子どもの学習環境の向上と若者のリーダーシップの育成のために

 TFA・TFJとは?

昨日は、六本木のアカデミーヒルズにおける「世界を変える教室」Wendy Kopp氏来日記念セミナー に参加してきました。夢を現実にするためにチャレンジし続けている方たちの熱い話を聞いて大いにエネルギーをもらいました。

まず「Teach For America」(TFA)の創設者Wendy氏のお話。
若々しく美しい女性です。

20年前、プリンストン大学の学生だったときに思いついたアイデア“大学新卒者が2年間、貧困層の子どもたちの教育支援プログラムに携わる”を事業化したのが、「Teach For America」(TFA)。子どもたちに寄り添って、勉強がわかるように、いやそれ以上に高い成績をめざしての無料の学習支援です。

それが大きな効果を生み、20年たった今、このNPOは全米文系学生の就職先人気ランキング1位となり、しかも世界中に広がりをみせているのです。それは、このプログラムが“子どもを救う”という短期的な目的だけではなく、若者のリーダーシップを育て、やがては国作り・社会の変革にも貢献するという長期的な目的までもつ優れたビジョンを持つからだということがわかりました。

Wendy氏が具体例も交えて熱く語られた話を要約してみると・・・

このプログラムの3つのコンセプト

教育の不平等は解決可能

  子どもたちと共に目標を描く。よい成績をとることは、一つ のステップ。人生を変えられることを知る。子どもは期待をかけられると伸びる。

リーダーシップの醸成

  若者が目的を持って、使命感をもって、教育活動に携わる。
  その経験は、公共政策に、国作りに役立ち、社会を変える力となる。

グローバルな活動

  不平等・貧困の問題は普遍的。
  またその特徴も普遍的で、世界的に共通性がある。
  したがって、有能な若者が世界中の有能な人たちとこの問題や成果を共有することで、よりよい世界を創りだすことに貢献できる。

一人の大学生の持った問題意識からスタートしたTFA、「世界をよくしたい」という普遍的なビジョンは共感を呼び、優秀な学生たちのエネルギーを取り込んでいっているのだな、と感じました。

そして、日本にも[Teach For Japan] が2011年1月に設立されたのです。

次は、Teach For Japan の最高経営責任者の松田悠介氏のお話でした。

“貧困は、教育格差を生み、就業にも生涯賃金にも大きく影響し、それはまた世代間連鎖につながる”。しかし、“子どもたちの未来が、生まれた地域や家庭に左右されてはいけない”

日本でも7人に一人が貧困、地域によっては、中学生の70%が生活保護を受けている家庭の子どもである、というところもあるそうです。
「このような状況は子どものせいではないし、親を責めてもしかたがない。子どもたちの成長は待ってくれないものだから、だれかのせいにしたり、なすりあいをしている暇はない、。子どもたちの前に立ちふさがる高いハードルを取り除いてあげて、夢に近づいていけるようにしたい。そしてそのことに人生をかけたい」と松田氏は語っていらっしゃいましした。

教師になる人には、高い目標に向かっていっしょに努力できる、自己成長意欲の高い人、議論を通して表現力や想像力、マネージメント能力、今求められているリーダーシップを育成したいと、指導力研修に力を入れているということでした。

私たちは、日頃、政府や行政を、そして他者を批判することが多いものです。けれどもWendy氏からも松田氏からも“目の前の子どもたちのために、私は何ができるのか” という主体的な意思と行動力、瞬発力をまざまざと見せつけられました。

私も自分のポジションでできることで一歩一歩、歩を進めていこうと、大いに背中を押されたセミナーでした。
そして、Teach For Japan の活動が、問題の山積している、日本の教育現場によい効果を生み、社会全体の好循環につながることを願わずにはいられませんでした。