これでも罪は問えないのですか ~福島はまだまだ何も終わっていない~
「さよなら原発江戸川連絡会」主催、福島原発告訴団団長の武藤類子さんの講演会に行き(江戸川総合文化センター)福島の現状を、武藤さんを含め、3人の方から伺いました。厳しい状況を聞くにつけ、決して福島のことを風化させてはならないと思いました。
●武藤類子さん(福島原発告訴団団長)
あ れから3年5か月たつのに、汚染水はたまり続け、漏れ続けていて、線量はむしろ上がっている。除染土を詰めたフレコンパックが増え続けている。集落の中に 積み上げられ、中には裂けて土がはみ出しているものもある。除染労働者は7割が福島県民。甲状腺ガンの出現率も若い人の心筋梗塞も明らかに増えているの に、因果関係がわからない、とされている。福島の原発関連死は津波被害者より多くなった。不安の中に暮らしている人々に「放射能に負けない体づくりをしま しょう、洗濯物は外に干しましょう」という、虚しい安全キャンペーンが繰り広げられている。汚染物を焼却する焼却炉を20か所に作ろうとしており、復興の 証に富岡ICから仙台まで高速道路を走らせる工事を始めるという。富岡町2.89μシーベルト。線量の高い地域を一般車が通るというのか。復興とは、道路 を通すことなのか。この国は一体どうなっているのでしょう。
●木幡ますみさん
(告訴人の一人・大熊町の明日を考える女性の会代表)
会 津の仮設住宅に入っている。塾の教師。日々子どもたちと接している。事故直後は鼻血のでる子どもが多く、救急車で運ばれるほどの子どももいた。現在は、湿 疹がひどい子どもが多い。痒みといたみがあり、おさまると黒い斑点になる。医者に聞いても「わからない」という答え。大人でもじん麻疹ができたり、吐き気 や肝機能の弱まり、風邪をひきやすいなど、免疫力が落ちている人、体調不良を訴える人が多く見受けられる。町ごとに調査をしてほしい、と訴えているが聞き 入れてもらえず、「心の問題だろう」と言われる。今、仮設住宅では、離婚、精神的ストレスからくる虐待、自殺が増えている。大熊町は、「帰宅困難地域」。 場所によっては線量が8μシーベルトもあり、しかも地下水の逆流による液状化も心配されるのに中間貯蔵施設など作れるのか、心配。町へは、帰りたい気持ち と帰りたくない気持ちがないまぜ。町長は平成30年には帰ろうといっており、子どもを呼び戻すために「中髙一貫校」を作ろうとしている。まず、子どもの体 を大事にしてほしいし、「あんなところには返すな!」と皆さんにはいってほしい。中髙一貫校なんて、言語道断。
原発立地地は交付金を多額 にもらって、好きで誘致したんだろう、という人がある。しかし反対運動を続けてきた人もいて、自分もその一人。平成13年、地下電源は危ないのでは、と指 摘したが「お金がかかりすぎるからやむを得ない」といわれた。3キロ圏内は、住んではいけないことになっているが、元々人の住んでいるところに原発が立っ てしまったので、3キロ以内に住む人もいる。そのせいか、白血病、甲状腺疾患、奇形児、骨肉腫、歯肉がんが際立って多い。作業員はやめるにやめられない、 という人が多い。替わる人がいないこと、辞めると線量を記録していた手帳を東電に返さなくてはならず、後に補償が受けられなくなるから。心ある県知事が出 てくれるのを待っている。
●保田行雄さん(弁護士)
2012 年に告訴。なぜ、告訴か。実際に責任を問われた人がいないから。原発に関しては、公害罪にも指定されていないし、処罰する法律が何もない。原子炉の設置者 を公務執行妨害で、福島地検に告訴。翌年、福島地裁が東京地裁に事件を移送、東京地検が不起訴処分を決定。原発は安全だ、と言い続け、安全対策を怠った 罪、10メートルを超える津波は予想できていたはず。強制捜査が行われないままに、証拠が失われていくことに失望感。現在、東京検察審査会に審査申し立 て、福島県警に汚染水告発。
汚染水がコントルールできていないことを含め、ひどい状況がよく伝わってきた報告会でした。これで、川内原発を再稼働しようとしているとは・・・・・。
↑武藤類子さん(福島原発告訴団団長)と
↑武藤類子さん、木幡ますみさんと、保田行雄弁護士、
品川ネットの井上八重子さんと江戸川ネットの新村いく子さんと