手話通訳・24時間・緊急派遣制度 江戸川区の取り組み
9月6日、大田区聴覚障害者協会の方々と超党派の数人の議員とで、江戸川区の福祉部障害者福祉課にお話を聞きに伺いました。
聴覚障害のある人にとっては、救急車で運ばれた先で事情を説明できるかどうかは大きな心配事です。真夜中であったとしたら、なおさら・・・
説明を受けているところ
江戸川区は23区で唯一、24時間体制で消防署からの緊急要請に対して手話通訳者が駆けつける体制をとっています。また聴覚障害者になりかわって、手話通訳者が救急車を呼ぶことができます。平成23年から開始した制度ですが、毎年2~7件ほどの緊急要請があるそうです。現在は5人の手話通訳者がその役目を担い、2週間交代で専用の携帯電話を持って対応するとのことです。
行政がこのシステムを構築するにあたって、東京消防庁、それから管轄の消防署との連携が必要でした。聴覚障害者は「意志表示カード」(「手話通訳者を呼んでください」と書いてある)を持っており、それを見た救急隊が手話通訳者に電話をするという仕組みです。連絡を受けた手話通訳者は搬送先の病院へ向かって、医師へ聴覚障害者の意志を伝えるのです。
請け負っているのは、一般社団法人「江戸川ろう者協会」。その事業に協力している手話通訳者の方にも説明をいただきました。ご苦労はありながらも“緊急の時に駆けつけることでろう者が安心してくれるのは、通訳者冥利に尽きる”と言われた言葉が印象的でした。
江戸川区役所のロビーで
2週間であっても、24時間、携帯電話がなることに注意を払っていることは大変なことでしょう。“ろう者の支えになりたい”という手話通訳者の熱い思いと区が構築したシステムが効果的な形で運用されていることには敬意を抱くものであり、すばらしい制度だと思います。大田区ではどのような可能性があるのか、これから考えていきたいと思います。