監視社会にならないように 「大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例
続きまして、大田区議会第1回定例会「大田区公共の場所における客引き客待ち行為等の防止に関する条例」に関するご報告です。
蒲田の繁華街は、客引きが多くて、その被害届も毎年警察にあるそうです。 蒲田限定で、客引きと客待ちの取り締まりを強化しようということで作られた条例ですが、区民同志で、監視し合うような社会にはなってほしくない、という思いで反対しました。 予算2,324万円は警察OBを5人、雇用することに使われるということです。
以下、反対討論全文をご紹介します。
条例の目的には、「安全で安心なまちづくりを推進し、もって区民生活の平穏を保持し、にぎわいのある豊かな地域社会の実現に資すること」とありますが、社会の空気、そして基本的人権・自由にかかわることには、特に慎重になるべきです。
東京都には、すでに「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」いわゆる「迷惑防止条例」があり、警察による取り締まりが「客引き」に関しては可能です。「客待ち」に関しては売春類似行為をするために、公衆の目に触れるような方法で、ということに限っているので、今回の条例では「客待ち」に関しての防止効果を強めた形になっています。
風俗営業に関するものや執拗な客引きに限定するとは言っていますが、「客待ち」とは、違法行為に至る前段階である、とパブコメの中で答えていますので、「疑わしいから」という理由で規制ができてしまう恐れがあります。
たとえば、公共の場所における禁止事項として、第6条には「何人も、公共の場所における客引き・客待ち等をしてはならない」。そして、3項には、「何人も、公共の場所において、人の通行の妨げになるような方法で客引きをし、又は人に呼びかけ、もしくはビラその他の文書図画を配布し、もしくは提示して客を誘引してはならない。」とあります。
以前、原発に反対をするデモに対して、「本質においてテロ行為と変わらない」と発言し、多くの批判が寄せられてから、謝罪した国会議員がありましたが、このことは、デモという、民主主義的な手法、憲法で保障されている表現の自由や権利でさえも、いかようにも解釈してしまう危険性をはらんでいることを示唆しています。拡大解釈が時の権力側が気にいらないものを排除する手段として新しい規制を作ることに通じるかもしれません。何をもって、「通行の妨げ」とみるか、何をもって、区民の個人情報を警察と情報共有するのかが、あいまいです。
これまでも、警察・区の職員・町会、商店会の方々が、蒲田の街の安全や安心のために、夜間、パトロールをされていらっしゃることには、敬意を表しますし、観光客にも安心して過ごしていただくことはもちろん願うところです。しかし、迷惑防止条例を活かしながら、警察が中心になってパトロールすることを希望します。拡大解釈につながるような文言から、ひいては監視社会への強化、さらに委嘱された一般区民が危険に巻き込まれる可能性のある、この条例には反対です。