この4月から、読み聞かせボランティア交流会「ヒッポ」が大森第五小学校・図書館の運営に関わったことで、この図書館がどんなにすてきに生まれ変わったかを見てきました。
11月30日、大森第五小学校・図書館には、他の学校で読み聞かせボランティアをされている方、先生たちが集まっていました。図書館の見学に続いて、この支援事業について、これまでの経緯、概要、勤務体制など、具体的なお話をお聞きしました。
今は、お母さんたちが読み聞かせボランティアとして朝の読書の時間など、学校に出向いていくのはめずらしいことではありませんが、「学校図書館の運営」に関わる、というのはめずらしいことです。
大田区には残念ながら、学校図書館に専任の司書がいないのです。先生たちの中で、学校司書教諭の資格を持っている人が一応、「図書担当」となるそうですが、担任としての仕事に忙殺されて、ほとんどの学校の図書館は、暗くて乱雑、ただ本が積み上がっている状況だとか。
ヒッポさんたちは、この4月の入学式に向けて、図書館の改装と整備に1週間、毎日通ったそうです。最初は、どこから手を付けてよいかわからないような状態だったとか。図書館の整備のほか、お話会や講演会の実施、本を読むとスタンプが増えるスタンプラリー、楽しい工夫をちりばめています。授業に関連する資料をいっしょに探したり、相談に乗ってもあげます。子どもたちの図書委員はパソコンをつかっての本の貸し出し・返却業務をするそうです。
今では大森第五小学校の図書館は明るくて清潔。子どもの目の高さに本が配置され、図書館マップもあるし、本の置き場、分類や案内が親切で、手に取ってみたくなるような工夫がそこかしこにされています。詩が紹介されているコーナー、読書クイズコーナー、宮澤賢治の本のコーナー。実験のコーナーには、実際の工作品というディスプレイ。図書委員推薦の本のコーナーもあります。
「人の手が加わっている、ぬくもりのある図書館が、子どもの心を育む」という言葉が語られていましたが、本当にほんわかした居心地のいい雰囲気です。この学校の5年生の先生のお話では、図書館に足しげく通う子どもが増えた、ブックトーク(お話会)をとても喜んでいる。本を大切に扱うなど、子どもたちのマナーがよくなった、と学校中の先生が喜んでいるとのことでした。
さて、このグループ読み聞かせボランティア交流会「ヒッポ」は、読書活動に関する地域ボランティアの育成の実績をもち、地域振興課・区民協働のステップアップ助成を受けて、今回初めて、学校図書館の運営に関わったとのことです。学校の先生にも子どもたちにも大きな評価を受けていて、校長先生は、また来年も続けてほしいと申請しているところだそうです。
「教員と支援員とボランティアが〝子どもを思う気持ち“で連携し、輪になることで、相乗効果を生み、子どもによい影響がいく」「先生たちは移動があるけれど、地域の人は長く学校に関わっていられる。その意味でも支援員・ボランティアの役割は大きい」とは千鳥小学校の校長先生の言葉。
子どもが楽しい本の世界に出会えるように、大事なもう一つの居場所作りのために、学校図書館の充実を願うものです。大田区全部の学校に学校図書館支援員や図書館司書がいてくださって、子どもと本を結び、地域の輪の拠点となってくださることを心から願うものです。子どもの笑顔の見られる機会がどんどん増えますように。子どもの好奇心が大事に育まれますように。
第1号の読み聞かせボランティア交流会「ヒッポ」のみなさんに心からエールを送ります。