ヤングケアラーを知っていますか OTA未来カフェの報告
10月31日のテーマは「ヤングケアラーを支えるために」でした。
ヤングケラーとは家族にケアを要する人がいる場合に、家事や世話、介護などを行っている18歳未満の子どものことです。ヤングケアラーについての調査活動を行った「ケアを担う若者たちの声を聴こう!」実行委員会のメンバーである、江戸川・生活者ネットワーク福祉部会の本西光枝さん(江戸川・生活者ネットワーク区議会議員)、杉浦尚子さん(NPO法人「アビリティクラブたすけあい」理事)から報告をいただきました。
調査は2019年から2020年にかけて行われ、江戸川区と江戸川区社会福祉協議会の後援も得て、区役所や訪問介護事業所、地域包括支援センターなどの保健師やケアマネージャー、ケースワーカーなど340人から得た回答を集計・分析した報告です。
驚いたのは回答者が関わっていた約半数の家庭にヤングケアラーがいたと答えていることです。ケアしている相手は、多い中に「母親」「きょうだい」「祖母」。受け手の状況で多い順は「精神疾患」「病気」「身体障がい」。担っているケアの内容は多い順に「家事」「話し相手・見守り」「外出時の同行」「きょうだいの世話」「身の周りの世話」でした。
家族のケアが子どもや若者の生活にどういう影響を及ぼすかということでは、多い順に「精神面」「学校を休む」「学校に遅刻・早退」「学力面」「友だちと交流できない」でした。
中には外国人のお母さんの通訳をしている幼稚園児もいるとのことで、驚きでした。
子どもに過度な負担を強いることになってはいないか、成長過程の子どもにとって、友だちとの交流や遊びや学びの時間を失うことが、心身のバランスや成長のためにマイナスになっていないか、周囲が気づいて、必要な支援につなげる、一緒に課題解決していく必要があります。「がんばっているね」「えらいね」と美談で終わらせてはならず、子どもの育つ権利の保障を忘れてはなりません。
子どもがケアを担うことになった理由として、「ひとり親家庭」「親に精神疾患がある」「家族の中に他にケアを担える人がいない」という回答が多かったことは気になるところです。
必要な支援として、「ヤングケアラーを知る、理解すること」「子ども・若者が自分がケアラーであることに気づき、自分の人生と向き合えるようにすること」「気軽に相談できる場所」「直接・間接支援」「居場所をつくる」「支援する仕組みをつくる」などが挙げられていましたが、まだまだ認知度が低く、ケアラー自身も「自分が担うのが当たり前」と考えて、誰にも頼らず、我慢をしてしまう場合が多いことが課題です。
現在、国にも実態把握をする動きがあり、今後は学校現場での把握も求められます。行政だけでは捉えきれいない、解決し得ない問題をどう地域と協働していくか、また根本的な背景をも追究する必要があるでしょう。
参加者全員が大いに刺激を受けたすばらしい江戸川の実践報告でした。調査をされた「ケアを担う若者たちの声を聴こう!」実行委員会のみなさまに感謝すると共に私たちも一歩を踏み出したいと思いました。