことで、素の自分をさらすことになるが、自分がどう変わっていけるか、一生かけて学んでいく。

 

子どもたちの言葉から

16歳の長女:ホームスクーリングはとても楽しい。これまで学校に行きたいと思ったことがない。家族と話す時間が楽しくて、将来のことなど、親に何でも相談できるので安心。
他の子どもたちも皆一様にホームスクーリングは楽しいと発言する。

 

 


 

教育とは何かを考えさせられるお話でした。子どもたちはみな穏やかで落ち着いていて、満足気、しっかり自分の意見も言えるのです。家庭の中で培われた人間関係、基本的信頼関係が外の世界を受けとめ、学ぶことに繋がるのだということをまざまざと見たように思います。また、「人格」を育てる場が家庭であるならば、家庭の役割はとても大きいと思います。ホームスクーリングは人間力を含め、子どもの力をいかに伸ばすかに対峙し、実践していきます。これらの営みが教育の原点といえるのかもしれません。

全ての子どもは親にきちんと向き合ってほしいと望んでいるのです。話をちゃんと聞いてほしいのです。桐山家の子どもたちが楽しみにしている「スペシャルデイ」をどの家庭でも実践してほしいと思いました。
子どもたちが求めているものを察知し、それにこたえることができる環境、教育の在り方、そして多様な学び方を提案していきたいと思います。

*「義務教育の段階における普通教育に相当する教育機会の確保等に関する法律」(2016年成立、2017年施行)